中丸雄一さんに「文春砲」が放たれた。Xでは「アパホテル」がトレンド入りし、「アパ不倫」の単語も多く投稿された(画像:本人の公式Instagramより)

アイドルグループ「KAT-TUN」のメンバー、中丸雄一さんに「文春砲」が放たれた。結婚から半年ちょっとにもかかわらず、20歳近く歳下の大学生との逢瀬が報じられたことにより、謹慎を余儀なくされた。

中丸さんは、どちらかと言えば、スキャンダルとは距離を置いたイメージがあったこともあり、SNS上ではファンを中心に衝撃が走っている。加えて、報道そのものだけでなく、その現場も話題だ。Xでは「アパホテル」がトレンド入りし、「アパ不倫」の単語も多く投稿された。

アパにとっては今回、あくまで「とばっちり」でしかなく、「かわいそう」と思った人も一定数いたはずだが、どうしてここまで固有名詞で言及されるのか。その理由を考察すると、むしろ「セルフブランディング力の強さ」が、風評をはねのけるであろう実情が見えてきた。

ホテルで20代女性と「密会」

「週刊文春」電子版は2024年8月6日、翌日のスクープとして「超人気ジャニーズ衝撃密会スクープ」と予告。7日昼になって「KAT-TUN 中丸雄一(40)が女子大生とアパホテル密会」と、その詳細が報じられた。その内容は、8日発売の『週刊文春』誌面でも伝えられている。

文春記事によると、7月初旬に中丸さんは、ホテルで20代女性と「密会」。女性は1年ほど前に、中丸さんから路上で声を掛けられ、たまに食事をする仲だと伝えられていた。ホテル内では「話していただけ」だという。

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中丸さんは2024年1月、元日本テレビアナウンサーの笹崎里菜さんとの結婚を発表。それに合わせて、笹崎さんは2023年いっぱいで日テレを退職している。既婚者かつ新婚であることから、SNS上では中丸さんの誠意を問うような声が相次いだ。

KAT-TUNは、旧ジャニーズ事務所から6人組グループとしてデビューし、現在は3人で活動。今春からは、旧ジャニーズの流れをくむSTARTO ENTERTAINMENTに所属している。同社は8月7日、本人の意向により、中丸さんが謹慎すると発表した。また中丸さんによる「妻からは『しっかり⾃分と向き合って』という⾔葉をかけてもらいました」などの謝罪コメントも併せて掲載された。


(報道後、所属事務所の公式サイトから謹慎が発表された/出所:STARTO ENTERTAINMENTの公式サイト)

中丸さんは現在、KAT-TUNとしての活動に加え、「シューイチ」(日テレ)、「家事ヤロウ!!!」(テレビ朝日)、「朝だ!生です旅サラダ」(朝日放送テレビ=テレ朝系)などにレギュラー出演しているが、いずれも謹慎にあわせて出演見合わせに。


中丸さんが活動していた「よにのちゃんねる」のメンバーも、今回の件を受けてチャンネルのコミュニティ欄でコメントを発表した(画像:YouTube「よにのちゃんねる」より)

また、二宮和也さん(嵐)、山田涼介さん(Hey! Say! JUMP)、菊池風磨さん(timelesz=旧名Sexy Zone)とのYouTubeチャンネル「よにのちゃんねる」の更新休止も決まった。

Xでは「アパホテル」がトレンド入り

不倫報道を受けて、X上では「アパホテル」がトレンド入りした。文春記事が固有名詞を見出しに含めていた影響が大きいが、過去の似たようなケースを思い出し、「またアパ不倫か」と投稿する人も多かった。

そこで引き合いに出されるのが、俳優の袴田吉彦さんだ。袴田さんは2017年5月、グラビアアイドルとの不倫が報じられ、当時の妻とは同年中に離婚した。その不倫現場として、たびたびアパホテルが使われ、しかも律義にポイントをためていたと、再三にわたって報じられたことから、「『アパ不倫』といえば袴田吉彦」とのイメージが定着していたようだ。

なお袴田さん自身は、後にバラエティー番組などで、「アパ不倫」を自虐ネタとして昇華している。2019年のドラマ「あなたの番です」(日テレ)でも、袴田さん本人が「袴田吉彦に容姿が似ている一般人」役で出演し、周囲から「ポイントカード」と呼ばれているといった自虐的なセリフを発していた。

こうした経緯から「比較的安価かつポイントがたまるホテルであり、有名人が密会場所とするにはケチくさい」との印象を持っている人も多いようだが、アパホテルは、ダイナミックプライシング(変動料金制)を導入していることから、閑散期と繁忙期では宿泊料金が異なることを忘れてはならない。お盆と3連休が重なる今週末を見ると、東京都心ではシングルでも1泊2万円前後はざらだ。

それでも、そうした場に選ぶ理由としては、使い勝手の良さもあるだろう。公式アプリで簡単に予約でき、専用チェックイン機にQRコードをかざせば、フロントでの手続きなしにチェックイン可能。そしてカードキーを出入り口付近のポストに投函するだけでチェックアウトできる。こうした利便性ある宿泊体験が、いろいろと都合がいい側面もあるのだろう。

そもそも不倫報道とあっては、ラブホテルにせよ、高級ホテルにせよ、どこへ行っても「芸能人としての格」は問われる。なぜ今回のように、アパだけが固有名詞で話題になるのか。名指しされるのは「それだけ強いブランド力」を持っている裏返しなのではないか。

そもそも「APA(アパ)」は、語感がいい。声に出したくなるし、赤ちゃんでも「パパ」「ママ」の次に言えそうなフレーズだ。ちなみにAPAは「Always Pleasant Amenity」の略語で、「いつも気持ちのいい環境」を意味するという。


アパグループのサイトにも、「APA」の説明がある(出所:アパホテル公式サイト)

加えて、目立つ帽子をかぶった「私が社長です」の広告で知られる、元谷芙美子氏のビジュアルも強い。同氏をパッケージにあしらった飲料水やレトルトカレーも、SNS上ではたびたび話題になる。また、深夜などに流れる、外国人女性がくねくねと踊る、意図をつかみかねるテレビCMが記憶にある読者も多いだろう。

看板などに用いられる、赤みがかったオレンジと、黒のツートンカラーも印象に残る。今回の文春報道も、20代女性がホテルから出てきた写真が掲載されているのだが、その外壁を見れば、一目で「アパだ」と認識できる。

また、ここでは詳細は省くが、室内に置かれた書籍や、関連法人による懸賞論文など、保守系の政治的論調でも知られる。その評価は人によるだろうが、いずれにせよ「独自色」を思わせる要素となっているのは間違いないだろう。

風評被害は「ほぼない」理由

これらの特徴を見ていて、気がつくのが、中丸さんや袴田さんらによる「アパ不倫」などの風評よりも、これまでアパ側が自社発信してきた、セルフブランディングによる印象のほうが、より強いということだ。むしろ自ら「ツッコミどころ」を作ることで、外的要因に左右されない、鉄壁の守りを築いているようにも感じさせる。

同じようなポジションのホテルチェーンには、「東横イン」や「ドーミーイン」などがあるが、ライバル各社は、これほどのインパクトはもっていない。東横インは会員になれば10回泊まると1回無料になるし、ドーミーインは深夜の無料軽食「夜鳴きそば」という人気メニューを持っているのだが、一般的な認知度でいけば、アパに軍配が上がるだろう。

当然ながら、今回は意図したクローズアップのされ方ではない。もし、これを機会に「不倫の定番スポット」としてのイメージが定着してしまえば、ブランド価値が著しく損なわれてしまう可能性もある。

しかし、ことアパホテルにおいては、そうした心配は取り越し苦労でしかないのではないかと感じる。不倫はあくまで使われ方の問題で、ホテル側には一切非がない。常連客に悪印象を与えるわけもなく、むしろ人気アイドルも太鼓判を押す快適性だと、プラスに考えることもできる。

利用していない人でも、それぞれの「アパ像」が形成されており、たとえ不倫が想起されたとしても、それはあくまで一面に過ぎない。実際、袴田さんの事案から7年間、つい数日前まで皆が忘れていたではないか。こうした背景を鑑みると、ちょっとやそっとじゃ、顧客の評価は揺らがないだろうと感じるのだ。


主婦層をターゲットにした番組に、多く出演していた(画像:「家事ヤロウ!!!」公式サイトより)


最近では人気バラエティ番組で活躍するようになっていたが…(画像:「旅サラダ」公式サイトより)


地方ロケも多かった中丸さん。主婦層が見る番組に多く出演していたこともあり、イメージ低下は免れなさそうだ(画像:本人の公式Xより)

(城戸 譲 : ネットメディア研究家・コラムニスト・炎上ウォッチャー)