好感度の高かったKAT-TUNの中丸雄一さん。今回の報道によるダメージは大きく、復帰への道のりは険しそうです(画像:本人の公式Instagramより)

8月7日朝、「中丸雄一 各局に休業申し入れ」という記事をスポニチアネックスが報じると、すぐに「何をしでかしたのか」という驚きの声が飛び交い、ネットメディアは臆測交じりの記事を次々にアップ。

その後、週刊文春電子版が「KAT-TUN 中丸雄一(40)が女子大生とアパホテル密会《新妻・笹崎里菜 元アナ(32)に内緒で…》【まじっすか撮】」という記事を報じると、批判一色のムードになりました。

記事を見ると相手女性が「本当に何もしてなくて」「ちょっと相談事をして、すぐに部屋を出ました」などと語り、中丸さん自身も「軽率な行動」とコメントしているように“不倫疑惑”というレベルの記事でしたが、それでも世間の人びとが容赦するようなムードはありません。

「性行為の有無」以上に罪深いこと

芸能人の不倫騒動と言えば、2016年にベッキーさん、ファンキー加藤さん、石井竜也さん、三遊亭円楽さんらの記事が次々に報じられ、当事者たちは徹底的に叩かれました。

翌年以降も報じられていましたが、批判の声が再びピークに達したのは2020年。東出昌大さんと渡部建さんの不倫が報じられたときは断罪するような声があふれました。ただ、その後は徐々に「個人の問題」「犯罪ではない」などと冷静に受け止める人が増えています。

しかし、中丸さんに関しては、そんな最近の風潮や“疑惑”であることを吹き飛ばし、世間の人びとを本気で怒らせる3つの要素がありました。しかもその3つの要素は過去に不倫報道で猛烈に叩かれたベッキーさん、ファンキー加藤さん、袴田吉彦さん、東出昌大さん、渡部建さんにも共通していることなのです。

世間の人びとを怒らせる不倫報道と、「個人の問題」「犯罪ではない」で済まされる不倫報道にはどんな違いがあるのでしょうか。

前述したように中丸さんと相手女性は不倫に該当するような行為を認めていません。しかし、ファンはもちろん世間の人びとにとって重要なのはそれだけではないのです。

記事では相手女性が「千代田区あたりで声をかけられた」ことや電話番号を聞かれたことなどを明かしていました。しかもその時期は1年前。すでに笹崎さんと交際していただけでなく、「今年1月の結婚発表に向けた準備段階だったのではないか」とみるのが自然でしょう。

さらに女性は中丸さんからの誘いを「20回くらい断っている」ことなども明かしています。

これらの発言から「中丸さんは、路上ナンパも、女性を繰り返し誘うことも、ホテルでの密会も常習者ではないか」とみなされても仕方がなく、「魔が差した」という釈明が通用しないものでしょう。ある意味、性行為の有無よりも罪深いのかもしれません。

好印象からのマイナスギャップ

さらに人びとから問題視されているのは、その罪深い行為がこれまでのイメージとは真逆であること。もともと中丸さんは個性の強いKAT-TUNの中では「穏やかで優しい人」というイメージがありました。

中丸さんは日曜朝の情報番組『シューイチ』(日本テレビ系)でさまざまなテーマにコメントしたり、土曜朝の旅バラエティ『旅サラダ』(ABC・テレビ朝日系)のレポーターとして全国各地の地元住民とふれ合ったりなど、高い好感度をキープ。

その他でも、早稲田大学のeスクールに入ったり、漫画家デビューしたり、YouTubeチャンネル「よにのちゃんねる」の動画編集を担ったりなど、地道な努力を重ねる人柄が支持されていました。


中丸さんが活動していた「よにのちゃんねる」のメンバーも、今回の件を受けてチャンネルのコミュニティ欄でコメントを発表した(画像:YouTube「よにのちゃんねる」より)

そんな好イメージを象徴していたのが今年1月の結婚発表。当時は妻の元日本テレビアナウンサー・笹崎里菜さんに「いい旦那になりそう」「見る目がある」「勝ち組」などと称える声がネット上にあふれていました。

その点、今回の記事で人びとの頭をよぎる嫌悪感は不倫疑惑に対するものだけでないのでしょう。「視聴者には見せない裏の顔があった」「今までだまされていた」というマイナスギャップを感じさせた分、数ある不倫疑惑の中でも嫌悪感が大きくなってしまうのです。

これこそが中丸さんの不倫疑惑が「個人の問題」「犯罪ではない」で済まされづらくなっている1つ目の要素でした。

過去に「裏の顔があった」「だまされていた」という好イメージからのマイナスギャップで厳しい声を浴びたのがベッキーさんとファンキー加藤さん。2人の不倫報道から現在までの歩みを見る限り、「不倫とは縁遠かったイメージの芸能人が、再び好感度を得るためには長い時間がかかる」という厳しい道のりがうかがえます。

また、中丸さんに話を戻すと、報道前後の対応も好イメージからのマイナスギャップにつながった感がありました。まず、報道前に活動休止を決めて、それが報じられたこと。さらに報道後に発表されたコメントでも具体的な言及を避けたことが、「逃げた」という印象を与えてしまいました。

これまで中丸さんは『シューイチ』で不倫などのスキャンダルにもコメントしてきただけに、「自分のことになると逃げる人だった」というマイナスギャップを感じられても仕方がないでしょう。

その他でも、ファンやメンバーに対するコメントがない不誠実さなども含め、さまざまな点でイメージとかけ離れた姿を見せていることがダメージを大きくしています。

「新婚」に対する人びとの怒り

中丸さんの不倫疑惑が「個人の問題」「犯罪ではない」で済まされづらくなっている2つ目の要素は、新婚であること。結婚発表からわずか半年でのホテル密会が「限りなく黒に近いグレー」というムードにつながっています。

特に女性からと思われるコメントには、笹崎さんを気づかい中丸さんに怒るものがズラリ。中でも、ナンパするほど遊びたいのに結婚したこと、新婚という一番幸せな時期に自分よりひとまわり若い女子大生と遊んでいたこと、地方ロケなど一緒にいられない時間も多そうなのに別の女性と会っていたことなどに対して、「許せない」と怒りの感情をあらわにする声が目立ちます。


地方ロケも多かった中丸さん(画像:本人の公式Xより)

さらに妻の笹崎さんが結婚目前の昨年末に日本テレビを退社するという決断をしたこと、彼女も有名人だけに周囲から新婚で浮気された女性と色眼鏡で見られてしまうこと、「新婚で浮気するならこの先も繰り返しそう」と信じづらいことなどを思いやる声もあがっていました。

しかし、中丸さんの謝罪文に書かれていた妻に関するコメントは、「何より、妻に対しては悲しい思いをさせてしまい、後悔の念しかございません。妻からは『しっかり自分と向き合って』という⾔葉をかけてもらいました」のみでした。自分の何が悪くて妻を傷つけてしまい、どのようにどれくらい謝ったのか。それに対して妻はどんな反応で、許しているのかいないのか。


中丸さんが事務所の公式サイトで発表したコメント(画像:STARTO ENTERTAINMENT公式サイトより)

これらが書かれておらず、中丸さんがどれだけ後悔しているのか、笹崎さんがどれだけ悲しく怒っているのかなどが世間の人びとに伝わらないため、「個人の問題」「犯罪ではない」という見方にはなりづらいのです。

過去の不倫騒動を振り返ると早期に沈静化したのは、その大半が「妻に叱られたあとに許してもらった」と明かしたケースでした。ただ中丸さんのケースは、そもそも新婚であるうえに、相手が精神的に未成熟な学生だったため、「すぐに許す」という選択肢はないのかもしれません。

このような“妻へのひどい裏切り”がフィーチャーされる不倫騒動は東出昌大さんのケースと似ています。

「せこい」という酷評のダメージ

中丸さんの不倫疑惑が「個人の問題」「犯罪ではない」で済まされづらくなっている3つ目の要素は、「せこい」と酷評されていること。

中丸さん自身が手配して密会したホテルがビジネス利用もされるリーズナブルなアパホテルだったことに「なぜ?」という多くの声があがっていました。

「人気芸能人が浮気するなら高級ホテルを使うべき」とまでは言えなくても、中丸さんはKAT-TUNというトップアイドルのメンバー。さらに多くのレギュラー番組を持つ40歳の芸能人としては、「撮られるリスクやバレたときの印象も含めてどうなのか」という目線で見られているようです。

記事では中丸さんが女性に渡したタクシー代が7000円であることも明かされていました。持ち合わせていた財布内の全額だったようですが、事前にタクシー代を用意していなかったことの証しであり、やはりこの点でも「せこい」などと言われています。

昭和時代から主に男性の中には「浮気は男の甲斐性」とみなす人がいて、「けちな振る舞いをする男性は情けない」という傾向がありました。それが令和の今なお残っているため、ただの不倫騒動では終わらず、「せこい男」として長きにわたってイジられてしまいます。


皮肉にも同時期にスキャンダルに見舞われたフワちゃんとの2ショットを掲載していた中丸さん(画像:TBS「KAT-TUNの食宝ゲッットゥーン」公式Xより)

「アパ不倫」でイジられるつらさ

今回の記事が報じられたとき、2017年にアパホテルでの不倫が報じられた袴田吉彦さんの名前がXのトレンド入りしました。7年半が過ぎた今なお、このようにイジられてしまうのが、「せこい」とみなされる不倫騒動のつらいところ。

このように“せこさ”がフィーチャーされる不倫騒動は袴田さんや渡部建さんのケースと似ています。

イメージとのマイナスギャップ、妻へのひどい裏切り、せこさという3つの要素をあげてきましたが、これらがそろってしまった分、中丸さんに対する目線は相当厳しいものになり、しかも長い時間続いていくのではないでしょうか。

アイドルとしての活動はもちろんのこと、情報番組やバラエティでのコメント、ひいては芸能人としての存在感など、多岐にわたって本当の実力が試されることになりそうです。

(木村 隆志 : コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者)