マイナーチェンジ版のホンダ「ヴェゼル」のフロントフェイス(写真:本田技研工業)

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2024年4月26日にマイナーチェンジを実施し、改良版を発売したホンダのSUV「ヴェゼル」。ヴェゼルは、2024年上半期(1〜6月)における販売台数4万4164台(日本自動車販売協会連合会調べ)で、2024年上半期SUV新車販売台数1位も獲得している(写真:本田技研工業)

ホンダのクロスオーバーSUVとして安定した人気を誇る「ヴェゼル」が4月にマイナーチェンジを実施した。近年のマイナーチェンジは、内外装の意匠変更やボディカラーの入れ替えなど、大きな変更が行われないことも多いが、今回のヴェゼルの場合はグレード体系がそれなりに変更されている。

そのためマイナーチェンジ後のヴェゼルを購入しようと考えたとき、どんな選び方がベストなのか再度考えてみたい。

【写真】2024年上半期、日本一売れたSUV「ヴェゼル」がマイナーチェンジを実施。改良版で買うならどのグレードがベストバイなのか?(73枚)

マイナーチェンジでの変更点

改良版となるヴェゼルは、ガソリンモデルが縮小され、e:HEVにはパッケージグレードが新たに追加された。最初にその変更点をまとめてみた。

今回のマイナーチェンジでは、遮音材や防音材を最適化することで静粛性を高めたほか、ハイブリッドモデルのe:HEVではエネルギーマネージメント制御を見直すことで、エンジン始動回数、停止頻度を大幅に低減するとともに、アクセルレスポンスをさらに向上。2WDモデルではダンパー減衰力の最適化で、より快適な乗り心地を目指したというのがメカニズム面の変更となる。

また内外装の意匠を変更したほか、運転支援システムのHonda SENSINGには、トラフィックジャムアシスト(渋滞運転支援機能)、急アクセル抑制機能、アダプティブドライビングビームの機能が追加された点もマイナーチェンジ前のモデルとの大きな違いとなっている。


e:HEV Zのスタイリング(写真:本田技研工業)

グレードとしては、1.5Lの純ガソリンモデルの「G」が4WDモデルのみとなり(2WDモデルは廃止)、ハイブリッドモデルのe:HEVは「e:HEV PLaY」が廃止となったかわりに「e:HEV Z PLaYパッケージ」が新設され、「e:HEV X HuNTパッケージ」が新たに登場。そして以前からあるエントリーグレードの「e:HEV X」と先進装備を多く採用した「e:HEV Z」の計5グレード展開に改められた。

■グレード/価格
・e:HEV Z 319万8800円(FF)/341万8800円(4WD)
・e:HEV Z・PLaYパッケージ 355万6300円(FF)/377万6300円(4WD)
・e:HEV X・HuNTパッケージ 299万8600円(FF)/321万8600円(4WD)
・e:HEV X 288万8600円(FF)/310万8600円(4WD)
・G 264万8800円(4WD)


2024年3月22日に発売した新型SUV「WR-V」(写真:本田技研工業)

ガソリンモデルに関しては、近いサイズの「WR-V」が登場し、そちらは2WDモデルのみの展開となっているため、キャラクターの被るヴェゼルの2WDモデルを廃止して4WDモデルのみとしたと考えられる。

一方のe:HEVモデルについては、「e:HEV Z PLaYパッケージ」が改良前の「e:HEV PLaY」に近いものとなるが、「e:HEV PLaY」は2WDモデルのみだったのに対し、マイナーチェンジ後の「e:HEV Z PLaYパッケージ」については4WDモデルが選択できるようになったのが朗報と言えるだろう。


e:HEV X HuNTパッケージでは、撥水・撥油機能のあるシート生地「FABTECT」を採用(写真:本田技研工業)

そして新たに追加となった「e:HEV X HuNTパッケージ」については、アクティブに楽しむユーザー向けにルーフレールや撥水・撥油機能のあるシート表皮などが備わり、よりアウトドアテイストを強めた仕様となっている。

グレード選びはほぼほぼ指名買い?

ヴェゼルを検討している人で、「e:HEV Z PLaYパッケージ」と「e:HEV X HuNTパッケージ」が気になっているという人にとっては、ほぼほぼ指名買いとなるはずだ。


e:HEV Z PLaYパッケージの外観(写真:本田技研工業)

「e:HEV Z PLaYパッケージ」に関しては、ヴェゼルの中でも個性が際立つモデルとなっており、専用カラーの内外装や、マイナーチェンジ後のヴェゼルとしては唯一「パノラマルーフ」が選べるグレードとなっており、オンリーワンの個性を備えたグレードとなっている。


e:HEV X HuNTパッケージの外観(写真:本田技研工業)

そして「e:HEV X HuNTパッケージ」も同様に専用の内外装が用意され、こちらもほかのグレードでは設定されないルーフレールが備わるなど、こちらも欲しい人はこのグレード以外は考えられないという仕様と言えるからだ。

そうなると残るは「G」と「e:HEV X」、「e:HEV Z」の3グレードとなるが、「G」と「e:HEV X」はパワートレインが異なるだけで機能装備はほぼ共通であるため、安価な4WDモデルが欲しい人は「e:HEV X」の4WDモデルよりも45万円ほど安価な「G」がオススメとなり、駆動方式問わず安価なものをと考えているのであれば、24万円高(ただエコカー減税で諸費用はe:HEVのほうが10万円程度安くなる)で狙うことができる「e:HEV X」の2WDモデルを選ぶほうが満足度は高いと言えるだろう。

e:HEVのXとZは装備やメーカーオプションに注目


Honda SENSINGブラインドスポットインフォメーションの概要図(写真:本田技研工業)

残る比較グレードは「e:HEV X」と「e:HEV Z」のどちらにするかということになる。この2グレードの車両本体価格の差は約30万円となるが、「e:HEV Z」ではブラインドスポットインフォメーション、アダプティブドライビングビーム、ステアリングヒーター、18インチアルミホイール、ハンズフリーアクセスパワーテールゲートといった装備が備わり、内外装の加飾も上級グレードらしいものとなる。


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またメーカーオプションとして後退出庫サポート、マルチビューカメラシステム、Honda CONNECTディスプレー+ETC2.0車載機、プレミアムオーディオ(10スピーカー)、ワイヤレス充電器が選べるのも「e:HEV Z」のみとなるため、これらのメーカーオプションの中でひとつでも欲しいと思うものがあるのであれば、「e:HEV Z」一択ということになるのだ。

逆にこれらの装備に魅力を感じないという場合は「e:HEV X」でも十分満足できる装備となってはいるが、最終的に手放すときのリセールバリューは上級グレードの「e:HEV Z」のほうが圧倒的に有利となることが想像できるため、乗り換えて次のクルマを選ぶところまで考慮するのであれば、「e:HEV Z」「e:HEV X HuNTパッケージ」「e:HEV Z PLaYパッケージ」の3グレードの中からチョイスすることをオススメしたい。

(小鮒 康一 : フリー(ライ)ター)