ふるさと納税は、しないと損をする?

写真拡大 (全4枚)

ふるさと納税は、「納税」という言葉がついていますが、制度内容は寄附に近く、応援したい自治体(都道府県や市区町村)を選んで寄付ができます。寄付をすることにより、所得税や住民税が戻ってきます。 では、ふるさと納税をしないと損をするのでしょうか? 正しく理解してから、利用を始めましょう。

ふるさと納税って何?

ふるさと納税は、寄付金として支払った金額から2000円を超える部分について、所定の手続きを行うと、翌年の住民税額から控除されるしくみです。確定申告をする人は住民税・所得税両方の計算から控除されますが、どちらもそれぞれの税率をかける前の金額は同じです。
年収や家族構成によって寄付の上限額が決まっており、これを超えると自己負担額が2000円を超えてしまいます。例えば年収500万円で、専業主婦と高校生1人の世帯なら、上限額年4万円までの寄付金であれば、自己負担額が2000円となります。
また、自治体の多くは寄附した人に対し、寄付額の最大30%相当の返礼品(各地の名産品や生活用品)を送ってくれます。
つまり2000円の自己負担で、例えば先述のケースであれば1万2000円(=4万円×30%)相当の品が手に入るのです。ふるさと納税専用Webサイトから好きなお礼の品を選べますが、食品、雑貨、日用品など、普段使うものをもらえば節約にもなります。
さらに、クレジットカードでふるさと納税を行うと、ポイントが附与されます。
 

人によって控除される金額が異なる。事前にチェック

ふるさと納税の上限は、図表1のように、年収や家族構成によって細かく異なります。上限額の目安は、ふるさと納税専用Webサイトで所定の項目を入力すると簡単に知ることができます。
専用Webサイトでは、検索しながら返礼品を選び、ふるさと納税の手続きまでできるので便利です。自分の上限額を調べたうえで、上限ギリギリで寄付しましょう。
なお、ふるさと納税による寄付額が控除上限額を超えた場合、超えた分は控除されませんので注意しましょう。また、夫婦それぞれが別々にふるさと納税することも可能です。
図表1


総務省「ふるさと納税しくみ 税金の控除について」より著者作成
 

控除を受けるための手続き

ふるさと納税の控除は、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」か「確定申告」を利用します。年末調整では、手続きできません。
確定申告の場合は、ふるさと納税後に届く「寄附金受領証明書」または「寄附金控除に関する証明書」を添えて申告します。
ワンストップ特例制度を利用できる条件は、図表2のように、ふるさと納税先の自治体に「ワンストップ特例申請書」を提出していること、1年間の寄付先自治体が5団体以内であることなどです。また、「ワンストップ特例申請書」の提出が不要で、特例申請をオンラインで行える自治体もあります。
なお、別の控除(医療費控除や住宅ローン控除など)を受けるために確定申告をすると、ワンストップ特例制度の申請が自動的に無効になります。「寄付金控除」として、確定申告書で申請しなおす必要があるので、注意しましょう。
図表2


総務省「ふるさと納税のしくみ 制度改正について(2015年4月1日)」より著者作成
 

まとめ

結論として、税金を納めるときは、ふるさと納税をしたほうがお得になるでしょう。節税効果を得られなくても、ふるさと納税には次のようなメリットがあります。「応援したい自治体を指定でき、普段使うものをもらえば節約になる」「実質2000円負担で返礼品がもらえる」「クレジットカードなどのポイントがためられる」などです。
ただし、「寄付額が控除上限額を超えた場合、超えた分は自己負担になる」「医療費控除や住宅ローン控除など、別の控除を受けるために確定申告をすると、ワンストップ特例制度の申請が自動的に無効になる」などの点に注意しましょう。
 

出典

総務省 ふるさと納税のしくみ 税金の控除について
総務省 ふるさと納税トピックス 制度改正について(2015年4月1日)
執筆者:水上克朗
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー