阪神の本拠地・甲子園球場

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プロ野球楽天の元監督で野球解説者の田尾安志氏(70)が2024年7月18日にユーチューブを更新し、同日に東京ドームで行われた巨人対阪神戦を独自に分析した。

阪神は近本光司外野手(29)、中野拓夢内野手(28)がスタメン落ち。スポーツ紙によると、2人が同時にスタメン落ちしたのは、岡田彰布監督(66)就任後初めてだという。

「野口は1番を打つにはちょっと向いていない」

試合は阪神が2回に2点を先制し、5回に1点を追加。ところが1点リードの5回に先発・大竹耕太郎投手(29)が巨人打線につかまり2点を失い逆転された。両チームともに6回以降得点がなく、巨人が4−3で勝利した。

田尾氏は、岡田監督が前日の試合から複数人スタメンを入れ替えたことに触れ、近本に代わり1番に起用された野口恭佑外野手(24)に言及した。

「近本、中野、そして前川。このあたりがベンチからスタートということで、ちょっと驚きました。岡田監督は何か考えがあってのことでしょうけれども、野口は足がそんなに速くない。打率もいまのところ1割台ということで、1番を打つにはちょっと向いていないのかなという選手ですが、あえて先頭打者にもってきた。どういう考えか、本当に聞いてみたい」

そして、野口が初回に見逃し三振に倒れたシーンを、こう振り返った。

「初回、野口が2ボール2ストライクから、外寄りの甘い真っすぐ148キロをすんなり見逃して三振。僕もずっと1番を打ってたので、あえて言いますが、『最初のバッターが見逃してベンチに帰ってくるのは絶対にダメだよ』と口酸っぱく言われた覚えがある。『振って帰ってくるなら仕方ないけれども、ストライクゾーンに来た球を見逃して三振で帰ってくるな』とよく言われましたので、今日の野口の甘めの外寄りの真っすぐをあっさり見逃したのは、がっかしりた」

田尾氏が「非常に大きかった」と指摘したのが、同点で迎えた5回の攻撃だ。

「本物のレギュラークラスは極端に言うと全試合出るくらいの気持ちで」

先頭の小幡竜平内野手(23)が四球を選んで出塁すると、続く大竹が送りバントを決め1死2塁。さらに野口が四球で出塁し、1死1、2塁とチャンスを広げた。

得点のチャンスに、岡田監督は近本を代打に起用。近本は期待に応えてライト前ヒットを放つも小幡がホームでタッチアウトとなった。岡田監督はリプレーを要求するも判定は覆らず2死1、3塁からのスタートとなった。

田尾氏は小幡の走塁について「小幡の足なら楽に帰ってくるかなと思ったんですが、多分走塁の途中で小幡が足を痛めたんだと思います」と前置きし、次のように持論を展開した。

「タイミング的にはセーフのタイミングで行ったのですが、どういうわけか小幡がスライディングで、回り込んで手でタッチしにいった。キャッチャーは今、ブロックしてはいけないので、ホームベース上が空いている。そこにストレートでドーンといけば、完全にセーフのタイミングだった。あえて回り込んで、手でタッチした。足で行ってもセーフだったと思うし、今はホームにヘッドスライディングをして左手でベースにタッチする。これが主流になっている。1番速いと言われている。あそこはヘッドスライディングで行ったら楽にセーフだった」

得点のチャンスを逃した阪神は直後に、渡邉諒内野手(29)がセンター前にヒットを放って逆転に成功。ところがその裏に2点を失い試合をひっくり返された。

田尾氏はこの日の岡田監督の起用法を「ある意味奇襲策という感じだった」と評し、現役時代の経験を踏まえ、

「選手を代えて気分一新というのもひとつあると思うが、これだけガラッと代わってしまうと、前後のつながりが非常に難しくなると思います」

と語った。

そのうえで、「本物のレギュラークラスは、極端に言うと、全試合出るくらいの気持ちでいてもらいたいし、そうあってほしい。それをときどき疲れているのが見えるので休ませる。そういうことは必要だが、作戦面の中で、いろいろとっかえひっかえというのはあまりしない方が、終わってみたら結果として残っている気がします」

17時点でリーグ4位のチームは、18日からホーム甲子園球場でリーグ2位の広島と3連戦を予定。オールスター戦明けの26日からは中日との3連戦を控えている。