婚活歴10年。いまだ成婚できない男性が望む女性とは(写真:horiphoto/PIXTA)

婚活をスタートさせて、あっという間に結婚していく人と、100人以上とお見合いをしても結婚相手が見つからない人がいる。この差はどこにあるのだろうか?

仲人として婚活現場に関わる筆者が、婚活者に焦点を当てて、苦労や成功体験をリアルな声とともにお届けしていく連載。今回は、婚活で結婚できない人の理由について、事例とともに一緒に考えてみたい。

わが子をこの手に抱きたいシニア

婚活を苦戦する要因で一番多いのは、男性も女性も“子どもを授かりたい”という気持ちだろう。

先日、面談に来たやすお(61歳、仮名、初婚)が言った。

「最後の思いとして、自分のDNAを残したくなったんです」

やすおは自営業で、「自分が元気なうちは現役を引退するつもりはない。若い頃から資産形成をしてきたので、子育てをしていくには心配いらない資産と預貯金がある」とのことだった。

やすおだけではなく、婚活市場には、50代、60代、70代になっても、結婚後に自分の子どもを希望している男性が多い。

46歳から「子どもがほしい」と婚活を始めたいわお(仮名)は、あれから10年が経ち、56歳になった今も、わが子を腕に抱くことを夢見ている。

自分は10歳年を取ったのだが、子どもが産める女性の年齢には限りがあるので、申し込みをする女性ターゲットは、据え置きのまま。年々女性との年の差が開いていくので、お見合いも成立しにくくなっているのだが、夢をあきらめきれない。

また、女性たちも、「最後のチャンスに」と40代を過ぎても子どもを望む人たちが多い。あやこ(41歳、仮名)も、そんな1人だ。

「ただ、授かるかどうかはわからない。だから、“どうしても子どもがほしい”という、子どもをマストにしている男性との結婚は難しいです。私に心理的なプレッシャーがかかるので、“できたら子どもがほしいが、できなければ、2人で仲良く暮らしていきたい”という柔軟な考えを持っている方がいいです」

そうした思いがありながらも、「男性の年齢は、自分の歳に近い人」としている。

“子どもがほしい”と願うアラフォー女性は、皆あやこと同じ歳の近い人を希望している。理由は、“子どもの父親になる男性には、なるべく長い年月働いていてほしい”と思っているからだ。

そうなると、子どもがほしい50代、60代、70代は、彼女たちの婚活ターゲットではなくなる。

世の中には、60代、70代でも父親になっている男性がいたり、45歳を過ぎても出産している女性がいたりする。“ならば自分も”と思ってしまうのは、しかたのないことだろう。

筆者からこうした人たちへのアドバイスなのだが、子どもがほしいという自分の希望に、締め切りをつけてみたらどうか。

例えば、1年間だけは自分の希望通りの婚活をしてみる。それでもうまくいかない場合は、希望は残しつつも、“これからの人生を共に歩くパートナーを探す結婚”に切り替え、相手探しの年齢や条件の幅を広げてみる。という考えは、いかがだろうか?

圧倒的にコミュ力がない

コミュニケーション能力があるかないかは、婚活の成否を分ける大きな要因だが、婚活市場にいる人たちは、どうも相手との距離感がうまく測れない人が多い。

婚活を始めて半年になるゆうこ(45歳、仮名)が、みちお(51歳、仮名)とのお見合いを終え、“交際辞退”を出しながらこんなことを言った。

「今日の人、こちらが質問しても、一言答えが返ってきて、それで終わり。それで黙りこくってしまうので、会話が続かない。すごく長い1時間でした」

会話は、うまくしゃべれるかしゃべれないかよりも、対峙した相手の波長にいかに合わせられるかにかかっていると思う。よどみなく次から次へと言葉が出てくる男性に女性たちは、こんな感想を抱く。

「今日の男性、本当によく喋る人で、何か物を必死で売りたがっている営業マンのようでした」

また、次から次へと質問を繰り出してくる男性には……。

「なんだか上司と話しているようで、結婚するパートナーとしてのイメージが湧きませんでした」

お見合いにおける上手な会話術は、次のことに気をつけてみたらどうか。

・自己紹介は、簡潔、かつ丁寧に話して、相手に興味を持ってもらう。

・相手の話を聞くときには、相手の発言にまずは共感し、それに関連した質問をしていく。

・親しみを持ってもらうために、笑顔とアイコンタクトを忘れない。

・趣味や興味のある話題が出てきたときには、共通点を探してみる。

・ポジティブな発言をして、明るい雰囲気を作る。

見た目の印象で、その後が決まる

見た目とは、ハンサムか美人か否か、ということではない。見た目において、一番大切なのは、清潔感だ。お見合いで出会ったときに、最初に目に飛び込んできたものが、その人の第一印象になる。

服装、ヘアスタイル(女性の場合はメイクも)、身だしなみをきちんとして、お見合いに臨むことが最初の第一歩。

また、自分が発する臭いに気をつけることも忘れてはいけない。「今日の人は、口臭が気になりました」「体臭が気になりました」「香水がキツかった」というお見合いお断りの理由が、意外と多い。

さらに、人には行動の癖があるのだが、その癖が相手に違和感を与えることがある。まゆみ(38歳、仮名)が、お見合いしたたつお(42歳、仮名)についてこんなことを言った。

「今日の方、たわいもない冗談や自分のちょっとした失敗談を言った後に、ペロッと舌を出すんです。それがお見合い最中に5、6回あって、その行動が謎でした」

それでも、「話は面白かったし、悪い人ではない」と思ったので交際希望を出し、初めてのデートに出かけた。しかし、それを終えて、“交際終了”を出してきた。

「舌を出すのは、会話しているときだけではなかった。食事に行ったのですが、口に食べ物を運び入れる直前に、舌がペロッと出てくるんです。迎え舌っていうんですよね。全般的に舌を出すのが癖なんだと思います」

“見た目でその人の印象が9割決まる”といわれている。

婚活においては、清潔感のある身だしなみは何よりも大切だ。それに加えて、人それぞれに行動の癖があるので、そこにも注意を払ってみてほしい。癖というのは自分では気づいていなくても、相手には違和感を与えていることが多い。そこをもう一度自身でチェックしてみたらどうか。

交際になったら、とにかく動く

最後に、婚活をしてもそれが成婚に結びつかない人の特徴として挙げられるのが、“交際になっても動かない人”だ。

お見合いの後、交際が成立すると、お互いの連絡先の交換となり、成立した日かその翌日に、男性が女性にファーストコールもしくは、ショートメールでファーストコンタクトをするのが通例だ。

婚活の場合、交際になった瞬間が最も気持ちのテンションが高い。そのときに、次に会う約束を取り付けるのがよいが、「今は仕事が忙しいので、落ち着いたら連絡します」と、2週間も3週間も音沙汰がないと、上がっていたテンションが急降下する。

お互いのことをまだ何も知らない。人間関係ができあがっていないときに下がったテンションは、二度と上がらない。

交際になったら、頻繁にLINEで連絡を取り合って、最低でも1週間に1度は会うことが大事。ただし、LINEを送るときに、気をつけなくてはならないことがある。

ゆかり(38歳、仮名)が、さとし(38歳、仮名)と交際に入ったのだが、筆者にこんな連絡を入れてきた。

「今回の方、その日のできごとを日記風につづる長文のLINEが毎晩、来ます。読むのも疲れるし、何を返信したらいいかわからなくて困っています」

LINEは、“相手にもらった文章量と同じ文章量を返さないと悪い”という気持ちが働く。頻繁にLINEを送ることは大切なのだが、短文がいい。LINEには、天候や1日あったことなどをさらりつづる。


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何の連絡も入れずに日にちが空いてしまえば、相手への存在感はどんどん薄れてしまうので、LINEによって自分の存在を認識させる。2人の距離を縮めるのは、電話やリアルに会って、会話をしたほうが効果的だ。

いかがだっただろうか? 

婚活に苦戦している人は、もう一度自分の婚活のやり方や行動パターンを見直してみてほしい。

(鎌田 れい : 仲人・ライター)