【函館記念】好走のポイントはスタミナと洋芝適性 波乱の芝2000米のハンデ戦/長岡一也
【長岡一也=コラム「競馬白書」】
◆ハンデ頭はいずれも大敗
函館記念は、荒れるのが当り前に思えるほど波乱が続いている。この5年に絞ってその内側を見てみた。
洋芝ということで全体に時計がかかっているのだが、馬場が良くても悪くても、前後半のラップをみると、だいたいが前半の方が速くなっていた。5年前の2019年は前後半の1000米が、どちらも良馬場で59秒8のイーブンだった以外は、残る4年全てが前半の方が速くなっていると言うことは、小回りコースであっても消耗戦であることに間違いない。
そこで好走するにはスタミナがあるかどうかが問題で、過去のレースの中でそれを見つけられるかどうか、それがひとつのポイントになっている。
それからトップハンデ馬の成績が良くないのも顕著で、この5年は、58キロを背負って4番人気だった馬が13着、57キロで2番人気馬が11着、58.5キロで1番人気馬が9着、57.5キロで3番人気馬が5着、そして昨年の59キロで8番人気馬が12着と、いずれもハンデ頭は大敗に終っている。
この5年で一番背負って勝ったのは2年前のハヤヤッコで、57キロで1枠1番から好位をとってロスなく最内で折り合っていた。春の天皇賞で15着と大敗していて、このときは7番人気と評価は低かったが、3歳時ダートのレパードSを勝っていて力のいる洋芝は得意な血すじ。
函館記念は雨で重のコンディションだったが白い馬体を泥だらけにしてゴールし、白毛初の二刀流とたたえられていた。ハヤヤッコは昨年は58.5キロを背負い、2枠3番で7番人気だったが、中団後ろから長く脚をつかって5着まで来ていた。
斤量が一番影響したと浜中騎手は語っていたが、3年目の今年も健闘は期待できるが、情況は苦しいだろう。
当然伏兵さがしということになるが、2ケタ人気馬で連対を果たした側を探してみた。やはり軽ハンデ馬ということになるが、この5年で一番荒れたのが2020年で、1着アドマイヤジャスタ(牡4)54キロで15番人気、2着ドゥオーモ(牡7)53キロで13番人気であった。
ブービー人気のアドマイヤジャスタは重賞初制覇だったが、前半1000米が58秒8のハイペースの中、道中8番手につけて直線外に出して快勝していた。パシュファイヤーを装着して集中力を高めていたが、2歳時にホープフルS2着と好走したことがあり、素質は高い馬だった。
2着のドゥオーモは行き脚がつかず後方からの運びだったが、馬群をさばいて上がり最速の36秒1をマーク、ハンデと展開に恵まれたと言っていい。軽ハンデの伏兵を探すのも面白い。
ドゥラメンテ産駒53キロのエンパイアウエストはオープン昇格の初戦だが、体が増えて充実してきた。前につけて渋太さに期待したい。あとはサヴォーナ、デビットバローズのパワーのある2頭、洋芝が合うアケルナルスターを。
「はるばると 函館に来て 名を残す」