95年のエンプレス杯を圧勝したホクトベガ(撮影:高橋正和)

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 川崎競馬場で7月3日(水)に行われるスパーキングレディーカップ(3歳上牝・JpnIII・ダ1600m)。同レースには「ホクトベガメモリアル」と副題がついている。同馬は90年代の半ばに活躍した歴史的名牝。夏の夜を彩る牝馬たちの激闘を前にホクトベガの足跡を振り返ってみたい。

 ホクトベガで思い出されるのは、「ベガはベガでもホクトベガです!」の名フレーズだろう。この言葉が生まれた1993年のエリザベス女王杯のほか、同年のフラワーC、94年の札幌記念と芝でも重賞3勝を挙げている。しかし、真の強さを見せたのはダートだった。

 中でも95年のエンプレス杯は、今でもファンの語り草になっている。スタートから抑えきれない手応えで、ホームストレッチから先手を奪うと、そのまま馬なりで後続に3.6秒差の圧勝。牡馬相手にダイオライト記念を勝ったアクアライデンら、南関東の強豪がまったく相手にならず、地方競馬のファンや関係者に衝撃を与えた。

 その後、96年の川崎記念を皮切りにフェブラリーSや帝王賞、南部杯など全国各地のビッグレースを席巻。先のエンプレス杯から97年に川崎記念を連覇するまで、交流重賞10連勝の大偉業を成し遂げた。引退レースとして挑んだドバイWCで、残念ながらアクシデントにより命を落とした。母としてその血を紡ぐことはできなかったが、川崎コース4戦4勝の功績をたたえて、現在はスパーキングレディーCに名を残している。

 そんな名馬の背中を追うべく、今年も中央・地方から12頭が同レースに集結。蒸し暑さを忘れさせるような熱戦を見せてくれるはずだ。