立ちはだかった“青き壁” フランスの戴冠劇に地元メディアも激賞「日本はまだ死んでいないと示したが突き放す」【男子バレー】

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石川もマークされた日本。この日はフランスの牙城を突き崩しきれなかった。(C)Volleyball World

 惜しくも悲願の初戴冠とはならなかった。

 現地時間6月30日、バレーボールネーションズリーグ(VNL)は男子ファイナルラウンド決勝がポーランドのウッチで開催。世界ランク2位の日本は、同5位のフランスに1−3(23-25、25-18、23-25、23-25)で敗れ、無念の準優勝に終わった。

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 予選ラウンドの対戦では0-2からフルセットの末に逆転してみせた日本。しかし、この日はミスも重なって、フランスの牙城を突き崩しきれなかった。第1セットを奪われて迎えた第2セットこそ序盤に郄橋健太郎のクイックや石川祐希のツーバックアタックで先行して奪い返したが、残りの2セットを接戦の末に落として万事休すとなった。

 難敵を破っての戴冠劇に快哉を叫んだのはフランスの面々だ。1週間前に“まさか”の逆転負けを喫した際には、辛辣な批判を展開していた国内メディアも、今回ばかりは賞賛の言葉を居並べている。

 パリの地元紙『Le Parisien』は、「パリ五輪まで1か月もない中で、このような美しい祝賀会が開催されるとは夢にも思っていなかった」と精鋭たちの成功を称賛。日本との試合について「いつも難しい展開になる」と振り返ったオポジットのジャン・パトリーのコメントを紹介した上で、「ブルーズ(フランス代表の愛称)の選手たちはとても忍耐強く、本当に良いプレーした」と激闘を総括した。

 また、ブルターニュ地方を拠点とする日刊紙『Ouest France』も、「日本は第2セットを奪い、『自分たちがまだ死んでいない』と示したが、フランスが素晴らしいパフォーマンスで突き放した」と激賞。いずれのセットも接戦となった攻防を制した母国代表を次のようにも評している。

「大会前の目標が準決勝に進むことだったとは思えない。ブルーズは、予想よりもはるかに良い成績を収めた。日本を相手に第2セット(18-25)を落としたフランスだったが、焦りが出るような場面でも彼らは驚くべき落ち着きを見せた。3セットを2点差(25-23)で制し、感情をコントロールする術を心得ていることを証明したのだ。これはパリ五輪に向けて良い兆しだ」

 決戦で立ちはだかった青き壁。ホスト国として五輪制覇に燃える彼らを大一番でいかに崩すかは、日本の52年ぶりとなる金メダル獲得に向けた課題となりそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]