また、高齢化社会が進展する一方で、核家族化や若年層の減少などにより、家族や親族間での終活の支援が難しくなっていることから、自分自身や家族の最期に関する関心も高まっている。こうした「終活」を支援する新たなサービスや商品なども次々と登場しており、これら「終活ビジネス」の裾野が広がっている。

●鎌倉新書などに注目

 終活関連の代表格といえば鎌倉新書 <6184> [東証P]だろう。終活に関するさまざまなポータルサイトを運営しており、「いい葬儀」「いいお墓」「いい仏壇」などを展開。また、相続手続きの無料相談と専門家を紹介する「いい相続」や、介護施設・老人ホーム紹介サイト「いい介護」といった生前領域のサービスにも注力するほか、自治体の終活サービスを支援する官民協働事業も順調に拡大している。27年1月期に売上高120億円(25年1月期予想72億5000万円)、営業利益25億円(同11億円)を目指す中期経営計画では、生前領域でのサービス開発に注力する方針だ。

 アスカネット <2438> [東証G]はフューネラル(葬儀)事業として、全国の葬儀社をネットワークでつなぎ遺影写真など画像映像のデジタル加工処理や通信出力サービスを提供している。また、インターネットを活用した訃報配信サービス「tsunagoo(つなぐ)」では、WEBによる記帳や香典の受け付けなども可能で、3000以上の葬儀会館に利用されている。

 マネーフォワード <3994> [東証P]は相続に関する課題解決を目指すサービスとして「マネーフォワード お金のバトンβ」の提供を昨年9月に開始した。デジタルツールによる見える化とプロへの相談環境を提供することで、問題解決を支援する。

 アイティフォー <4743> [東証P]は今年1月から3月にかけて、chaintope(福岡県飯塚市)と共同で、ブロックチェーンを活用した電子終活ノートの検証事業を実施した。検証の結果、終活ノートという堅牢性・真正性が求められるサービスに対してブロックチェーンが有効であることや、紙の終活ノートに比べアプリでは情報の保管や共有を容易かつ安全に行うことが可能であることを実証。これを受けて、市場化に向けて取り組みを進めている。

 ブロードマインド <7343> [東証G]は個人の保険、住宅ローン、資産運用、老後資産形成や、法人の財務対策などファイナンシャルプランニングに係るコンサルティング業務を展開している。23年6月からは「終活・相続サポートサービス」をスタートさせており、財産管理や遺言書作成から葬儀場探し、遺品整理などまで各専門家と連携して一括サポートしている。

 バリュークリエーション <9238> [東証G]は不動産DX事業の一環として、近くの解体業者の見積もりを比較できるサイト「解体の窓口」を運営している。終活で焦点の一つになるのが自宅の扱い方だが、同サイトは物件情報と物件写真を提出すると、付近の解体業者が次々に安い見積もり金額を提示する逆オークションが特徴で、空き家規制の強化もあって事業は成長中。更に解体後の土地活用や相続など周辺ニーズに応えることで、更なる拡大を目指している。

 東京電力ホールディングス <9501> [東証P]子会社の東京電力エナジーパートナーは、22年から「さいごまで安心サービス」を提供している。生前から亡くなった後の手続きまでを一括サポートするサービスで、エンディングノートの作成アドバイスからライフプラン、資産活用、相続対策などを相談できるほか、葬儀の手配や死後の公共サービスの解約までを支援する。

 このほか、上場する葬儀会社の平安レイサービス <2344> [東証S]、ティア <2485> [東証S]、こころネット <6060> [東証S]、サン・ライフホールディング <7040> [東証S]、きずなホールディングス <7086> [東証G]、ニチリョク <7578> [東証S]、燦ホールディングス <9628> [東証P]や自宅葬専門の葬儀社である鎌倉自宅葬儀社を子会社に擁するカヤック <3904> [東証G]などにも注目したい。

株探ニュース