北海道

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 北海道旭川市の公園で2021年3月、いじめを受けていた中学2年の広瀬爽彩(さあや)さん(当時14)が凍死体で見つかった問題で、市教育委員会は26日夜、原本を思わせる黒塗りのない「調査報告書」をネット上に公開した市民団体に対し、削除を求め、受け入れられた。

 すでに市民団体のサイトでは閲覧できなくなっている。

 市教委は市民団体に電話とメールで削除を要請。「真偽不明な文書を公文書のように掲載している。プライバシーの侵害だけでなく、今後の調査にも大きく影響を及ぼす」とした上で、「新たに同様の記事を掲載する場合は法的措置も考える」と伝えた。市教委は今後、警察への相談も含めて対応を協議していくという。

 これに先立ち、今津寛介市長は同日の記者会見で「真偽は別として、このような行為は故人を冒瀆(ぼうとく)し、著しく尊厳を傷つけるものだ」と市民団体を厳しく非難。市が設置した再調査委員会の答申の期日を発表する予定だったが、「残念ながら日程の再調整を余儀なくされた」と語った。

 遺族側弁護団は27日、画像データ削除のためにサイトを運営する市民団体への削除要請や記事抹消手続きなどを余儀なくされたことは偽計業務妨害にあたるとして、市教委に刑事訴追するよう求める要望書を提出した。

 遺族弁護団の石田達也弁護士は「市民団体がネット上で公開した文書の画像はいまもネット上に転載され続けている」とした上で、「今回のような違法行為が繰り返されれば、情報漏洩(ろうえい)を恐れて誰も調査に協力できなくなる。重大事態調査が機能不全に陥れば、いじめに苦しむ子どもたちの命を危険にさらす結果を招く。市教委には毅然(きぜん)とした態度で臨んでほしい」とのコメントを出した。

 ネット上に公開された「調査報告書」は、当時の第三者委と遺族が黒塗りの箇所や表現などを修正する段階のもので、手書きのメモや文章にアンダーラインも引かれていた。(奈良山雅俊)