宝塚記念を制したブローザホーン(c)netkeiba

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【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆血統で振り返る宝塚記念

【Pick Up】ブローザホーン:1着

 上位を占めた道悪巧者のなかでも、勝ったブローザホーンはワンランク上と思える馬力を秘めています。昨年5月、今回と同じ京都芝2200mで行われた烏丸Sを勝ちましたが、水しぶきが上がる不良馬場のなか後続を5馬身引き離す圧勝でした。

 この適性は母オートクレールから受け継いだものでしょう。「デュランダル×フォーティナイナー×アサート」というパワフルな血統構成で、現役時代、不良馬場の紅葉S(東京芝1600m)を勝った経験があります。3勝クラスにもかかわらず勝ち時計は1分41秒7。この極端に悪化した馬場で、他の馬がもがき苦しむなか、水かきがついているとしか思えない軽やかなフットワークで後続を5馬身ちぎりました。12頭立ての10番人気だったので馬場が利したという以外に考えづらい勝利でした。

 父エピファネイアは今年GIを4勝目(他に桜花賞、ヴィクトリアマイル、日本ダービー)。JRAの平地GIを種牡馬別にカウントすると断然トップで、2位は1勝で8頭が横並びとなっています。

 生産者の岡田スタッドは、2022年のタイトルホルダーの生産者でもあり、過去3年間に2頭の宝塚記念優勝馬を出したことになります。

◆血統で振り返るさきたま杯

【Pick Up】レモンポップ:1着

 6月19日、浦和競馬場で行われたさきたま杯(JpnI・ダ1400m)は、3コーナーで先頭に立ったレモンポップがそのまま押し切り、断然の1番人気に応えました。

 父レモンドロップキッドは、名種牡馬エーピーインディの4分の3同血(父が同じで母同士が親仔)にあたるチャーミングラッシーを母に持つ良血で、キングカメハメハやエルコンドルパサーと同じキングマンボ産駒です。現役時代にアメリカのクラシックレースのひとつベルモントS(G1・ダート12ハロン)を含めてG1を5勝し、種牡馬としても成功しました。日本ではすでにビーチパトロール、アポロキングダムの2頭が後継種牡馬として供用されています。

 父レモンドロップキッド、母の父ジャイアンツコーズウェイとも芝・ダート兼用タイプではありますが、レモンポップ自身は重心の低い筋骨隆々とした馬体なのでダート向き。2代母ハーピアは大種牡馬デインヒルの全妹にあたる良血です。「父レモンドロップキッド、母の父ジャイアンツコーズウェイ、母方の奥にダンジグ」という配合構成は、スピンスターS(米G1・ダート9ハロン)を勝ったロマンティックヴィジョンと同じです。