アップルがタブレット向け次期プラットフォーム「iPadOS 18」を発表!

Appleは10日(現地時間)、アメリカ・カルフォルニア州クパチーノにある同社本社およびオンラインにて開発者向けイベント「WWDC 2024(Worldwide Developers Conference 2024)」の基調講演を開催しました。なお、WWDC 2024は現地時間(PDT)の2024年6月10日(月)から6月14日(金)まで実施され、すべてのコンテンツをオンラインで視聴可能となっています。

同社はその中でタブレット「iPad」シリーズ向けのプラットフォーム「iPadOS」の次期バージョン「iPadOS 18」を発表し、Apple Developer Programを通じて開発者向けベータ版が同日から提供開始され、Apple Beta Software Programを通じて一般向けベータ版が7月から、正式版は今秋に提供予定であることを明らかにしました。

iPadOS 18はより多くの方法でホーム画面やコントロールセンターをカスタマイズできるほか、写真アプリにこれまでで最大の再設計が施され、メッセージでは新しい方法で自分を表現でき、Apple Pencilのために設計された計算メモに対応した「計算機」アプリが追加され、これまでの「メモ」アプリも新しい手書きツールが利用可能になり、そしてパーソナルインテリジェンスシステムである「Apple Intelligence」を導入などの多くを備えたメジャーリリースとなっています。

アップデート対象機種はiPadOS 17とは異なり、iPad(第7世代以降)およびiPad mini(第5世代以降)、iPad Air(M2)、iPad Air(第3世代以降)、iPad Pro(M3)、12.9インチiPad Pro(第3世代以降)、11インチiPad Pro(第1世代以降)の21機種にて無料でOSバージョンアップが可能となっており、iPadOS 17の対象機種だったiPad(第6世代)と12.9インチiPad Pro(第2世代)、10.5インチiPad Proは対象外となっています。

なお、Apple IntelligenceはiPhone 15 ProおよびiPhone 15 Pro Max、M1以降を搭載したiPadとMacでSiriと製品の言語を英語(米国)に設定している場合に今秋よりベータ版として利用できるようになるとしています。


iPadOS 18は現在のiPad向け最新プラットフォームである「iPadOS 17」の次のOSバージョンです。プレゼンテーションにはAppleにてSoftware Engineeringを担当するSenior Vice PresidentのCraig Federighi氏などが登壇して説明しました。なお、アップデート対象製品は以下の通りで、新機能の詳細は公式Webページ( https://www.apple.com/ipados/ipados-18-preview/ )により詳しく掲載されています。

・iPad(第7世代)
・iPad(第8世代)
・iPad(第9世代)
・iPad(第10世代)
・iPad mini(第5世代)
・iPad mini(第6世代)
・iPad Air(第3世代)
・iPad Air(第4世代)
・iPad Air(第5世代)
・11インチiPad Air(M2)
・13インチiPad Air(M2)
・12.9インチiPad Pro(第3世代)
・12.9インチiPad Pro(第4世代)
・12.9インチiPad Pro(第5世代)
・12.9インチiPad Pro(第6世代)
・13インチiPad Pro(M4)
・11インチiPad Pro(第1世代)
・11インチiPad Pro(第2世代)
・11インチiPad Pro(第3世代)
・11インチiPad Pro(第4世代)
・11インチiPad Pro(M4)


iPadOS 18では計算機アプリがようやくiPadに追加され、iPad向け計算機アプリでは手書きメモにも対応した計算メモ機能を備えており、またこの計算メモ機能はメモアプリにも導入され、これらのすべてのメモ機能はApple Pencilのために設計されたということです。またiPadOS 18ではより多くの方法でホーム画面やコントロールセンターをカスタマイズできるほか、写真アプリにこれまでで最大の再設計が施されており、メッセージアプリでは新しい方法で自分を表現できるようになっています。

さらにiPadOS 18は生成モデルのパワーと個人的な背景を組み合わせて驚くほど有用で関連性のあるインテリジェンスを提供するiPhoneやiPad、MacのためのパーソナルインテリジェンスシステムであるApple Intelligenceを導入し、プライバシーをはじめから考慮して構築されており、iPadだけでなくiPhoneやMacとも緊密に統合され、言語や画像を理解して生成したり、複数のアプリにわたってアクションを実行したり、個人的な背景に基づいて日々のタスクをシンプルにしてより素早くこなせるようになります。

<iPadの計算機では計算メモにより新しい計算方法が可能に>
まったく新しい計算メモを備えた計算機では、ユーザーが数式をタイプ入力または手書きで記述すると、瞬時に数式の答えが自分の手書きで表示されます。授業で新しい概念を学んだり、予算を計算したりする時などに、変数に値を代入することもできます。新しいグラフ機能では、方程式を書いたりタイプ入力して、1回タップするだけでグラフを挿入したり、同じグラフに複数の方程式を追加して関係性を確認することもできます。計算メモは、メモアプリの新しい計算メモフォルダから自動的にアクセスできます。

iPadの基本計算機と科学計算機では、数式を完成させる前に数式全体を簡単に確認することができます。ユーザーは履歴で以前の計算を確認したり、単位換算機能で長さ、重量、通貨などをすばやく換算できます。

<スマートスクリプトで手書きメモがさらに柔軟に>
スマートスクリプトは、Apple Pencilのパワーを活用して、ユーザー個人の手書きの見た目と感覚はそのままに、手書きメモを滑らかで柔軟にし、一段と読みやすくします。スマートスクリプトを使えば、手書きのテキストがリアルタイムで滑らかになり傾きが補正されるため、読みやすさを損なうことなく、すばやく記述することができ、タイプ入力されたテキストと同じくらい簡単に編集することもできます。ユーザーはApple Pencilを使って、簡単にスペースを追加したり、文章に取り消し線を入れたり、タイプ入力されたテキストを手書きとしてペーストすることができ、新しい内容に合わせて段落は自動的にリフローされます。

メモアプリでは、タイプ入力されたテキストについても機能が強化されています。より便利に使えるよう、見出しや小見出しの下でセクションを折りたたんで、メモの内容を整理できるようになります。さらに、情報を目立たせる必要がある場合は、5色の新しいテキストハイライトカラーから選べるようになっています。

<iPadのカスタマイズ方法がさらに充実>
iPadOS 18では、ユーザーが自分らしさを表現するためのオプションがさらに増え、ホーム画面やアプリアイコン、コントロールセンターをまったく新しい方法でカスタマイズすることができます。アプリアイコンやウィジェットはホーム画面のどの空いたスペースにも置くことができ、理想的なレイアウトを作り、ユーザーの壁紙を引き立たせられます。アイコンやウィジェットは、ユーザーの思い通りにカスタマイズでき、ライト、ダーク、色合いで表示することができます。また、すべてのアプリアイコンやウィジェットをさらに大きいサイズで表示させたり、下に名前が表示されないようにして、新しいすっきりとした見た目にすることもできます。

コントロールセンターは再設計され、ユーザーが毎日行うたくさんのことにさらにアクセスしやすくなり、新しいレベルのカスタマイズと柔軟性が導入されます。この再設計により、メディアの再生、ホームのコントロール、接続機能など、ユーザーが最もよく使うコントロールの新しいグループにすばやくアクセスでき、スワイプで簡単にグループを切り替えることもできます。ユーザーは対応している他社製アプリのコントロールをコントロールセンターに追加して、すべて1つの場所で操作できます。デベロッパは新しいControls APIを活用して、車のロックをすばやく解除したり、ソーシャルメディア用のコンテンツを即座に撮影したりするなど、ユーザーがさらに多くのタスクをこなせるようにすることができます。

<新しいタブバーで操作が一段と簡単に>
再設計されたタブバーは、アプリのコンテンツの上にフローティング形式で配置され、サイドバーを補完して、よく使うタブにすぐアクセスできるようにしながら、ユーザーが最も重要なことに集中できるようにします。新しいフローティング形式のタブバーはサイドバーに優雅に変化するので、ユーザーは使っているアプリのすべての機能に深く入り込むことができます。iPadユーザーは再設計されたタブバーを使ってタブの順序を並べ替えたり、サイドバーから別のタブを追加でき、アプリ内での体験をまったく新しい方法でカスタマイズできます。

<再設計された写真アプリで特別な瞬間を追体験>
写真アプリにはiPadのより大きな画面を活かした、これまでで最大の再設計が施され、ライブラリが自動的に整理されるようになったため、検索にかかる時間が短縮され、最高の一瞬を楽しむ時間をさらに取れるようになりました。シンプルになった1つのビューにおなじみのグリッドが表示され、新しいコレクションにより、ユーザーはコンテンツをアルバムに整理しなくても、テーマごとにブラウズすることができます。さらに、簡単にお気に入りにアクセスできるようにコレクションをピンで固定できます。新しいカルーセル表示は、毎日アップデートされ、お気に入りの人物やペット、場所などを取り上げるハイライトが表示されます。アプリ全体でコンテンツが自動再生されるため、ライブラリが生き生きとし、ブラウズしながら過去の瞬間を楽しむことができます。ユーザーの写真ライブラリは一人ひとり異なるため、ユーザーはコレクションを整理したりピンで固定して頻繁にアクセスできるようにしたり、自分にとって最も大切な写真がカルーセル表示に含まれるようにアプリをカスタマイズすることができます。

<メッセージでつながりを保つための新しい方法>
メッセージでは、ユーザーが自分らしさを表現し、つながりを保つための方法が大きくアップデートされました。太字、下線、斜体などのテキストの書式やまったく新しいアニメーションによるテキストエフェクトがiMessageの会話を生き生きと表示し、再設計されたTapbackでは好きな絵文字やステッカーを使ってメッセージに反応できます。iPadOS 18の「メッセージ」にはメッセージをあとで送信するようスケジュールできる機能が導入され、親しい連絡先にいつ、どのような形で連絡するかをユーザーが完全にコントロールできるようになっています。

<気が散ることのないブラウズをSafariが実現>
世界最速のブラウザである2Safariでは、ハイライトと再設計されたリーダーの体験により、ウェブ上で情報をさらに簡単に見つける方法が提供されます。Safariは機械学習を使って、ウェブページの重要な情報を浮かび上がらせることができます。例えば、ユーザーは、記事の要旨を把握するために要約を確認する、レストランやホテル、ランドマークの場所をすばやく確認する、曲やアルバムに関する記事から直接アーティストの曲を聴くといったことができます。また、再設計されたリーダー表示により、記事や要約をすっきりした表示で楽しむための方法がさらに増えています。

<新しいプライバシーコントロール>
iPadOS 18では、自分のアプリを見ることができる人、連絡先の共有方法、自分のiPadをアクセサリに接続する方法をコントロールする方法がさらに充実しています。ロックされたアプリと非表示のアプリにより、ユーザーは、アプリの通知やコンテンツなどのプライバシーを守りたい情報が不用意に他者の目に触れることがなくなり、安心を得られます。ユーザーはアプリをロックできるようになり、さらにプライバシーを守るためにアプリを非表示にして、ロックされた非表示アプリのフォルダに移動することができます。アプリをロックまたは非表示にすると、そのアプリ内のメッセージやEメールなどのコンテンツは、検索、通知、およびシステム全体のその他の場所に表示されなくなります。

ユーザーはまた、アプリが自分の情報にどのようにアクセスするかをさらにコントロールして管理することができます。アプリが連絡先情報へのアクセスを求める場合、ユーザーは、連絡先のすべてのリストではなく、特定の連絡先へのアクセスを許可できます。ネットワーク上のほかの接続を非公開の状態に保つため、デベロッパは、近くにあるほかのアクセサリに依存することなく、Bluetoothアクセサリをシームレスにペアリングできます。

<Apple Intelligenceによって、iPadが一段と有用で楽しいものに>
iPadOS 18に緊密に統合され、プライバシーをはじめから考慮して構築されているApple Intelligenceは、ユーザーが書くことを強化したり、もっと効率的にコミュニケーションをとるための新しい方法を可能にします。iPadOS 18に組み込まれた、システム全体で使えるまったく新しい記述ツールにより、ユーザーは、メール、メモ、Pages、他社製アプリなど、ほとんどすべての書く場面で、文章の書き直し、校正、要約ができます。

新しい画像機能により、コミュニケーションや自己表現がもっと楽しくなります。Image Playgroundにより、ユーザーは、アニメーション、イラスト、スケッチの3つのスタイルから選んで、数秒で楽しい画像を作成できます。Image Playgroundは使いやすく、メッセージなどのアプリに直接組み込まれており、専用アプリでも利用できます。メモでは、ユーザーはApple Pencilのツールパレット内の新しいImage Wandを通じてImage Playgroundにアクセスでき、メモをさらに視覚的に魅力的なものにすることができます。

「写真」のメモリーでは、ユーザーは説明を入力するだけで、見たいストーリーを作成できます。Apple Intelligenceは、説明にもとづいて最高の写真とビデオを選び、写真から特定されたテーマにもとづいてチャプターに分かれたストーリーラインを作成し、独自の流れのある物語のムービーに仕上げます。さらに、新しいクリーンアップツールは、被写体を誤って改変することなく、写真の背景にある不要な対象物を特定して削除できます。

Apple IntelligenceのパワーによってSiriが大幅に前進し、これまで以上に自然で、状況に即した、パーソナルなものになります。さらに、ユーザーはSiriにタイプ入力することもでき、その時々に合う方法でテキストと声を切り替えてSiriとやり取りできます。

Private Cloud Computeにより、AppleはAIにおけるプライバシーの新しい基準を打ち立てます。デバイス上の処理から、専用のAppleシリコン搭載のサーバ上で実行する、より大規模なサーバベースのモデルまで、演算能力を柔軟に拡張できるようになります。リクエストがPrivate Cloud Computeにルーティングされる場合には、データは保存されずAppleがアクセスできるようになることもなく、データはユーザーのリクエストに応えるためにのみ使われ、独立した専門家がこのプライバシーに関する約束が守られているかを検証することができます。

さらに、Siriや、Appleのプラットフォーム全体にわたってシステム全体に組み込まれた記述ツールにはChatGPTへのアクセスが統合されているため、ユーザーはツール間を行ったり来たりしなくても、ChatGPTの専門知識や画像と文書を理解する機能にアクセスできます。

<iPadOS 18のその他のアップデート>
・キーチェーンを基盤に構築されたパスワードは、パスワードや確認コード、セキュリティアラートなどの認証情報にアクセスしやすくし、これらを一か所に安全に保存できるようにする新しいアプリです。

・SharePlayは、画面共有のパワフルなアップデートにより、今年はさらに向上しています。ユーザーは自分の画面をタップしたり描画することで、何をすべきか示すことができます。より直接的なサポートが必要な場合は、デバイスをリモートでコントロールする許可を求めることができます。

・フリーボードではアイデアに命を吹き込むのがもっと簡単になります。ユーザーはシーンを作成してボード上の複数のセクションをトピック別に整理したり、コンテンツをすばやく移動して簡単に示すことができます。

・ゲームは、ゲームモードやパーソナライズされた空間オーディオなどの機能によって、さらに没入感のある体験となり、近日公開予定の「アサシン クリード シャドウズ」や「BIOHAZARD 7 resident evil」などのタイトルでは、プレイヤーをアクションの中に引き込みます。Game Porting Toolkit 2によって、デベロッパは新しいツールを使って一段と高度なゲームをiPad、iPhone、Macでより簡単に提供できるようになります。

・カレンダーにイベントとリマインダーのタスクが表示されるようになり、さらに便利になっています。ユーザーはカレンダーから直接、リマインダーを作成・編集・完了することができます。

・リマインダーには、カレンダーアプリから直接表示・作成・編集できる機能や、最近削除したリストへのアクセス、スマートリストでサブタスクを見つけてすばやく確認する機能などの新しいツールが追加されています。

・Appleマップでは、米国内の国立公園の何千ものハイキングコースをブラウズして、自分だけのウォーキングコースを簡単に作成でき、オフラインでもそれらのコースにアクセスできます。マップのユーザーは、お気に入りの国立公園のハイキングコースやオリジナルのウォーキングコース、場所をまったく新しいPlaces Libraryに保存して、各スポットに関するパーソナルなメモを追加することもできます。

・アクセシビリティ機能には、視線だけでiPadを操作できる内蔵オプションの視線トラッキングや、カスタマイズした音を出してタスクを実行できるボーカルショートカットが含まれています。

更新中



記事執筆:memn0ck


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