Image: Kyle Barr - Gizmodo US

意外と、ゲーム系機能やGIF作成機能がよかったと。

AcerやHPなどから、新たなChromebook Plusが発表されました。Chromebook Plusはその名の通り、普通のChromebookに性能や機能をプラスしたラインで、今回のアップデートではGoogleのAI「Gemini」も統合されました。

でもハンズオンした米GizmodoのKyle Barr記者によれば、新Chromebook Plus、いいところは全然AIじゃないそうで…。以下、詳細をどうぞ!

最近、大手テック企業では「プラス」が流行ってるんでしょうか。Google(グーグル)が去年Chromebook Plusを発表したのに対し、先日Microsoft(マイクロソフト)はCopilot+ PCを打ち出しました。

それに対しGoogleの次の一手は、ChromebookにさらなるAI機能を入れることです。Chromebook Plusの新モデル発表に合わせて新たなAI機能が発表されたので、僕も試してみました。でも実際使ってみると、新Chromebook Plusの一番いいところは、AIとは全然関係ないんです。

新Chromebook Plusのタスクバーには、まるでWindowsにおけるCopilotみたいに、クラウド上のGemini AIが鎮座しています。Androidで話題になった機能が移植され、AI壁紙や消しゴムマジックも使えますが、こういうAI機能にはそろそろ食傷気味です。今回興味深かったのは、ゲーム用にマッピングを変えられるタッチコントロールとか、GIFレコーダー、Google Tasks(ToDoリスト)の統合です。

今回は、今あるChromebook Plusの中で一番安い349ドル(約5万5000円)のAcer Chromebook Plus 514と、750ドル(約12万円)ともう少し高めの2-in-1のAcer Chromebook Plus Spin 714にハンズオンして比べています。今まで高価なノートPCもさんざん使ってきたし、MicrosoftのCopilot+ PCも試しましたが、Chromebook Plusの新機能には、予算が限られてる人の食指を動かす力がありそうです。

「Help me write」などのAI機能

Googleの新たなAI機能は意外と地味。
Image: Kyle Barr - Gizmodo US

新Chromebook Plusには、Google Oneのサブスクリプション12カ月分(通常は月20ドル=日本だと2,900円かかるもの)が含まれていて2TBのストレージにアクセスでき、さらにいろんな新しいAI機能も使えます。Google最新のAIチャットボット・Gemini Advancedも使えて、タスクバーから直接呼び出せるし、AI画像生成もできます。

新たなAI機能としては、ブログのタイトルや友だちのInstagramへのリプライを書くのを助けてくれる「Help me write」があります(訳注:記事翻訳時点では米国向け機能)。ただ僕自身は文章を書くのが仕事なので、とくに使いたいと思わないし、いろんな意味でバカにされたような気さえしてくるんですが、便利に感じる人もいるとは思います。

Geminiを使ってみて興味深いのは、同じくGoogleのAIを使ってるはずのGoogle検索と精度に差があることです。Gemini Advancedで、「パラシュートは効果ある?」など、Google検索の珍回答で話題になった質問をいくつかしたところ、その回答はGoogle検索よりちゃんとしてました。ちなみにGoogle検索は「飛行機脱出時にパラシュートが死亡や重傷を予防する効果はバックパックほどもないことがわかっています」と答えてたんです。他の質問でも、Gemini AdvancedのほうがGoogle検索より詳しくて正確な答えを出してくれます。

一方、「Help me write」はパッとしません。ソーシャルメディアのテキストボックスで右クリックすると、一番上に「Help me write」が出てくるんですが、おもしろいリプを書いてと頼んでも、使い古されたダジャレを返すくらいです。Chromebook Plusのツイートレビューを頼んだら、Twitterの文字数制限を1,000文字以上超えたテキストを書いてくれました。

「Help me write」ではテキストのトーンも変えられますが、「プロフェッショナル」っぽいバージョンと、おもしろいバージョンにほとんど違いがありません。画像処理はできないはずですが、それでもInstagramで同僚の犬について何かいいコメントをしてと頼むと、ビーグル犬を「ゴールデン・レトリーバー」と呼んだりしてました。

あとは新Chromebook PlusにはAI壁紙生成機能もありますが、Androidがそうであるように、プリセットの制約を受けます。消しゴムマジックも使えるようになりましたが、ノートPC用のコントロールが追加されたわけじゃなく、Androidに出てくるのとまったく同じです。切り抜いた画像を回転できないところまで、まったく同じです。

ゲームダッシュボードが最高

Image: Kyle Barr - Gizmodo US

Googleのエコシステムにどっぷりな人なら、新Chromebook Plusの機能でだいぶ便利になるはずです。まずGoogle Tasks(ToDoリスト)がタスクバーに統合されました。シンプルなUIで日々のタスクを作成・チェックできて、別のウィンドウやブラウザでアプリを開くよりずっと便利です。

GIFレコーダーは、ベストなミーム生成機能とまではいきませんが、楽しいことには違いありません。画面録画機能を使い、動画からGIFを作れます。録画する長さとかフレームレート、ファイルサイズなどは指定できません。なので今のところただの楽しいオマケという感じですが、もうちょっとアップデートすれば、いろんなアプリやウェブサイトを使わずにGIFを作れるベストな方法になれる気がします。

新Chromebook Plusで一番よかったのは、新たなGame Dashboardでした。ゲームのスクリーンショットや動画を保存できるシンプルな機能で、Chromebookでネイティブでプレイしてるものでも、GeForce Nowみたいなサービスでストリーミングしてるものでも入れられます。

PCにおけるXbox Game Barほどオプション豊富ではないんですが、一番グッときたのはタッチ操作のマッピングを変えられることです。Androidオンリーのゲームでキーボード操作できないものだと、画面の任意の部分をボタン操作に対応するように手動で設定できます。

マッピングの設定は正確にできるし、使い道は単にAndroidゲームをChromebookで動かすためだけじゃありません。たとえばPlay StoreからダウンロードしたStardew Valleyをプレイしたときに、キーボードに対していろんなツールへのホットキーを設定して使ってみました。これはネイティブではできないことです。

Acerの新Chromebook Plusを比較

Acer Chromebook Plus Spin 714は514より画面がきれいですが、反射やグレアも多め。
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Chromebook Plusが発表されたときのポイントは、先々のGoogleのアップデートにも対応すべく、標準化されたスペックをサポートする、ということでした。それだけだとやや新鮮味に欠けてたんですが、そこから7カ月経ち、Chromebook Plusはついに期待に答えてくれ始めています。

僕はAcer Chromebook Plus Spin 714(以下Spin 714)とAcer Chromebook Plus 514(以下514)にハンズオンして比べてみました。前者は750ドル(約12万円)の2-in-1マシンで、明るくてきれいなIPS液晶タッチスクリーンを備え、Thunderbolt 4に対応してます。後者は349ドル(約5万5000円)で、Chromebook Plusとしての最低限の要件を満たしてます。どちらもRAMは8GBですが、Spin 714のほうが動作は高速です。Wi-Fi 6E対応、重量3ポンド(約1.36kg)ちょっとという点も共通です。

ベンチマークスコアを見ると、Spin 714と514の違いは明らかです。514のプロセッサがIntel Core i3-N305であるのに対し、Spin 714はIntel Core Ultra 5 115Uで、性能が全然違います。

Browserbench Speedometerでは、Spin 714は514より65%以上高速でした。Geekbench 6では、Spin 714のより新しいCPUは、514のプロセッサを、シングルコアでは数百ポイント、マルチコアでは1,000ポイント近く上回りました。3D Markでも、オールラウンドなSpin 714が、514のグラフィック性能の2倍のスコアを打ち出しました。

さらに、同じIntel Core i3搭載の2-in-1マシン、Lenovo IdeaPad Flexi 5i Gen 7とも比較してみました。価格は399ドル(約6万円)で、Spin 714と514の中間にあたります。Spin 714にはHDMIポートとThunderbolt 4対応があり、セカンダリーのワークステーションに適していますが、Lenovo IdeaPad Flexi 5i Gen 7にはmicroSDカードスロットがあります。

Spin 714のIntel Core Ultra 5チップはCore i3より新しく、グラフィックス性能も断然よい。それでもCPUパワーに関しては、Lenovo IdeaPad Flexi 5i Gen 7の去年のチップは、Spin 714のモバイルチップに対し、シングルコアでは優位で、マルチコアでも若干劣る程度でした。

Spin 714と514で、新機能を実際使ったときの差を見てみましたが、AI系の使い心地には違いがありませんでした。クラウドベースのAIシステムの使用感はWi-Fiの質に依存しますが、どちらもWi-Fi 6Eがデフォルトで入ってるのがいいのかもしれません。

514からGeForce Nowや新しいGame Barを使い、クラウドゲームをいくつかプレイしてみました。結果、ゲームプレイの録画とストリーミングを同時にしても全然問題ありませんでした。GeminiやGemini Advancedの使用感も同様です。

Spin 714と514で違うのは、マルチタスクの性能や、重いプログラムの処理能力です。最新Chromebook Plusは、一番下のモデルでもストリーミングができる以上のことが可能です。514でも、Wi-Fi 6EのおかげでGeForce Nowが問題なくプレイでき、Spin 714も同様です。ブラウザをふたつ、それぞれ何十個もタブを開いていて、さらにStardew Valleyをバックグラウンドで動かしていても、514は全然大丈夫でした。

ただベンチマークではたしかに、514のほうがSpin 714よりも限界値が低いであろうことがわかります。画面もSpin 714のほうがきれいでタッチスクリーンでもあるので、Androidアプリを使うときは重宝します。

Spin 714に関しては、物理的な使用感もベターです。画面がきれいなだけじゃなく、音質も若干いいし、Webカムも1440pです。キーボードとトラックパッドの感触も少しプレミアム感があります。とはいえ514の使用感だって、Spin 714とそこまで劇的に違いません。

Chromebook Plusにはもっと高いモデルもあり、Acer Chromebook 516 GEはクラウドゲーミングに特化してます。といってもやはり、ChromebookはChromebookに違いありません。

今後にも期待、AIであってもなくても

Image: Google

あと数カ月すれば、Chromebookには新機能が更に追加されそうです。いくつかちょっとだけ試してみましたが、AI系は一番つまらないと感じました。Chromebookでは「Help me read」ができるようになり、WebページやPDFを要約してくれます。この機能はテストの一夜漬けにも使えそうで、読後に内容を理解したか確認の質問をしてもらうこともできます。

でももっと楽しみなのは「Where was I」機能で、前回Chromebookを使ったときに何をしてたか、簡単にまとめて見せてくれます。AndroidスマホなどのGoogle製品を持ってる人なら、Googleエコシステムの中でやってたことに対してサジェストをもらって、必要ならGoogleドキュメントなどに直接飛ぶこともできます。

あとは新たなアクセシビリティ機能で、Chromebookを顔の動きで操作することもできるようになります。これは「Project Gameface」と呼ばれ、たとえばまばたきや唇の動きなどをいろんな操作に割り当てられます。実際に動くところを見てみましたが、すごく精度が高くて驚きました。今はまだ初期のベータ段階ですが、運動障害のある人には役立つのではないでしょうか。

Project GamefaceもGoogleのAIを使った機能ですが、より多くの人にとってChromebookを使いやすくするという明確なユースケースがあります。Geminiやそのチャットボットは、Chromebookの使い方を根本から変えるというものじゃありません。よいと思う新機能は、Game Dashboardみたいに、PCとの互換性を高めるものです。

今回のアップデートで、やっぱりChromebookもおもしろいと思い始めてはいるものの、本来はAI機能をいちいち意識せずに使えるほうが気持ちいいんじゃないかな、とも感じています。

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