米Micron Technologyは5月7日(現地時間)、LPCAMM2を採用したメモリ製品「Crucial LPCAMM2 LPDDR5X-7500」の発売を発表した。crucial.comでの価格は、容量32GBが174.99ドル、64GBが329.99ドル。2週間以内に発送を開始する。Lenovoの「ThinkPad P1 Gen 7」がモバイルワークステーションとして初めて、LPCAMM2メモリを搭載した。



LPCAMM2(low-power compression attached memory module2)は、LPDDR5Xメモリをベースに新しいアーキテクチャで設計され、優れた電力効率と省スペース性を兼備する。

現在、ノートPCや小型デスクトップPCにはLPDDRメモリまたはSO-DIMMメモリ・モジュールが用いられている。LPDDRメモリはコンパクトかつ省電力、高速に動作するが、基本的にメインボードに直付けされるため交換や修理が困難である。一方、SO-DIMMは容易に増設/換装できるものの、アクセス速度や消費電力の面で不利になりやすく、また設置面積が大きい。

LPCAMM2は、これらのトレードオフを解消する。LPDDR5XメモリをベースにしたCrucial LPCAMM2のデータ転送速度は最大7500MT/sに達する。これはDDR5 SO-DIMMより1.3倍高速である。また新しい設計アーキテクチャにより、換装可能でありながら、DDR5 SO-DIMMと比較して、消費電力を最大58%、設置スペースを約64%削減できる。さらに、1つのモジュールでより高い帯域幅とデュアルチャネルをサポートするため、AIワークロードやアプリケーションの帯域幅が最大化され、今後の成長が期待されるAI対応PCの可能性を広げる。

初のLPCAMM2メモリの登場に合わせて、米iFixitが「LPCAMM2 Is Finally Here, and It’s a Big Deal(LPCAMM2がついに登場。それは重大なことである)」というブログ記事を公開。また、「New Laptop Memory Is Here! LPCAMM2 Changes Everything!」というYouTubeビデオで、ThinkPad P1 Gen 7のメモリ交換を実演し、従来のメモリ・ソリューションとの違いを解説している。モジュールは3本のネジで固定されており、換装に工具が必要であるが、手順と注意点を把握していれば、作業自体は難しくない。



LPCAMM2の登場は、修理する権利の支持者にとって福音となる。薄型・軽量が重視されるデバイスでの換装可能なメモリの実現は難しいとされてきたが、LPCAMM2が修理可能性を念頭に置いた技術革新の新たな前例となった。iFixitは「MicronやLenovoのような企業が、そのような未来を実現するために飛躍してくれたことに感謝している」と述べている。