AIの開発にはGPUやAIアクセラレータからなる大規模な計算資源が必要です。AI企業Anthropicのダリオ・アモデイCEOはAIモデルの学習費用が今後数年で約100億ドル(約1兆5400円)に達すると推測しています。

Transcript: Ezra Klein Interviews Dario Amodei - The New York Times

https://www.nytimes.com/2024/04/12/podcasts/transcript-ezra-klein-interviews-dario-amodei.html

大規模言語モデルやマルチモーダルAIモデルの学習には、大量のGPUやAIアクセラレータが必要です。NVIDIAやAMD、Intelといった半導体企業はAIの学習を効率的に実行できるチップの開発を進めていますが、それらのAI特化チップは性能の高さと引き換えにコストも非常に高いのが特徴。例えば、NVIDIA製のAI特化GPU「H100」は1台当たり2万5000ドル(約380万円)と報告されています。

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GoogleやAmazonなどの大企業はAI学習用の計算設備を構築するためにH100を数万台単位で購入しているほか、MetaやMicrosoftは15万台という桁違いの台数のH100を購入していることが報じられています。このように高性能AIの学習には多大なコストがかかるのが現状です。

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GPT-2やGPT-3といった大規模言語モデルの開発に携わり、記事作成時点ではAI企業「Anthropic」のCEOを務めるダリオ・アモデイ氏は、ニューヨーク・タイムズのラジオ番組の中で「現時点での高性能AIモデルの学習コストは約1億ドル(約154億円)だが、2024年後半〜2025年初頭に発表されるAIモデルの学習コストは約10億ドル(約1540億円)に上昇する」と発言。さらに、「2025年〜2026年には高性能AIモデルの学習コストは約100億ドル(約1兆5400円)に達する」とも述べ、AIの学習コストが急速に上昇し続けるという予測を示しました。

なお、AnthropicはAIの性能向上に伴う安全への脅威を「AI Safety Levels(ASL)」と呼ばれる指標で分類しています。記事作成時点のAIはすでに「生物兵器の開発などに悪用される兆候」を示しており、ASL-2に分類されています。Anthropicは「検索エンジンや教科書と比較して壊滅的なリスクをもたらすAI」をASL-3、「現状のAIとはかけ離れた性能を持ち危険度を定義できないAI」をASL-4と位置付けているのですが、アモデイ氏は2025年〜2028年のどこかでASL-4に相当するAIが登場すると予測しています。