ハンドメイド作品やビンテージ商品をオンライン販売するEtsy(エッツィー)の販売者は、買い物客がクーポンコードを濫用することに以前から苦情を呈していた。Etsyは現在、この問題を厳しく取り締まるための変更を加えようとしている。

Etsyの広報担当者によると、Etsyは3月中に「サンクスクーポン」と「カゴ落ち対策クーポン」に有効期限を追加することを予定していることを米モダンリテールに対して認めた。マーケットプレイスであるEtsyは、700万人のアクティブな販売者に対して、クーポンコードが再利用されたり、クーポンの要件を満たさない人に使用されたりする事例を減らすのを助けるために、この変更を行う。この変更は「Etsyの販売者がクーポンの使用状況や影響について明確に把握できるようになり、サービスを有効に活用できるようになるためにも役立つ」と、広報担当者はメールで回答した。Etsyはクーポンの期限について、今後数週間のうちにより詳しい情報を公開する。

2005年に創設されたEtsyは、第4四半期の決算発表によると、2023年にはアクティブな買い手の数が「過去最高」の9200万人に達した。

クーポンを悪用する買い手も



Etsyは何年にもわたり、2種類のクーポンを配布してきた。ひとつはEtsyクーポン(Etsy Coupons)と呼ばれ、Etsyにより資金が提供され、特定の買い手に送られる。これには「次の買い物が10%引き」などの割引が含まれている。2つ目はショップクーポン(Shop Coupons)と呼ばれ、個別の販売者によってマーケティングキャンペーンの一部として用意される。Etsyが変更を加えようとしている「サンクスクーポン」と「カゴ落ち対策クーポン」の2つのクーポンは後者のカテゴリーに属する。これまでEtsyは、プラットフォームに多くの人を集める方法として割引を使用してきた。昨年の秋は、ホリデーの割引をかつてないほど早く開始することを販売者に推奨した。

これらのプロモーションは売上を増やすために役立っているものの、こうしたコードは永続的に使われることを意図したものではない。しかし、販売者は顧客がクーポンをほかの人に渡したり、いくつもの注文に適用したりするなど不適切な使い方をしていることを発見した。2人の販売者は米モダンリテールに対して、Etsyが現在のクーポン有効期限を変更することを歓迎するといい、そのうちの1人は有効期限によってショップを「より的確にコントロールできる」と話した。

この販売者は匿名を希望しているが、タロット占いやクリスタル、ハンドメイドのブレスレットを2019年からEtsyで販売してきた。通常は新規の顧客に対して、次の注文で使える「サンクスクーポン」のコードを渡す。しかし、利用者がそのコードをすべての注文ごとに適用しており、「さらに、ある程度まで悪用している」ことを発見したと、米モダンリテールに語った。「これでは、割引コードを完全に廃止したくなる」とこの販売者は語った。

有効期限があることのメリット



これらの種類のクーポンはリピート購入する買い手向けのものだが、初めての買い物客が決済時にクーポンを使用していることを、この販売者は発見した。コードがどのように渡されたのかは不明だが、友人が共有したか、サードパーティーのクーポンサイトやブラウザーの拡張機能から割引のことを知ったのではないかと、この販売者は推測している。これはデジタルクーポン紹介サイトのリテールミーノット(Retail Me Not)のようなサイトではよく見られることだ。この記事の執筆時点で、リテールミーノットはあるマーチャント(加盟業者)によるEtsyストアフロントでの10%と30%の割引クーポン両方を提供していた。

ハンドメイドやリメイクしたアパレルとアクセサリーを販売しているカリッサ・ホークス氏は、5年ほど前にEtsyでストアフロントを開設した。ホリデー向けにクーポンを配布してから、「1週間か2週間後に」期限切れになってほしいと、同氏は述べる。クーポンに有効期限を設定することで売上が実際に増加すると同氏は考えている。

「クーポンが長く使えるので、買い手が忘れてしまうのではないかと考えている。有効期限があれば、期限の前に使おうとしてもっと早く買い物をするだろう」とホークス氏は話した。

ユーザーたちも変更を支持



販売者は、更新されたポリシーは、特にEtsyが最近ほかに行った変更のあとでは歓迎すべき変化であると話す。Etsyは2022年に取引手数料を売上の5%から6.5%に引き上げ、これに対して一部の販売者は一時的にストライキを行った。また、Handmade.comやマイケルズマーケットプレイス(Michaels’ MakerPlace)など競合他社のプラットフォームに移行することをちらつかせた販売者もいた。

掲示板サイトReddit(レディット)のプラットフォーラム上では、Etsyの販売者たちがクーポンのポリシー更新をEtsyに求めたと発言している。あるユーザーは、「最初から実施しているべきだった」と記し、別のユーザーは、「2週間か3週間前に行われたEtsyからのアンケートのひとつで、『サンクスクーポン』が不適切に使用されていることについてまさにフィードバックを返したところだったので、昨日になってこの発表を目にして驚いた。我々のフィードバックが無視されず取り入れられているのを目にして勇気づけられた」と記している。

[原文:Etsy is cracking down on coupon misuse]

Julia Waldow(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Etsy