【天気の疑問】「強い雨」と「猛烈な雨」ってどう違うの? 気象予報士に聞いてみたら“明確な違い”があった
毎日の生活でチェックが不可欠な天気予報。気象予報士が伝える気象関連の用語には、普段から何気なく聞いている言葉が多くあると思いますが、あなたはその意味を正しく知っていますか。中には「『強い雨』と『猛烈な雨』ってどう違うの?」「正直、『西高東低』のことがよく分かってない」と感じている人もいるかもしれません。そこで、日常的によく耳にする「気象にまつわる用語」について、気象予報士のきりたんさんに教えていただきました。
「晴れのち曇り」と「晴れ時々曇り」にも違いがある
Q.知っておくとよい「気象用語」は何かありますか。
きりたんさん「『今日は大気の状態が不安定です』といったフレーズを聞いたことがある人は多いと思いますが、これは『雨が降ったり雷が発生しやすい状態ですよ』ということなのです。
よく『暖房をつけると、暖かい空気が上に行ってしまって足元が冷たい』ということが起こりますが、大気にも同じことが起こります。暖かい空気の下に寒気が覆いかぶさってきたり、暖かい空気が徐々に上昇したりすると、それが冷やされて雲になり、やがて雨になります。夏によく局地的な大雨が降るのは、日射や南からの暖かく湿った空気で暖められた地表付近の上空に、寒気が流れ込むことが要因の一つといえます。
また、雨の表現方法についても、気象庁が基準を設けています。例えば『強い雨』は、1時間の雨量でいうと20〜30ミリ未満ですが、『猛烈な雨』は80ミリ以上としています」
Q.雨以外の天気に関する用語も教えてください。
きりたんさん「よく質問を頂くのは『“晴れのち曇り”と“晴れ時々曇り”はどう違うの?』です。これには明確な違いがあり、『晴れのち曇り』は『朝方や日中のうちは晴れているけど、徐々に曇りになっていく』という状況を指します。一方で『晴れ時々曇り』は、基本的には晴れの状況が続くものの、24時間のうち12時間未満は曇りになる可能性がある、つまりコロコロと入れ替わるような天気となる可能性がある場合に用います」
Q.「気象現象」に関する用語はどうでしょうか。
きりたんさん「今は冬のシーズンなので、『西高東低の気圧配置』のお話をしたいと思います。これも天気予報ではよく出てくるフレーズだと思うのですが、冬になると日本の西側の気圧が高く、反対に東側では低いという状況になりやすくなります。
この気圧配置になると、ロシアや中国など大陸から来る冷たく乾燥した空気が日本海を通ります。冬場の日本海は気温に比べると、海水温は相対的に暖かいです。誤解を恐れずにいえば、日本海は“温泉のような状況”となっていて、その日本海上を大陸からの空気が流れると、湿った空気に変わります。これを『気団の変質』といいます。
この湿った空気が日本海側に流れ込むと、日本海側の地域では強風を伴った雪が降るようになり、大雪になることもあります」
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気象に関する用語は天気予報でよく耳にしますが、「実際のところ、どういう意味?」と思うこともあるのではないでしょうか。気象予報士がよく使う単語や仕組みを調べてみるのも面白いかもしれませんね。