「歩きスマホ」や「ながらスマホ」は危険です

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 「駅へ向かっている最中にメッセージが…」などといった理由で、ついついやってしまいがちな「歩きスマホ」や自転車などを運転しながらの「ながらスマホ」。スマホに意識が向かってしまい、反対側から歩いてくる人とぶつかりそうになった経験がある人も多いのではないでしょうか。「歩きスマホ」や「ながらスマホ」はとても危険な行為ですが、法的見解について、芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

「ながらスマホ」の高校生 女性にケガで損害賠償金「5000万円」

Q.歩行中や自転車の運転中にスマホを見ながら、人に接触し、相手にケガをさせてしまった場合、犯罪になるのでしょうか。

牧野さん「結果としてケガをさせた場合には、2つのケースに分けて考えることになります。

故意にケガをさせれば、傷害罪(15年以下の懲役又は50万円以下の罰金、刑法204条)に当たる可能性がありますが、不注意で(過失で)ケガをさせてしまった場合には、過失傷害罪(30万円以下の罰金又は科料、刑法209条1項)に当たる可能性があります」

Q.警察を呼ばれた場合、聴取を受けたり、逮捕される可能性はありますか。

牧野さん「傷害罪、過失傷害罪、いずれの場合でも、聴取を受ける可能性はあります。状況によっては逮捕される可能性もあります」

Q.もしケガを負わせてしまった場合、損害賠償を請求されたりすることはあるのでしょうか。

牧野さん「故意または過失で他人を傷害した場合には、民事で民法709条の不法行為に基づいて、発生した損害を賠償する責任が生じます」

Q.では、逆に「歩きスマホ」などをしている人に、わざとぶつかった場合はどうなるのでしょうか。

牧野さん「故意にケガをさせれば、刑事事件として傷害罪に当たる可能性がありますし、民事で民法709条の不法行為に基づいて、発生した損害の賠償責任を負うことになります」

Q.「歩きスマホ」や「ながらスマホ」を規制している自治体などはあるのでしょうか。

牧野さん「罰則はありませんが、神奈川県大和市・愛知県江南市・東京都葛飾区では『歩きスマホ』を禁止しているほか、東京都足立区・同荒川区・大阪府池田市では『歩きながら』または『自転車に乗りながら』スマホなどを操作する『ながらスマホ』を禁止しています。東京都墨田区では『歩きスマホ』による事故などの防止対策の推進を行っています。このように、『歩きスマホ』を公共の場所で行うことを防止する条例が多くの自治体で制定されています。『歩きスマホ』は、画面を注視することにより注意力が散漫となり、他の歩行者や車両との接触事故等を引き起こす恐れがあることを理由としています」

Q.過去に「歩きスマホ」や「ながらスマホ」が原因で起きた事故や事件などはあったりするのでしょうか。

牧野さん「高校生が携帯電話を操作しながら自転車で夜間に無灯火の走行中に、女性に衝突して重大な障害が残るケガを負わせてしまい、約5000万円の損害賠償金の支払いが裁判で命じられた事件があります」

「歩きスマホ」や「ながらスマホ」は危険な行為です。意図せず、周囲の人にケガを負わせたりしないように気を付けましょう。