「大腸がん」とは?症状・原因・治療方法も解説!【医師監修】

写真拡大

頸部のがんには種類がいくつかあります。口腔がん・喉頭がん・咽頭がん・食道がんなどです。今回はその中でも「咽頭がん」について解説します。

咽頭がんと聞いても、すぐに詳細部位を答えることは難しいのではないでしょうか。咽頭とは、自分では見ることのできない鼻の奥から声帯の少し下までの器官のことです。日常では違和感を覚えやすい部位でもあります。

咽頭がんは初期症状にのどの症状が出やすいのです。今回は症状・検査・治療法など、早期発見ができるように詳しく解説をしますので、ぜひ参考にしてみてください。

≫ 「食道がんになりやすい人」の特徴はご存知ですか?代表的な症状も医師が解説!

監修医師:
渡邊 雄介(医師)

咽頭がんの発生原因

のどにできるがんは、大きく分けると咽頭がん(いんとうがん)と喉頭がん(こうとうがん)の2種類です。その中でも咽頭は上中下に3つの部位へ分けられています。
上咽頭は鼻腔からのどまでの部位、中咽頭はのどの奥の部位、下咽頭はのどの奥から声帯より少し下までを指す部位です。
咽頭がんの発生原因は発生部位により特徴があります。
上咽頭がんは発生頻度が低く、EBウイルス(エプスタインバールウイルス)への感染により発症リスクが高くなるといわれています。
中咽頭がんは男性に多いがんです。ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染が発症リスクが高くなる要因といわれています。
部位により特徴が違いますが、全部位に共通していわれているのは過度の飲酒と喫煙です。下咽頭がんもこの中に含まれています。
また、お酒を飲むと顔が赤くなるような人が過度の飲酒を継続することで、発がんする可能性が高くなることがわかっています。

咽頭がんの症状

咽頭がんは初期には自覚症状がないことが多くあります。咽頭周囲にはリンパ節が近接しているため、頸部リンパ節に転移しやすいことがわかっており、そのため首にしこりを発見して咽頭がんが発覚する場合があります。
このしこりによる発見はリンパ節に転移して腫れてきたことにより触知することが可能となったためです。
他には鼻の症状が出てくることが多くあります。鼻づまり・鼻血・血の混じった鼻水などがその症状です。
また、耳の症状も出てくることがあり、耳がつまった感じや聞こえにくさ、中耳炎などがその症状です。
進行した場合には、頭痛や物が二重に見えたり、目がみえにくくなってきたりといわゆる脳神経の症状が現れてくることもあります。
多くが風邪のような症状や、口内炎のような普段もよく見かける症状として現れることが多く、なかなか自覚症状までは至らないことが多いことが納得できるかと思います。頸部リンパ節への転移まで至らないよう、早めの発見を心がけることが必要です。

初期症状

初期症状としては風邪に似た症状で現れてきます。のどの違和感や鼻づまり、声がかすれてくるなどです。
どれも咽頭がんだけに特有の症状ではないため発見されにくいです。下記にセルフチェックの項目を挙げてみますので自分でチェックしてみましょう。

口の中や舌にしこりがある

触ると痛い

よく出血する

治らない口内炎がある

のどの痛みがあり、飲食するとしみる

首にしこりがある

呼吸がしづらい

鼻血が頻繁に出たり鼻づまりが続いたりする

痰に血が混じっている

声の枯れが続いている

上記のように、一見軽い症状にみえるものばかりですが、ポイントとしては1ヶ月以上続くなど長引いていることが特徴です。
上記の症状が長く続く場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。

飲食に関する問題

咽頭がんの初期症状にあったように、飲食するときにしみるようになることがあります。嚥下障害に陥ってしまうケースもあります。
具体的には以下のような症状です。

飲み込むことにより痛みを感じる

リンパ節が腫れて食べ物の通る通路が細くなってしまう

神経が機能困難となりのどの筋肉がうまく動かせない

などが挙げられるでしょう。食べたくてものどを通らないため食が細くなり、体重減少などを引き起こしてしまうのです。

声と呼吸の変化

前述したとおり、リンパ節が腫れたり、のどの奥が腫れたりすることにより空気の通り道が狭くなります。そのため、気道が狭くなったことで息切れを起こしやすくなったり、声がうまく出せなくなったりします。
声が小さくなったり掠れ声になったりすることが起こるのです。声を出すときに痛みを感じるなど、咽頭がんにより発声に問題を抱えるようになることが多くみられます。

そのほかの身体的変化

段階が進むとのどから出血したり、痛みを感じたり、呼吸のしづらさを感じることがあります。食べられないことによる体重減少や、息切れがつらく運動を控えるなどの行動が目立つようになります。
咽頭を使用しないことによるのどの筋力低下がさらに追い打ちをかけ、口を大きく開けることができなくなったり、舌を動かしにくくなってしまうのです。
滑舌が悪くなり、人との会話を避けるようになることもあります。自分の声の変化に自信をなくしてしまい、あまり活動的になれなくなる場面も目立っていきます。

咽頭がんの治療法

治療方法は、身体状態・がんの部位・がんのステージなどを考慮して決定します。
咽頭は飲み込むという嚥下機能だけでなく、空気を出入りさせることにより発声するという発声機能も同時に担っています。そのため、がんを治療するだけではなく、嚥下や発声の機能をできるだけ残していくことも大事に考えて治療を選択していくのです。
治療方法は大きく分けて3つあります。「手術」「放射線治療」「薬物治療」の3つです。
また、咽頭がんの部位によっても選択される治療に少し違いが出てきます。上咽頭がんは手術が難しい部位であるため、「放射線治療」と「薬物治療」が選択され、中咽頭がん・下咽頭がんは手術可能な部位であるため「手術」が選択されることが多いです。
ただ、機能をできるだけ残すということが重要であるため、がん切除と身体機能維持とのバランスをしっかり考えて方針を立てることが必要になります。

手術による治療

一般的に、手術可能な部位であれば早期のうちは手術が治療選択の中心となりますが、手術の方法はがんを切除する部位や大きさによって変わっていきます。
早期であればがんの大きさはまだ小さいことが多く、少しの切除で済むのですが、進行してしまったがんなどは大きさも範囲も広いことが多いです。
また組織内部に浸潤してしまっていたり、頸部リンパ節に転移していたりすることもあるため、体の一部を大きく切除する手術です。頸部リンパ節を併せて切除する手術を頸部郭清術(けいぶかくせいじゅつ)と呼び、広範囲に組織を切除する手術をする場合は、切除だけでなく欠損部位を修復する手術(再建手術)も同時に行います。これにより機能をできるだけ保存することが可能となるのです。

放射線治療

放射線治療とは、高エネルギーの放射線を照射することでがん細胞を死滅させたり、がんを小さくしたりする治療です。
手術はがん組織だけでなく、周囲の正常な組織も除去する必要があるため、侵襲的な方法です。放射線治療はその必要がないため物理的欠損を回避できます。
放射線治療のみではなく、併用して抗がん剤治療も行うことがあります。手術の後に再発を防止するために放射線治療を行うこともあるでしょう。
放射線治療に使われる放射線には、エックス線・陽子線(ようしせん)・重粒子線(じゅうりゅうしせん)があります。どのような方法で行うかは、がんの状態や身体状況などにより判断されます。

化学療法

放射線治療と抗がん剤を併用する方法を化学放射線療法と呼びます。薬物療法は放射線治療のようにがん細胞を死滅させたり、がんを小さくしたり、増殖を抑えたりする効果のある治療法です。
種類としては抗がん剤・分子量的薬・免疫チェックポイント阻害薬があります。
身体に外科的な侵襲はないものの、がんだけでなく一部の健康な組織にもダメージを起こすことがあるため、人によっては副作用に悩まされることがデメリットでもあります。
主な治療方法は手術と放射線治療であり、化学療法はそれらの効果を高めるための補助的役割として実施されることが多いです。

治療後のアプローチ

先ほどお伝えした通り、まずは「手術」と「放射線治療」が選択されます。これらの治療を終えた後、再発防止のために「化学療法」が継続して実施されることが多いです。
治療後のフォローとしての「化学療法」では身体への影響が少ないものもあり、治療中ほどの副作用を感じることは少ないものの、体質によっては副作用の影響が大きい人もいます。
手術入院などの後、通院しながら「化学療法」を継続することがほとんどです。

再発防止対策

手術で取り除ききれなかったがん組織が再び大きくなってきたり、別の場所に転移してしまったりするといったことを再発といいます。早期の咽頭がんは再発率が低く、2年以内に再発する人は10~20%程度です。
進行がんでは20~40%と再発率は約2倍となっています。同じ場所に再発したり、近くのリンパ節に再発したり、最初にがんがあった場所からは離れた場所にがんが発生することもあります。
咽頭がんは頸部リンパ節に近接しているためリンパ節への転移が起きやすく、リンパ節に転移したがんがリンパの流れに乗って全身へ移動する場合があるのです。
進行がんの再発率が高いため、再発を防止するためには早期発見をし、がんが小さいうちに切除することが大切です。早期発見のためのセルフチェックをして、早く気づいていくことが重要になります。

定期的な検査・診断

治療終了後は定期的な通院が必要となります。がんの転移がないか観察することはもちろん、体調の管理やリハビリテーションを受けるためにも継続して通院が必要です。
前述した通り、咽頭がんは約2年以内に再発することが多いため、1~2ヶ月に1回は通院することが目安となるでしょう。

副作用と向き合う

がんを取り除く手術の後は化学療法を受けることがほとんどです。化学療法では正常な組織にも影響を与えるため、嘔吐や食欲不振・倦怠感などを感じて日常生活が困難に思えるかもしれません。
また身体機能的にがん組織と周囲の組織を大きく切除した場合は、口の開け閉めがしにくくなったり、食べ物を噛むことが難しくなったりすることがあります。
また舌の一部を切除したり、声帯を切除したりした場合などには、発音機能や嚥下機能が損なわれることもあります。咽頭がん治療後の副作用や影響は小さいとはいえません。
また、治療の結果発声が困難になった場合はリハビリテーションを受け、発声法の習得や電気式人工喉頭を使用した代用音声の練習も行っていきます。

咽頭がんの症状についてよくある質問

ここまで咽頭がんの発生原因・症状・治療などを紹介しました。ここでは「咽頭がんの症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

咽頭がんは触ったらわかりますか?

渡邊 雄介(医師)

咽頭がんの検査では触診を行うのですが、のどの腫れやリンパ節の腫れなどから首にしこりができることがあるため、しこりができている場合は自分で触ることで気づくことができます。しこりが触知できない部位の場合は内視鏡などを使って直接見る検査をしてもらいます。

咽頭がんはどのように診断されますか?

渡邊 雄介(医師)

初期症状にあったようなのどの痛みや首のしこり、出血や違和感、声の掠れなどの症状から受診し、視診・触診・内視鏡検査を受けて咽頭がんの疑いがある場合は、組織を一部切り取って詳しく調べます。生検(せいけん)といって、その組織ががんであるかを診断する方法です。咽頭がんがあればそれで診断されます。また、同時にCTやMRI・エコーなどを使用してがんの位置や大きさなどさらに詳しく調べ、がんの大きさなどにより咽頭がんのステージを決定するのです。がんの進行順にI・II・III・IVとステージが分けられます。早期がんはステージI・IIです。がんの位置・大きさ・ステージにより治療法が変わってきますので、しっかりと検査をしてもらう必要があります。

末期の咽頭がんの症状はどのようなものですか?

渡邊 雄介(医師)

風邪のような症状やよくある口内炎など、初期症状が軽いものであるため自覚されないまま進行する咽頭がんですが、その症状がのどの違和感や飲み込むときの痛みなどに変化していく過程で受診される人が多いです。くびのしこりなど外側から触ってわかるような状態になり、痰や鼻水に血が混じり初めたり声が枯れたりし始めると、その進行は進んでいることが多いでしょう。末期には物が二重に見えたり頭痛がしたりするなど脳神経症状まで発展していきます。この頃には、飲食がしにくい嚥下障害や呼吸困難からの発声障害が現れてくるでしょう。嚥下障害が出てくると食べ物が食べられないことによる体重減少や、呼吸困難からくる不活動など悪影響は大きくなってきます。

編集部まとめ

今回は咽頭がんの発生原因と症状について解説をしました。早期発見が難しいがんですが、再発率を下げるためには早期に発見し、早期に治療を開始することが大切であるといえます。

症状ひとつひとつは見逃してしまいそうなほど日常にありふれたものですが、自分の身体とじっくり向き合い、変化に気づく習慣をもつことは大変重要なことです。常日頃から気にかけることで、早期発見は可能になると思います。

今回は初期症状のセルフチェック方法も解説しましたので、是非こまめに自分の身体をチェックしてみてください。もし異変に気づいたら、気のせいだと思わず早めに医療機関を受診しに行ってください。

咽頭がんと関連する病気

「咽頭がん」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

口腔がん喉頭がん食道がん

胃がん

大腸がん

中咽頭がんと同時、または異なる時期に、口腔、喉頭、食道などのほかの臓器にがんが見つかることがあります。
中咽頭がんの原因の1つである喫煙や過度の飲酒は、これらのがんの発生要因でもあると考えられているためです。このように、異なる臓器に発生するがんのことを重複がんといいます。

咽頭がんと関連する症状

「咽頭がん」と関連している、似ている症状は9個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

のどの痛み

嚥下障害

構音障害

のどの出血

口内炎鼻血

頭痛

嗄声

物が二重に見える

よく自覚される口腔内の小さな変化であっても、咽頭がんのような大きな疾患の初期症状であることがあります。いずれも長期化するようなときには早めに医療機関を受診しましょう。

参考文献

下咽頭癌の頸部郭清について

上咽頭癌の放射線治療