レクサスユーザーを満足させるためのコンパクトカー「LBX」が目指したところ
レクサスの新型車「LBX」はコンパクトカーは大衆車、という通念への挑戦です。2023年11月に発売され、24年1月に試乗できたLBXの特徴は、全長4.2mのコンパクトなサイズと、レクサスLSから乗り換えても違和感のない性能と品質だといいます。
■レクサスユーザーを満足させることを最重要視したコンパクトカー
LBXの開発にレクサスが踏みきったのには、従来の大きめサイズのレクサス車に乗る人たちから、小さなクルマに乗りたいって声が出てきたからだそうです。
とはいっても、単に小さければいいってもんでもない。ヤリスやヤリスクロスといったモデルと基本プラットフォームは共用ですが、レクサスブランドともなれば、目指すところは「ほぼ正反対」(開発を指揮した遠藤邦彦チーフエンジニア)だったとか。
ヤリスだったら、軽量とか低燃費とか廉価が最大の価値でしょう。対するLBXは、走りの良さとか快適性とか質感とかが重要で、なによりレクサス車として満足してもらえるかどうかを最重要視した、ということです。
全長4.2mのボディに搭載されるのは。1.5リッター3気筒を使ったハイブリッドシステム。前輪駆動版と、後輪は電気モーターで駆動する「E-Four」を組み合わせた4WDとか選べます。
■安定感のある走り 3気筒のエンジンはハイピッチで楽器のような音
シャシーは徹底的に手が入れられ、ボディ剛性を上げるとともに、しなやかな走りのための、いわゆる減衰力を高めることにも力点が置かれたようです。はたして、おとなっぽい乗り味が実現しています。
LBXはいわゆる高性能車ではないのですが、力がしっかりあるし、ハンドルを操作したときの車体の動きは、運転している私の意思どおりというかんじで気持ちがよい。操舵力とか、カーブを曲がるときの車体の動きとか、安定感は抜群です。
加えて、ボディ外板は、かなり立体的な造型に成功していて、光が当たる角度でどんどん表情が変わるのが、たいへん美しい。内装は、ビーガン素材(合皮)をうまく使い、見た目も触感も上質。ドアの開け閉めの音にも気がつかわれています。
エンジンはコンパクトにまとめられるため3気筒を使っています。バッテリー性能を上げてモーターの制御を調整。特に市街地での加速感がより力強くなるように設定したといいます。たしかに市街地での通常走行でかったるさはありません。
アクセルを強めに踏み込んだときは、エンジンが始動し、かつかなり高回転まで回るのですが、そのときのハイピッチなエンジン音も特徴的。回転が上がっていったときにきれいな(楽器のような)音になるように、エンジニアは心を砕いたんだそうです。
FWD車と4WD車、ドライ路面では、走行において大きな違いは感じませんでした。走り出しのときは、モーターで駆動する後輪の押出しで、すっと車体が出ていきます。住んでいる場所など、使い勝手で選べばいいのではないでしょうか。
LBXには、限定で「Bespoke Build(ビスポークビルド)」というセミオーダーシステムのような仕様も用意されます。外板色、シート素材と色、ステッチなどのオプションが多くなるとともに、マークレビン村の高品質オーディオなどの標準装備が増える仕様。これもレクサスユーザーに高く評価されているそうです。
【Specifications】
Lexus LBX (FWD)
全長×全幅×全高:4190×1825×1545mm
ホイールベース:2580mm
車重:1310kg
エンジン:1490cc直列3気筒ガソリンエンジン+電気モーター
駆動:前輪駆動
最高出力:67kW(エンジン)+69kW(モーター)
最大トルク:120Nm(エンジン)+185Nm(モーター)
燃費:27.7km@リッター(WLTC)
価格:460万円〜
>> レクサス LBX
<文/小川フミオ>
オガワ・フミオ|自動車雑誌、グルメ誌、ライフスタイル誌の編集長を歴任。現在フリーランスのジャーナリストとして、自動車を中心にさまざまな分野の事柄について、幅広いメディアで執筆中
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