「何のマーク?」と子供に聞かれて声が詰まった…どうやら障害者に関するマークみたい…わかりますか?

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マークというのはとても便利なもので、文字情報よりも端的に、しかも強いアピール力を持って我々にメッセージを与えてくれます。それは警告だったり、呼びかけだったり、何かの分類だったり様々。例えば「!」が書かれていれば「あ、何か注意しなくちゃいけないんだ」とわかるように。でもそうわかるために最も重要なこと、それは「それが何のマークか」を知っていることです。大事なマークは、世の中の常識として浸透させましょう。

【警視庁発】都内の治安が一目瞭然!「犯罪マップ」で自分の住む地域の治安情報を見てみた!え、こんな感じ⁉


というわけで先の画像のマーク、全部わかりますか?

どれもどこかで見たことがあるような。
筆者は特に「赤地に+とハート」のマークは、鞄などにつけている人を見たことがあります。


画像:内閣府

こちらのマーク。「ヘルプマーク」と言います。
これは「義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、妊娠初期の方など、外見から分からなくても援助や配慮を必要としている」ということを示すマークです。
ちなみにJIS規格です。
このマークを身につけている方が、例えば公共の交通機関などに乗ってこられた場合は席を譲ったり、困っている様子だったらお声がけしましょう。

明らかにケガをしている人やご年配の方への配慮は筆者も普通にできると思うのですが、やはり内部障害などは全く分からないので、マークで示していただけるとわかりやすいですね。

続いてこちら。


画像:内閣府

筆者としては、これもどこかで見たような気がするのです。
確か前を走っている車にこのマークがついていて、「シルバーマークって今こんなデザインなんだ」と思った記憶が……。

ブブー!!

違うんですね。こちらは新しいシルバーマークではありません。

このマークは「聴覚障害であることを理由に、免許に条件を付されている」ことを示すマーク。
運転者の方が車につけて表示するマークです。
「聴覚障害者標識(聴覚障害者マーク)」と言います。
このマークをつけている車に、危険防止のため止むを得ない場合をのぞいて、幅寄せや割り込みを行った運転者は道路交通法の規定で罰せられます。

もちろん、このマークの有無問わず、幅寄せや割り込みはマナー違反なので気を付けるべきですが、やはりマークがある場合は配慮が必要です。

ちなみに、本当のシルバーマークはこちら。


画像:https://www.zurich.co.jp/car/useful/guide/cc-elderlymark-howoldage-obligation/


左が新しいもので、右が旧式。
右のマークが出てきたとき筆者は子供だったのですが、何となく新免マークよりデザインが好きだったことを覚えています。
世の中に浸透したマークの一つ。
他のマークもこれと同じくらい、馴染ませるべきですね。

そしてもう一つ。


画像:内閣府

これは初めて見たような気がしますが、読者諸氏はいかがでしょうか。

このマークは「身体内部に障害がある人」を表すマークです。
「ハート・プラスマーク」と言います。
心臓、呼吸機能、じん臓、膀胱、直腸、小腸、肝臓、免疫機能など、体の内側の障害は外見からはわかりにくいですよね。
内部障害を持っている方は、交通機関に乗るときに優先席に座りたいとか、車に乗っているときに障害者用駐車スペースを使いたいと思っていることがあります。
もちろん、こういった方のために用意されているものですから使用して当然なのですが、見た目で分からないととても悲しい誤解、すれ違いが生じることもあります。

このマークを着用されている方を見かけたら、配慮ある行動、理解、協力を。

マークが浸透していないが故…あの漫画家先生も嘆いている現状

こういったマークに関して気になる記事がありました。
それは、筆者も子供の頃からよく知るあの漫画「キン肉マン」の作者、ゆでたまごの嶋田隆司先生がX(旧Twitter)で、自身がヘルプマークをつけるも席を譲ってもらえなかったことを明らかにしたというもの。
先生は「変形性膝関節症」で手術を受けリハビリ中とのことですが、「ヘルプマークをつける事になりました。しかし席は誰も譲りません」と報告。
「正義はないのかこの日本」とポストされていたそうです。

ポストの内容自体はなんとも悲しいものですが、しかし先生ほどの有名な方がこうしてマークのことを周知してくれれば、もっと認知が広がるのではと期待もあります。
現に先生は「ヘルプマークの意味はせめてキン肉マンファンの方は覚えておいてください」とも呼びかけていたそう。
おそらく、キン肉マンファンの胸に刻まれたことでしょう。

改めて、マークというのは「そこにある」だけでなく「みんなが意味を知っている」ことがとても重要であることを考えさせられます。
実は今、日本には他にもたくさんのマークがあるんです。
あなたはどれくらい知っていますか?

たくさんある、障害者に関するマーク

マークには、障害者の方自身が身に着けるタイプのものや、障害者の方に対応できるリソースがあることを示すものなど様々あります。
また、国際的に定められたものや、障害者団体が独自に策定して普及しようとしているものなど、そういった意味でもいろいろな種類があるんですね。

今回はその中から、内閣府が公開している一例をご紹介します。

まずはこちら。


画像:内閣府

これは一度は見たことがあるでしょう。
「障害者のための国際シンボルマーク」です。
障害者の方が利用できる建物、施設であることを表すためのマーク。
世界共通なんですね。
マークは車椅子が象徴的になっていますが、「全ての障害者を対象」としています。
何度も書きましたが、障害は目に見えるところだけではありませんから、注意が必要です。

続いてこちら。


画像:内閣府

これもどこかしらで見たことがあると思います。
「盲人のための国際シンボルマーク」です。
1984年に、世界盲人連合で制定されたマークで、視覚障害者の安全やバリアフリーに考慮された建物、設備、機器などにつけられます。
信号機や国際展示郵便物、書籍などについています。


画像:内閣府

こちらは「身体障害者標識(身体障害者マーク)」。
聴覚障害者標識と同じく車に表示するマークで、肢体不自由であることを理由に免許に条件を付されている方が運転している、ということです。
聴覚障害者標識は表示が義務化されていますが、こちらのマークは努力義務となっています。
危険防止の止むを得ない場合をのぞいて、幅寄せや割り込みを行った運転者は道路交通法の規定で罰せられます。


画像:内閣府

これもいろんなところで見たことがあるでしょう。筆者は図書館で見た記憶があります。
「耳マーク」といって、聞こえが不自由なことを表したり、そういった方への配慮を表すマークです。
このマークを提示されたら、コミュニケーションに配慮しましょう。
例えば、口元を見せながらゆっくり、はっきり話したり、場合によっては筆談での対応や、呼びかけは側までいって合図をしたり、手話や身振りを加えたりなどです。

ちなみにとてもよく似ているこのマーク。


画像:内閣府

これは「ヒアリングループマーク」といって、補聴器や人工内耳に内蔵されているTコイルを使って利用できる施設、機器であることを示しています。
聞こえの不自由な方へのメッセージなんですね。

聴覚障害に関わるマークは他にも


画像:内閣府


画像:内閣府

こういったマークがあります。
デザインでなんとなくお分かりでしょうが、上が「手話マーク」、下が「筆談マーク」です。
手話マークは手話でのコミュニケーションを求めるときに提示したり、公共・民間の施設や窓口などで手話による対応が可能であることを示すために提示されています。
筆談マークも同様に、筆談でのコミュニケーションを求める場合や、筆談での対応が可能なところが提示しています。

これらのマークは災害時やイベントの時などでも使われているそうです。
例えば、手話でのコミュニケーションを求める人が困っていたら、このマークをつけた支援者の方を探してあげるなど、直接対応できなかったとしてもマークのことを知っていればできる行動があります。


画像:内閣府

こちらは「オストメイト用設備/オストメイト」のマーク。
オストメイトとは、排泄機能に障害のある方のことです。
このマークはオストメイト対応のトイレがあることや、オストメイトであることを示しています。
このマークを見かけたら、身体内部に障害のある方であること、もしくはその方のために配慮されたトイレであることをご理解ください。

他にも、啓発のためのマークもあります。


画像:内閣府

文字情報もあるのでわかりやすいですね。
これは「ほじょ犬マーク」です。
身体障害者補助犬法の啓発のために作られたマークで、公共の施設や交通機関、デパートやスーパー、ホテル、レストランなどの民間施設は、身体障害者が盲導犬、介助犬、聴導犬を同伴するのを受け入れる義務があります。
補助犬はペットではなく、きちんと訓練され、衛生面も管理されています。

また、補助犬を連れていても、援助が必要な場合ももちろんありますから、困っている人を見かけたらお声がけしましょう。


画像:内閣府

こちらは「白杖SOSシグナル」普及啓発シンボルマーク。
視覚障害の方が白杖を頭上50cm程度に掲げるのは、SOSのサインであることはご存じでしょうか。
それが「白杖SOSシグナル」です。
このマークのデザインのようにしている人を見かけたら、困っているということなのでお声がけしましょう。
後ろからいきなり大きな声でお声がけするとびっくりされてしまうかもしれないので、斜め前からやさしくお声がけしましょうね。

また、例えSOSサインが出ていなくても視覚障害の方が危険な様子でしたら、声かけサポートをしましょう。

あなたはいくつ、知っていましたか?

なんとなく見たことはあるな、と思っていても、いざ「どういう意味?」と聞かれると説明できない。
そんなマークが多かったのではないでしょうか。

我々が日頃簡単に「助けて」とは言えないのと同じく、障害者の方もなかなか言い出しにくいこともあるかもしれません。
たとえ積極的な行動ができなかったとしても、理解を示す、ちょっと配慮する、思いやりを持つという心がけだけで、たくさんの人が暮らしやすくなるのではないかと筆者は思います。

嶋田先生ほどの影響力は筆者には期待できませんが、こうしてここまで記事を読んでくれた方の頭の片隅に「こういうマークがあったなぁ」「このマークはこういう意味だったなぁ」と置いておいてくだされば幸いです。