東京都の「卵子凍結」助成の説明会に5000人超が申し込み、全体の90%が30代

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東京都による卵子凍結保存費用の助成制度で、助成条件となるオンライン説明会への参加申し込みが5000人を超えたと2023年11月23日付の読売新聞が報じています。このニュースについて馬場医師に伺いました。

監修医師:
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)

筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。


卵子凍結保存費用の助成制度に関して報じられた内容とは?

東京都による卵子凍結保存費用の助成制度をめぐって、読売新聞が報じた内容について教えてください。

馬場先生

東京都が少子化対策の一環で始めたもので、卵子を凍結保存する費用に対して助成金が支給される制度です。読売新聞が報じた内容によると、東京都への取材で2023年11月20日の夕方時点でオンライン説明会には5018人の申し込みがあったとのことです。年代別では30代後半が2690人と全体の53.6%、30代前半は1845人と全体の36.8%となり、全体の90.4%を30代が占めました。説明会は2023年9月29日に初めて開催され、2023年11月16日までに33回開かれています。参加人数は、合わせて約2800人で、このうち909人が助成事業に申し込んでいます。朝日新聞が2023年10月6日付で公開した記事の時点では、2160人がオンライン説明会に申し込んでいたので、約1カ月半で2918人が新たに応募した形で、関心の高さが伺えます。東京都が想定していた今年度の助成人数は300人程度だったので、既に大きく上回っている状況ですが、読売新聞の取材に対して東京都は「女性の希望に確実に応えられるように対応したい」と、全員に助成する意向を示しています。

卵子凍結保存費用の助成制度とは?

東京都による卵子凍結保存費用の助成制度について教えてください。

馬場先生

東京都による卵子凍結保存費用の助成制度は、2023年9月に公表された新しい制度です。助成の対象となるのは、東京都内在住で、採卵を実施した日の年齢が、18~39歳までの女性になります。東京都はこれまで、がん患者を対象に卵子凍結保存費用の助成をおこなっていましたが、対象を拡大して加齢などで妊娠機能の低下を懸念する場合に助成をおこなっています。助成金額は1人あたり最大30万円です。卵子凍結を実施した年度に上限20万円を助成し、その翌年度以降、1年ごとに一律2万円を最大5年間助成することになります。

助成を受けるための条件は、今回の読売新聞が報じた内容にもあった、東京都が実施する事前説明会に参加することです。説明会では、専門医が卵子凍結のメリットやデメリットのほか、複数回の通院が必要であることや、妊娠や出産を保証するものではないことなどについて説明します。また、卵子凍結の実態把握のための都の調査にも協力する必要があります。助成の初年度に、動機などを尋ねるアンケートに回答し、翌年度以降も凍結保管の更新などに関するアンケートを継続的に回答することになります。

助成の申し込み方法について、最初に東京都のホームページで説明会へエントリーする必要があります。そして、説明会に参加した後、都が指定する医療機関から受診先を選び、卵子凍結の実施後に助成金の申請をおこなうと助成を受けることができます。また、不妊治療の際に、凍結卵子を使う場合についても、1回につき25万円を上限に助成がおこなわれます。対象は妻の年齢が43歳未満である法律婚か事実婚の夫婦で、妻の年齢が40歳未満であれば6回まで、40歳以上であれば3回まで受給することができます。

今回の報道への受け止めは?

卵子凍結保存費用の助成制度に関して報じられた内容についての受け止めを教えてください。

馬場先生

不妊治療に関して、基本的には保険適用がされています。ただし、不妊治療においては専門的なオプションが数多く存在しており、保険適用内の治療だけでは対応しきれていない現状があります。卵子凍結も保険適用ではなく全額自己負担となっており、医療機関によって費用は異なっています。

今回の東京都の試みは、卵子凍結の金銭的なサポートとなります。卵子凍結によって、将来的な妊娠・出産する可能性を持つことができます。加齢とともに妊娠率は低下するという生物学的な事実がありますが、「今は仕事やキャリアに打ち込みたいけれど、将来的に妊娠・出産を考えている」など、多様化する現代女性のライフプランをサポートするツールになります。つまり、性に関する自己決定権(リプロダクティブ・ヘルス・ライツ)のための選択肢の1つとなります。

ただし、注意点もあります。卵子凍結をおこなったとしても、100%子どもを授かるという保証はありません。また、採卵に伴う身体的負担だけでなく、金銭的な負担、定期的通院など時間的な負担もかかります。

今回の助成制度は対象者が拡大されていますが、ご自身が条件に当てはまるか確認する必要があります。また、オンライン説明会という形で卵子凍結に関する情報を知ることが重要です。説明を受けた上で、凍結卵子の助成を受けて実際におこなうかどうかを決定する流れはとても良いかと思います。東京都の助成制度は、他自治体も同等の施策を検討する際に参考になるかと思います。

まとめ

東京都による卵子凍結保存費用の助成制度で、助成条件となるオンライン説明会への参加申し込みが5000人を超えたと2023年11月23日付の読売新聞が報じたことが今回のニュースでわかりました。卵子凍結については、女性が望むタイミングで子どもを産むことができるリプロダクティブ・ヘルス・ライツのためのつ1の選択肢です。こうした取り組みの結果、少子化対策につながることが期待されています。

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