岡田阪神 日本一へ王手!キーマンとなった「強心臓ルーキー」「戻ってきた男」

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ルーキーの森下が粘り強く逆転の適時打を放った(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext

「SMBC日本シリーズ2023」第5戦は11月2日、阪神の本拠地・甲子園で行われ、阪神がオリックスに6−2と勝利。シリーズ3勝2敗とし、悲願の日本シリーズ制覇に王手をかけた。

 終始劣勢だった阪神がビッグイニングを作ったのは2点を追う8回だ。1番・近本光司の右前適時打で1点差とすると、なおも一死二、三塁の好機に打席が回ってきたのはルーキーの森下翔太。7回の右翼守備では、名手・中野拓夢がゴロ後逸とエラーした打球を、自身も取り損ね、まさかのダブルエラーを記録。この失策で一塁走者の生還を許しただけに、ミスを取り戻したい気持ちも強かった。

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 球界を代表するセットアッパー、宇田川優希の152キロ低め直球を振りぬき、左中間を破った。逆転の2点三塁打を放ったルーキーは三塁上でガッツポーズを繰り返した。

 NHKBSー1で放送されたヒーローインタビューでは「その前にエラーして迷惑かけたので、何とか自分の前にランナーを出そうと先輩達が必死になってくれた。絶対にかえすと思って打席に入った」と赤裸々に心情を明かした。

 本拠地甲子園に戻ってから3試合連続打点をマーク。新人の日本シリーズ3試合連続打点は1981年の原辰徳(巨人)以来3人目と、「シリーズ男」になりつつある。

 また投手陣で大きな役目を果たしたのは「帰ってきた男」、湯浅京己の好リリーフもあった。2点を追う8回、先頭の好調、マーウィン・ゴンザレスを二ゴロに打ち取ると、この日マルチ安打をマークしていた紅林弘太郎を直球で空振り三振、続く若月健矢も連続の空振り三振に斬り、流れを引き寄せた。

 連日のフル回転だ。1日の第4戦では同点で迎えた8回二死一、三塁のピンチに登板。初球の直球で中川圭太を二飛に打ち取り、ピンチの芽をつんだ。今春WBCに侍ジャパン日本代表の一員として出場しながら、シーズン中はコンディション不良もあり、守護神の座を譲ったが、ポストシーズン終盤の欠かせないピースとなって復活した。

 この日ヒーローとなった森下も日本シリーズ序盤は苦しんだ。第1、2戦でわずか1安打と3戦目以降の起用が注目されたが、岡田彰布監督は今後の野球人生を見据えて経験を積ませることを選んだ。湯浅も同様、日本シリーズの大舞台が指揮官が掲げる「人間教育」の場になっている。

 一方、指揮官の胸も熱くなっている。試合後のテレビインタビューでは今年最後の甲子園のゲームということを踏まえ「最後の最後にこの1年の集大成というか、1年間やってきた後ろにつなぐ(野球)というか。みんなで点を取れた」と8回のビッグイニング、ナインのあきらめない姿勢をたたえた。

 王手をかけ、いざ京セラへ。85年以来、2度目の日本一に向けて、持てる力をすべてぶつけて歓喜の瞬間を目指す。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]