10月24日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏と番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーが、自民党税制調査会による、所得税の一時的な減税について意見を交わした。

恒久減税じゃないとあまり意味がない

自民党税制調査会(宮沢洋一会長)は10月23日、党本部で非公式の幹部会合を開き、岸田文雄首相が検討を指示した所得税の一時的な減税などの議論を始めた。

11月初旬に決定するとみられる経済対策で、どこまで具体的に踏み込むのかが焦点となる。首相は演説で、「変革を力強く進める『供給力の強化』と、不安定な足下を固め物価高を乗り越える『国民への還元』」の二つを両輪として、経済対策をとりまとめる考えを強調した。

このうち「還元」の具体策として挙がっているのが所得税の減税。納めている税額にかかわらず、一定額を差し引く「定額減税」が軸となりそうで、期間について宮沢氏は「1年が極めて常識的だ」と発言した。

「岸田首相が取り掛かろうとしている『所得減税』、一般国民にどこまで恩恵があるのか?この辺りが注目ですね」(寺島アナ)

「重要なのは今の日本経済全体のお金の不足が最低でも10兆円、マックス20兆円。それを打ち消す規模の経済対策をやらなければいけないわけです。そのなかで消費をどう進行するか、そういった位置づけで所得減税政策とか低所得者層への給付金政策を考えなければいけないと思っています。今の日本経済はお金の不足が災いして消費が低迷してるんです。特に低所得者層の消費が伸びないのは、常識から言っても分かりやすいです。ここに対する給付金政策は、消費を力強く伸ばすより、社会保障政策的な側面が強い。難しく言うと“再分配政策”なんです。豊かな人から低所得の人たちにお金を移す政策として考えた方が妥当です。一番望ましいのは“消費減税”のような国民全体が消費しやすい環境をもたらす政策ですが、それに関して日本の与党政治家は口を閉ざして大きな盛り上がりに欠けています。消費減税を言わない、変なカルト的な団体が日本には存在してるようです。その代表が岸田総理で、“増税メガネ”と言われていて酷いネーミングだと思うので、“増税人間”にして欲しいと思います」(田中氏)

「田中さん、“増税人間”かなり推してますね」(寺島アナ)

「自民党税制調査会のトップに、岸田首相の親戚の宮沢さんがいますが、そこが消極的なことを言いまくってるじゃないですか。これは財務省向けのガス抜きなのか?でも官僚にいちいちガス抜きする必要ないですよね? “一年間に限った所得減税”本気で言ってると思うんですけど、そんな政策打ち出しても全然魅力ないですよね? 一年後にまた戻すのであれば……」(田中氏)

「喜び半分以下ですよね」(寺島アナ)

「喜びないですよ!“一年後にまた戻るんだから、お金は使わずに貯めておこう”って。消費は増えませんよね? 多少増えたとしても大差ないですよね」(田中氏)

「岸田首相、今回だって中身は良いことは言ってるのに。例えば、どうして“1年で所得減税を辞める”と言うのではなく、“消費レベルまで達したら”と言うとか……」(寺島アナ)

「一番分かりやすいのは、“岸田政権が続く限りは所得減税を続けます”と言えばいいじゃないですか!自分の責任の範囲内に納まりますから。それを言えないところが情けない。“一年限定で……”っていかにも官僚仕事じゃないですか。解散するなら今しかないと思っているかもしれないけど、それならもっと魅力的な政策を打ち出さないと、自民党支持のコア層が離れているのを戻したいなら、経済対策で分かりやすいのを打ち出せばいいじゃないですか」(田中氏)