Appleとカリフォルニア工科大学の7年続いた法廷闘争がついに決着
アメリカのカリフォルニア工科大学がAppleと半導体メーカーのBroadcomに対して「Wi-Fi技術の特許を侵害した」と2016年に起こした訴えについて、カリフォルニア工科大学が訴訟を中止することで合意に達したとロイターが報じています。
Caltech ends high-stakes US patent fight with Apple and Broadcom | Reuters
Apple Settles 7-Year Wi-Fi Chip Patent Dispute With Caltech - MacRumors
https://www.macrumors.com/2023/10/12/apple-caltech-wi-fi-lawsuit-settlement/
カリフォルニア工科大学は2006年から2012年の間に特許を取得したと主張しており、iPhoneやiPad、Apple WatchといったWi-Fi対応機器に使われている技術が特許を侵害しているとして、AppleとWi-Fiチップを提供するBroadcomを相手として、2016年に該当製品の販売禁止命令と陪審裁判の請求を行いました。
AppleがWi-Fiの特許を侵害しているとして訴えられる - GIGAZINE
陪審裁判の結果、カリフォルニア地区連邦地方裁判所は2020年にAppleとBroadcomに対し、特許裁判としてはアメリカ史上最高額となる合計11億ドル(当時のレートで約1200億円)の損害賠償を支払うよう命じる判決を下しました。判決を受けてAppleは「我々はBroadcomのチップを使っただけでカリフォルニア工科大学の特許を直接侵害していない」と、Broadcomは「判決は事実とは異なり、法的根拠には同意できない」とコメントしており、上訴する構えをみせました。
Appleと関連チップメーカーに総額1200億円の損害賠償命令、カリフォルニア工科大学の特許侵害で - GIGAZINE
そして2022年2月、連邦巡回区控訴裁判所はAppleの特許無効請求を却下したものの、「11億ドルの損害賠償額は法的に支持できるものではなく、正当な額ではない」という判決を下し、再審を命じました。この再審は2023年6月に行われる予定でしたが、2023年5月に無期限延期されることが決まりました。
カリフォルニア工科大学は2023年10月11日に提出された書類の中で、AppleとBroadcomへの訴訟を却下し、訴状を再提出することはないと申し出ました。ロイターによれば、AppleとBroadcom、カリフォルニア工科大学はそれぞれ2023年8月に「和解の可能性に達した」と裁判所に述べていたとのこと。
なお、カリフォルニア工科大学はSamsungに対しても特許に関する訴訟を起こしていましたが、2023年8月に和解に至りました。さらにMicrosoft・Dell・HPとは、記事作成時点でもWi-Fi特許を巡って係争中だとのことです。