【西武】佐藤龍世選手インタビュー 引退する木村文紀選手は「『いいことはいい、ダメなことはダメ』と言ってくれる先輩」
9月21日放送のライオンズナイターでは、楽天モバイルパーク宮城の楽天-西武24回戦の試合前に、埼玉西武ライオンズの佐藤龍世選手にインタビューした模様を放送した。9月は49打数18安打で打率.367、17試合全てで出塁する活躍を見せている(21日試合前現在)。直近の試合の振り返りに加え、先日西武戦で引退試合を行った木村文紀選手について訊いた。
――昨日の試合(9月20日、西武-日本ハム25回戦)、先頭の万波選手のサードゴロを捌いた後の気持ちを伺えますか?
龍世「先頭バッターで(渡邉)勇太朗のファーストアウト、勇太朗も不安だったと思うので、まず1個しっかりと(アウトを)取れてよかったと思います」
――その1つ前の試合で非常に悔しい思いをしたかと思います(9月19日、西武-日本ハム24回戦、初回に野村佑希選手のサードゴロを悪送球しタイムリーエラー)。同じような打球で、一昨日のリベンジを成し遂げて気分よく試合に入ったように見えましたがいかがだったでしょうか?
龍世「まあリベンジというか、当たり前のプレーなので。しっかりその日もワンバウンド送球の練習をしたので、練習通りできてよかったなと思います」
――昨日の試合の4回裏、栗山選手のツーベースの後に先制のチャンスで打席に入りました。(栗山選手の2塁セーフに対して)ファイターズからのリクエストで間が空きましたが、あの時にはどのようなことを考えていたのでしょうか?
龍世「1回ベンチに下がって、坂田(遼打撃担当)スコアラーと入り球や決め球の割合とかの配球のデータを見て、頭に入れてしっかり気持ちをリセットして打席に立ちました」
――リクエストやタイムなどで生まれた時間の使い方が上手くできているのではないですか?
龍世「そうですね。あの時間は難しいとは思うんです。嫌な時間だと思えば嫌な時間になりますし。でも自分の中では有効活用できたのかなと思います」
――もしかしてホームランを狙っていましたか?
龍世「いや……。2アウトランナーなしだったら本当に狙おうかなと思ってたんですよ。勇太朗にも『2アウトランナーなしで回ってきたらホームラン狙うわ』って言おうかなと思ったくらい。ですけどランナー2塁だったので、まずはランナーを還す、後ろに繋ぐというのを意識して打席に立ちました」
――初球の空振りは今シーズンで一番派手な空振りだったんじゃないですか?
龍世「そうかもしれない(笑)」
――一発狙っているのかな?と思うくらいでした。
龍世「前の打席1球も振らなかったので(第1打席は四球)、とりあえず振ってタイミング合わせようと思って。初球、中途半端だけはしたくないなという気持ちで打席に入ったので」
――空振りオーケーなスイングだったんですね?
龍世「全然空振りオッケーで、なんなら空振りしにいったくらいです」
――初球インコース低めのスライダーを空振りしてどう感じましたか?
龍世「正直真っすぐ、カットボール、フォークの3球種で絞っていたので、頭にないスライダーを振ってみて、空振りしましたけどいけるなと思いました。頭になくてもいけるなって。相手も初球から振ってきたら考えるとは思いますし、僕普段初球から振らないので、とりあえず慎重になるだろうなと。2球目は厳しい球に手を出さないでおこうと甘い球だけ待っていました」
――2球目の厳しいインコース高めのストレートは見送ってボール。そして3球目はインコース低めのスライダーでした。1球目と全く同じ球でしたか?
龍世「そうですね。同じだと思います」
――鮮やかに捉えましたね?
龍世「よかった」
――打席で考えていることが全て的中した待ち方ですね?
龍世「そうですね。3球目は甘い球を待つことだけ頭にありました」
――2か月前に放ったホームラン(7月6日、ロッテ-西武12回戦、東京ドーム)と比べて、打球の勢いや上がり方などはどうでしたか?
龍世「前回は東京ドームということもあって、『入るか?入らないか?』みたいな感じだったんですけど、昨日のはしっかりと捉えられて手ごたえはありました」
――ですが飛距離は同じ110メートルなんですね?
龍世「不思議ですね(笑)」
――ご自身にとっては違う一発だった?
龍世「はい」
――ベルーナドームでの初ホームランとなりましたが、ライオンズファンでいっぱいの中のベース1周はいかがでしたか?
龍世「やっぱり気持ちよかったですね(笑)」
――かなり速く走っていましたけど、2塁ベース辺りでスピード緩めましたね?
龍世「そうでしたっけ?(笑)」
――あんなに速く走らなくてもいいのにと思いました。
龍世「やっぱり『走魂』ということで(笑)」
――昨年まで在籍していた日本ハムを相手に、お世話になった新庄監督の前で素晴らしいホームランを見せたことについてはいかがでしょうか?
龍世「本当に今年はファイターズ戦で、新庄監督の前で打てているので嬉しいですね」
――昨日の試合後、現役を引退する木村文紀選手を直接胴上げなさいましたね?
龍世「はい」
――西武でも日本ハムでもチームメイトだった先輩の最後のプレーをサードの守備位置からどう見ていましたか?
龍世「やっぱり寂しいなという気持ちと、まだ一緒にやりたいなという気持ちが強かったですね」
――「腐りそうになった時もあったけど、キムさん(木村選手)が時に優しく、時に厳しく接してくれたから今がある」と仰っていましたね?
龍世「はい」
――厳しく接してくれたのはどのような時だったのですか?
龍世「やっぱりキムさんは『いいことはいい、ダメなことはダメ』と言ってくれる先輩なので、僕が変な方向に行こうとした時には『龍世、ダメだぞ』と言ってくれました」
――「キムさんから頑張れよと言われて涙を我慢するのに必死でした」とも仰っていました。どのタイミングで言われたのですか?
龍世「(木村選手が)サードへ来て(第2打席でツーベースを放った後にタッチアップで3塁に進塁)、『龍世頑張れよ』と言われました。打席に立っている時からもうヤバかったんですけど、その時はなおさらヤバかったですね」
――2死3塁でライオンズのピンチの場面でしたよね?
龍世「(打球が)飛んできたらヤバかったです」
――今日の試合の先発は楽天の塩見貴洋投手です。これまで対戦経験はありますか?
龍世「3年前くらいにファームで3打席くらい立ったことがあるらしいです(正確には2年前にイースタンリーグで、3打席対戦しノーヒット)」
――一軍での対戦経験はありますか?
龍世「ないですね」
――気をつけるべきポイントはどこですか?
龍世「コントロールもよくて(球を)動かして打たされると思うので、しっかりと自分のスイングをするのを大事にして、ピッチャーのリズムで投げさせずに自分の間合いで打席に立つことを意識しようかなと思います」
※インタビュアー:文化放送・斉藤一美アナウンサー