【連載】アニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』第6回:MyGO!!!!!メンバー全員で振り返る、最終話まで走り抜けた“迷子たち”の迷える日々と成長を刻んだ音楽
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次世代ガールズバンドプロジェクト「BanG Dream!(バンドリ!)」発の“現実(リアル)”と“仮想(キャラクター)”が同期するバンド、MyGO!!!!!。彼女たちが結成されるまでの物語を描くこの夏話題のTVアニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』を、音楽面から掘り下げるリスアニ!の連載特集の最終回となる第6回は、メンバーの羊宮妃那(高松 燈役)、立石 凛(千早愛音役)、青木陽菜(要 楽奈役)、小日向美香(長崎そよ役)、林 鼓子(椎名立希役)が、全13話の放送を終えたアニメの思い出を振り返ると共に、“迷子たち”の成長を刻んだ音楽について語る。
PHOTOGRAPHY BY 三橋優美子
最終話まで走り抜けた今だからこそ振り返りたい、“迷子たち”の成長の軌跡
――最終話のアフレコを終えたとき、どんな気持ちになりましたか?
立石 凛 最終話のアフレコが終わったときは、「あ、終わっちゃった」っていう感じでした。
小日向美香 私も寂しい気持ちはありましたけど、最終話がとても気になる終わり方をしたのと、アニメ続編の制作が決定していたこともあって、(長崎)そよちゃんやMyGO!!!!!のみんなが今後どんな姿を見せてくれるのか気になる気持ちのほうが大きかったです。
青木陽菜 私ももっと彼女たちの青春を観てみたいな、という気持ちで終えました。今回のアニメには“ドロドロ、ぐちゃぐちゃ。それでも。”というキャッチコピーがありましたけど、最後の(豊川)祥子ちゃんのセリフが、それとはまた違った方向に向かっている気がして(笑)、その続きも楽しみになりました。
羊宮妃那 私は今までアフレコをしてきた作品のなかで、一番終わった感覚がありませんでした。どちらかと言うと第12話のアフレコを終えたときのほうが、ようやくMyGO!!!!!というものが誕生したので特別な気持ちが生まれたのですが……続編が決定していることも含めて、「これで終わりだな」という感覚が全然なかったです。リアルバンドで活動していることも理由かもしれません。
青木 これで会えなくなっちゃうような寂しさはなかったもんね。
林 鼓子 最終話の話で言うと、(椎名)立希の最後のセリフが「はあ?」だったんですよ(笑)。(高松)燈と一緒に帰ろうと思ったらそよに取られてしまって。
小日向 (笑)。
林 でも、最初の頃はケンカ腰で視聴者の方にも少し怖がられていた立希が、第11話・第12話辺りからメンバーに心を許し始めているのがわかってきて、最終話ではそよちゃんにイジられてオチに使われるようなキャラクターになったのが、個人的には嬉しかったです。
――アニメ全編を振り返って、特に印象深いシーンやセリフを教えてください。
青木 私はやっぱり第11話の、(要)楽奈ちゃんが「居場所って、また誰かが作るんだって」って話すくだりです。普段は口数の少ない楽奈ちゃんが、おばあちゃんが経営していたSPACEのことを「一生あるって思ってた。なくなったけど」ってぽつりぽつりと語るのがすごく印象的で。SPACEが無くなった直後は、楽奈ちゃんも悲しさや虚しさを感じていたと思うんです。跡地でネコと遊んでいたのも、きっと強い思い入れがあるからだと思いますし。でも、今こうしてMyGO!!!!!という居場所が新たに見つかったので、「良かったね」という気持ちになりました。それと第12話でおばあちゃんがライブを観に来てくれたときに、「居場所を見つけたって言うからさ」って言うんですけど、ということは楽奈ちゃんはおばあちゃんにMyGO!!!!!のことを話しているっていうことなんですよね。本編にそういう描写はないですけど、それが想像できてかわいらしいなあと思いました。
小日向 私は第10話の「詩超絆」のライブシーンが一番心に残っているんですけど、最終話の燈ちゃんとそよちゃんが会話をするシーンも印象深いです。あのとき、そよちゃんは最後に「……私たぶん、一生CRYCHICのこと忘れられないよ」と言うんですけど、その言葉に、そよちゃんがこのアニメ全体で描かれた悩みや苦しみを全部抱えて、それでも前に進んでいく意志が詰まっていたのかなと思って。CRYCHICの思い出も忘れずに歩いていく。その言葉に少し寂しさも感じましたけど、嬉しさもあって、私の中でも大切な言葉です。
――それを燈にちゃんと伝えるのがいいですよね。
小日向 そうなんですよ。当初は本音を隠していた女の子だったからこそ、最終話で自分がどうして燈ちゃんの書く歌詞が苦手だったのかを含めて、本音をちゃんと伝えるところに成長を感じました。立希ちゃんや(千早)愛音ちゃんには絶対に言わないと思いますけど(笑)。
林 でも、そよのつっけんどんな感じも、MyGO!!!!!のみんなに甘えているからだと思うから、それが私は嬉しいです。きっと、どうしたらいいのかわからなくなっちゃったんだろうね。
小日向 そうなんだよね。きっとひどいこと言っちゃったって思ってるんじゃないかなって。でも、みんなが受け入れてくれるのを嬉しく感じていると思うし、今はまだ素直に出せない時期なんだろうけど、そこがかわいいなあって思います。
林 つっけんどんが2人(そよ・立希)になってしまって。
立石 全部こっち(愛音)にくるから大変だよ(笑)。
羊宮 そよちゃんがCRYCHICを復活させるためにやっていたことは賛否両論で、そよちゃんに同情する人もいれば、最低だと感じる人もいたと思うんです。でも、それはすごく現実味のあるお話だなって思っていて。というのも、もし仮に祥子ちゃんがCRYCHICを本当は続けたかったとしたら、そよちゃんは祥子ちゃんにとっての正義のヒーローで、周りからも「自分勝手に動いていた」のではなく「すべてを見越して動いていた」という見え方になっていたかもしれなくて。見えている世界が変わるだけで、色んな予想ができるし、色んなものが美化されていく可能性がある。でも、そこに食い違いが生じて。きっとこれってアニメだけじゃなくても起こるような気がするんです。だからこそ、見えているものをすべてそのまま受け止めるのは違うなと改めて感じましたし、そうやって現実世界そのもののように感じられるからこそ、それが映える第10話と燈ちゃんが「迷子でも進め」と言えるようになっていく第12話は、色んな涙が溢れました。
立石 私は最終話の燈ちゃんとの会話が印象的で。燈ちゃんが「一瞬一瞬をたくさん重ねたら、一生になるんだと思う……」という話をするんですけど、この作品は“一生”という言葉がキーワードになっていて、愛音ちゃんは最初、その“一生”という言葉に批判的だったのが、アニメの全13話を経ていくにつれて変わっていって、最終的には燈ちゃんの言う“一瞬一瞬の積み重ね”を“一生”と捉えることで、自分の中で“一生”との向き合い方を学べたんだと思うんです。愛音ちゃんの成長を感じられて好きなシーンです。
林 私は第11話で(真次)凛々子さんとメンバーが話しているシーンですね。みんなで急遽ライブに出ることが決まったときに、凛々子さんが「気楽に出ればいいんだって」と言ってくれて。立希は「恥かくのはこっちですよ」と言うんですけど、「そんなの自分しだいだよ?」って返すんですね。その言葉を受けて、メンバーの言葉にはなびかなかったそよが「やってもいいかも」ってなるし、立希の「これだから大人は……」というセリフに対して「大人だから言えるんだよ」と返すところも深いなあと思って。MyGO!!!!!のみんなは作中であまり大人と関わることが無いし、大人が苦手そうなイメージがあるなかで、ちゃんと見てくれている大人もいることが伝わってきて、些細だけどグッときたシーンでした。
――立希に関しては、第12話のライブ前に、みんなに何か声をかけようとして結局言い淀むところもいいなあと思いました。
林 私もあのシーンが好きです。あそこでようやく面と向かってみんなの名前を言うんですよね。それまで愛音のことは大体「お前」とか「こいつ」と呼んでいたのに、あそこで「愛音」と呼んだのがグッときたし、でも呼んだら呼んだで急に恥ずかしくなるところが立希らしいなと思って(笑)。きっと彼女なりに励ましの言葉みたいなものを言おうと思ったんでしょうね。でも急に恥ずかしくなるっていう。
立石 慣れないことをするから(笑)。
“迷子たち”がMyGO!!!!!になるまでの歌――「詩超絆」と「迷路日々」
――ここからは、アニメ後半のライブシーンで登場した新曲について詳しく聞いていきます。第10話の挿入歌「詩超絆(うたことば)」は、それまでの物語の流れや演出とリンクした楽曲展開・構成を含め、素晴らしいアニメーションに仕上がっていました。皆さんはどんな印象をお持ちですか?
羊宮 いやあ……あれは最高ですよね。
青木 そのひと言に尽きるよね(笑)。
羊宮 あれ以上のものはないというか、本当に心の底からあのライブシーンを観てほしいと思います。絆がないはずなのに、仲間感というか、この熱いものは何なんだろう?と思って。構成から何からしてこの歌はヤバいです。
青木 第11話の冒頭でみんなが「わかんないよー!」とか言いながら泣いていたけど、私もいち視聴者として観ながら理由もない涙がただただ流れてきて、「私、何で泣いてるんだろう」って思った(笑)。なんなんだろう、あの感覚。言語化できない。
小日向 ライブシーンでみんなが演奏しながら泣いてしまうけど、そよちゃんはきっと普段はステージ上で泣かない女の子だと思うんです。でも、燈ちゃんやみんなの気持ちをダイレクトに受けて、感情を抑えられなくなったようなお顔を見せてくれているところに、そよちゃんの心の変化が感じられて。
林 しかもアニメだと、燈がみんなのほうを向いて歌ってくれるんですよね。燈にとっては、お客さんに向けた歌ではなく、メンバーに向けた歌というのがすごく熱くて。もちろん私たちがライブでやるときはお客さんに向けて届けますけど、羊ちゃんにみんなの方を見る演出もやってほしい。
立石 すごく胸アツになっちゃうだろうね。アニメでは立希ちゃんが最初に泣き始めていたけど……。
林 私も泣いちゃうと思う。この曲、泣かせにきているよね。燈のポエトリーに対して他のメンバーが楽器で応えていく構成で、まず楽器が1人ずつ加わっていくところがエモいけど、ラストの“うたう 手と手をつなぐうた”のところから急にリズムが三拍子になるのを聴いたとき、「エモい……!」ってなって(笑)。それと歌詞を改めて見ると、CRYCHICを乗り越えた燈の歌という感じになっているところにもグッときます。“ひだまりを抱きしめていた春も”なんて「春日影」じゃん!ってなるし。
青木 私も歌詞が特に好きで。決して明るいことばかり歌っているわけではないけど、メロディは前向きで、そのコントラストの混ざり合いがすごく胸に刺さるんですよね。MyGO!!!!!には「音一会」や「潜在表明」といったポエトリー要素のある楽曲がアニメの始まる前からあったのですが、「詩超絆」はアニメのストーリーと相まってより言葉として刺さる作りになっていて。
立石 MyGO!!!!!がポエトリーリーディングを大事にしてきたことの理由に繋がる1曲として描かれているし、MyGO!!!!!の楽曲の軸には燈ちゃんの心の叫びがあるということがちゃんと伝わる楽曲なので、今後も大事にしていきたい楽曲だなって感じます。
羊宮 私は、歌と向き合ってきて良かったなと思いました。最初の頃は、色々な葛藤や悩みがあったので。
一同 え〜!
羊宮 私は普段の声が、歌で表すとミックスボイスやファルセットと呼ばれる位置にあって、当時の歌声では楽器に埋もれて自分の声が聞こえない、という状況での練習が続いていたんです。音程やリズム感、表現やリズム感、表現や呼吸法なども、どれだけ頑張っても聞こえないという環境や、届かないと知りながら、それでも歌わないといけないということがとても辛くて。たくさん悩んでいました。それでも燈ちゃんの想いだけは届いてほしくて。燈ちゃんから目を逸らすことだけは絶対にしたくないと……こんなふうに、1つ1つ向き合い、燈ちゃんとして歌い続けてきたからこそ、第3話、第7話、第10話、第12話と歌で成長過程を表現できたことがとても嬉しくて。MyGO!!!!!として活動していくなかで、初めて自分に「よく頑張った」って伝えられました。
――少し話が逸れますが、連載第5回の音楽制作陣による座談会で、羊宮さんはMyGO!!!!!の最初のオリジナル楽曲「迷星叫」のレコーディングを一度録り直したというお話を伺いまして。その過程で、楽曲の音圧に負けない歌声を出すために、ボイスレッスンに通うなどして努力していたというお話も聞いていたので、相当の覚悟のうえで燈の歌声に向き合っていたんですね。
羊宮 ありがとうございます。ただ今でこそ感情的な歌い方が前に出ている燈ちゃんですが、そういう歌い方を成立させるためには、それ相応のリズム感と音程と、その感情の浮き沈みに対抗できるだけの音圧が必要なんですよね。練習を重ねれば重ねるほど、どんどん喉が酷使されていって、出せていたはずの音まで出せなくなってしまうことがあって。精一杯練習をして臨んだ1回目の「迷星叫」のレコーディングは色々あって、泣きながら帰りました。
青木 そうだったんだ……。
羊宮 でも、2回目のチャンスをいただけると聞いて、今度こそ絶対にやり抜こうと思って。もう一度録らせていただけて本当にありがたかったです。
――「詩超絆」のレコーディングのときはいかがでしたか?
羊宮 担当していただいた方からも「すごく良かった、これを歌えたんだから大丈夫」と言っていただけました。あと、ポエトリーの部分の表現をどう組み立てていくかはものすごく考えていたので、ポエトリーの部分をそのままフルで使っていただけて嬉しかったです。それとレコーディングの前に、この楽曲の歌詞はそよちゃんに向けて書いたものということを伺っていたので、そよちゃんのことを想いながら歌いました。
小日向 私もこの曲は歌詞をいただいたときから、そよちゃんに向けた歌ということがわかったので、レコーディング前の音源を聴いたときから涙が出てきて。第8話の祥子ちゃんとの会話で、誰もCRYCHICの復活を望んでいなくて、そよちゃんが「どうして……?私だけなの……?」というセリフがあるのですが、そこでそよちゃんはまた一人ぼっちになってしまったと思うんです。でも、そんななかで燈ちゃんが「一緒に進みたい」というのを伝えてくれたのが、きっと本当に嬉しかったと思いますし、私も「ありがとう」という気持ちになりました。
――第12話のライブシーンで初披露された挿入歌「迷路日々(メロディ)」についてはいかがでしょうか。
羊宮 楽奈ちゃん、輝いていたね。
青木 ねー。楽奈ちゃんはライブでギターを弾いているときが一番輝いているから。「詩超絆」は燈ちゃんがメンバーに向けてリードしていく曲だと思うのですが、「迷路日々」はみんなのコーラスが入っているのを含めて、楽曲を届ける方向がちゃんとお客さんに向いているのが、バンドだなと思いました。楽曲的には、拍子が途中で変わったりするのですが、ミドルのテンポ感もありつつ、サビは疾走感があるので、音からも“迷う”と“進む”の対比が見えるような気がして。ライブでやるとなるとリズムキープが大変そうですけど(笑)。
林 4拍子だと思ったら3/4拍子になったりして、最初はMyGO!!!!!らしい凝った展開の忙しい曲だなと思ったんですけど、歌詞が本当に美しいですよね。さっき凛ちゃんが話していたように、「一瞬一瞬が一生に」というセリフがあったなかで、“ちいさな一瞬 あつめたい”という言葉があるのにグッときます。最後は“迷っても 一生離れない”という歌詞で終わるんですけど、その後に(ステージ袖で)そよが燈に「離さないでくれて、ありがとう」という流れもすごく良くて。
小日向 あそこは伝え方こそぶっきらぼうに聞こえたかもしれないですけど、きっと照れ隠しでもあるんじゃないかなって。実はあのセリフ、監督さんからOKテイクをもらっていたのですが、自分の中で納得ができていなくて、初めて自分からお願いしてもう一度収録させていただいたので、思い入れが深いです。
林 以前2人でご飯に行ったときに、私が「自分で納得がいかないお芝居のままで終わらない方がいい」という話をしたことがあって。私も基本的には監督さんがOKしたのであれば、余分なことを言うのはあまり良くないかなと思うんですけど、ただそれでもやもやするのは良くないし、美香ちゃん(小日向)がお芝居のことを真剣に考えていることを知って素敵だなと思ったんです。私も現場で先輩たちが自ら「もう一回やらせてください!」と言う姿を見て教わってきたので。だからみかんちゃんがアフレコ現場で「もう一回やらせてください」と言っているのをみて、「おおー!」と思いました(笑)。
小日向 私は声優になる前から鼓子ちゃんの出演作を観ていて、私はこの作品が初めて名前をいただいたアニメのアフレコだったので、一緒にご飯に行ったときにたくさん相談したんですけど、1つ1つ丁寧に答えてくれたんです。現場のことってなかなか聞ける機会がないので、優しく教えてくれる鼓子ちゃんは心強く大きな存在でした。本当にありがとう。
林 いえいえ。あと、“傷つけたことに 傷ついてる”という歌詞は、立希目線でグッときますね。これは多分、燈自身が気づかないうちに祥子のことを傷つけていて、それに自分も傷ついているということだと思うんです。立希目線でも自分は燈のことを傷つけないように守ってきたつもりだったのに、その行動が燈のことを傷つけていた、っていう部分と繋がるように感じて。
立石 その意味でも、それまでのストーリーがあったうえで流れることにすごく意味を感じる曲だと思います。それと“迷路”や“迷う”というプラスの意味ではない言葉がMyGO!!!!!の歌詞にはたくさん散りばめられていますけど、それをマイナスの意味に捉えさせないような疾走感があるところにもMyGO!!!!!らしさを感じます。
羊宮 私は2Cの“叫びだした”のところが大好きで。アニメだとあそこで歓声がワーッて上がるんですけど、私の心もワーッて上がってしまいます(笑)。だって燈ちゃん、最初は全然歌えなかったんですよ。歩道橋で叫んでいたあのとき、祥子ちゃんに手を引っ張ってもらってCRYCHICで歌い始めたあのときから、こんなに凛々しく叫べるようになったんだと思うと、本当に感慨深いです。
青木 成長したね。
羊宮 そうなの。歌詞も成長しているし。その意味では、いつもはあまり世界観を壊したくないので“燈ちゃんの歌”と言っているんですけど、作詞家の藤原(優樹)さんが書かれる歌詞が本当に素敵だなって、ずーっと思っていて!
――燈のそのときの状況や心情を的確に落とし込んでいて、本当にすごいですよね。ちなみに「迷路日々」の歌詞で燈の成長を感じたポイントは?
羊宮 さっきお話した“叫びだした”もそうですが、“それでもこの手を ほどかない”や“迷っても 一生離れない”も、ちゃんと相手ありきで、それでも「自分はこうしたいんだ」というのを言っているところが、すごく成長だと思うんです。「人間になりたいうた」のときはほぼ自分の世界だけで、「春日影」の歌詞も“どうかこのまま 離さないでいて”という風に受け身の想いだったのが、「迷路日々」は自分から“ほどかない”とか“一生離れない”と言っていて。
青木 それと「迷路日々」は自分を肯定するような歌詞が多いなと思いますね。完璧に肯定できるほどではないんですけど。“ちっぽけだって 隠さないでいたいよ”とか“はみ出したまま 不揃いな僕らでも”とか。
羊宮 そうなの!そこもちゃんと言葉にしていて。“まだ言葉にならない無数の声が”と言っているし、“迷子”なんだけど一歩ずつ進んでいることが歌詞の中からも伝わってきて。本当に音楽から脚本家さんから監督さんから、すべてに置いて1つのズレもない完璧なるアニメで。本当にもっともっとたくさんの方に観てほしいです!
アニメを通して改めて感じた、キャラクターとMyGO!!!!!の音楽への想い
――他に今回のアニメに伴う楽曲で思い入れの深いもの、語りたいことがあれば教えてください。
林 「碧天伴走」(第7話挿入歌)は、立希が初めて作曲に挑戦した楽曲なので印象深いです。私は第6話が大好きで、立希が作曲でたくさん悩んでいるところに、彼女の完璧主義で自分に厳しい部分がすごく出ていると思うんですね。で、立希がなんであんなに頑張っていたかというと、「碧天伴走」は燈の歌詞としては珍しく他人のことを応援してくれる内容なので、きっとそれが立希の衝動を掻き立てたんだと思うんですよ。「私のことを応援してくれてる!?」ってなったんだろうなと思って(笑)。まあストーリー的にはどう考えても愛音に向けて書いた曲なんですけど。
立石 そうそう。私も愛音ちゃん的に考えて「碧天伴走」はすごく思い入れがありますね。この曲を聴くだけで愛音ちゃんの成長の軌跡がバーッと思い浮かぶので(笑)。それこそ愛音ちゃんがずっと気にしていた“逃げる”ということから向き合う力が付いた成長もありますし、ギターの演奏、最初はCコードをポロロンと弾くくらいだったのが、あの難しい1曲を弾けるようになった成長もあって。第5話から第7話辺りの愛音ちゃんの成長はアニメ全体を通しても印象的なので、「碧天伴走」は大好きです。
林 でも実際にいい曲で、私も聴いていて元気が出ます。MyGO!!!!!の楽曲はどこか自分と通じるところがあって、どちらかと言うと「そういうときもあったなあ」ってノスタルジックな気分になる瞬間が多いんです。思春期みたいな感じというか。それがすごく良いんですけど。青春パンクってそういうものなので。
小日向 私はやっぱり「詩超絆」が一番思い出深いですけど、アニメを通して変化を感じたのは「迷星叫」(第12話挿入歌)です。アニメの第12話までの物語を踏まえてこの曲の歌詞を見ると、アニメの中でそれぞれのキャラクターが乗り越えてきたことも反映されているのかな?と想像することができて。最初の頃は燈ちゃん1人の言葉だと思っていたのが、MyGO!!!!!のみんなのことを踏まえた歌詞にも感じられるようになりました。
青木 「迷星叫」は1st LIVEのときに初披露して以来、自分たちがライブでずっと大切に歌ってきた楽曲だったので、それをアニメの中の子たちが披露しているのを観たときに、感動的というかすごく嬉しい感覚があって。すごく不思議な気持ちになりました。
羊宮 わかる。「迷星叫」は色んなことがあったもんね。ライブでも毎回歌っていて。それで言うと、私は第12話のライブシーンのために「迷星叫」をレコーディングし直したんですけど、こんなに歌ってきた曲なのに、やっぱり難しかったんです。お話の流れとして、ライブの直前まで作っていた楽曲でもあるので……。
青木 歌い慣れている感じではないんだよね、燈ちゃんとしては。
羊宮 そうなの!だからどこまで必死にやるかを考えて。私としては、「詩超絆」よりは必死じゃないほうがいいなと思っていたので、その塩梅を表現するのがすごく難しかったんです。
――じゃあ今回はそこまで歌い慣れていない感じを歌で表現しようとされた?
羊宮 そこも難しいところで。慣れていない感じを強調しすぎると、燈ちゃんが成長していることにならないので、ステージに立って歌えるほど成長した歌い方というのを考えました。自分の中では、「春日影」は声が安定していないけど心からのものはある状態、「碧天伴走」は真っ直ぐ歌えるようになる、「詩超絆」は感情のままに歌えるようになる、という成長の流れがあって。それで最後は感情と歌い方の両方が成立するという組み立てなのですが、それが完璧にできるのは「迷星叫」の次に歌う「迷路日々」であってほしいんです。となると、「迷星叫」では今説明した間の塩梅をどう表現するべきかが難しくて。なので「迷星叫」はやっぱり迷う曲なんだなって思いました。
青木 すごい!成長過程がしっかりとあるんだね。
羊宮 そう、私はこのために歌を特訓したと言っても過言ではないから。
――演者としても取り組み甲斐のある作品だったと思うのですが、改めて、今回のアニメは皆さんにとってどんな作品になりましたか?
羊宮 役者としては本当に挑戦の日々でした。歌もそうですけど、燈ちゃんは「……」というセリフが多いので、とにかく息の芝居が多い子でして。でも、こんなにリアルに描いてくださっているアニメだからこそ、「……」の1つ1つにも、燈ちゃんの気持ちをキャッチして音に乗せたくて。「……」の違いに関しては自分の気持ちだけではコントロールできなくて、自分が出した音でも全然違って聴こえるので、一度録音して自分で聴かないとわからないんです。でも、ここを誤ると、何度も観返したときに色んな気づきがあるというアニメの面白さが半減してしまうので、向き合うことが多かったです。
立石 アニメのアフレコ自体が初めての経験で、自分の声がテレビから流れるのも初めてだったなかで、「ここは良かったな」と思うことや「もう少しこうしたかった」という後悔を含め、毎週の放送で自分の感情がぐちゃぐちゃになるくらい色んな気持ちがあったんですけど、それを含めて、声優として毎週の放送に一喜一憂できたことが本当に幸せでした。何より「愛音ちゃんがすごくかわいい」とか「今日も愛音ちゃんが愛音ちゃんしてて良かった」みたいな感想もいただいて(笑)、私のお芝居とは関係なく愛音ちゃんを愛してくださったのがすごく嬉しかったです。
青木 私は今まで元気なキャラクターを演じることが多かったので、こういうミステリアスな子は今回が初めてで。愛音ちゃんみたいに色んな感情がはっきりと出る子ではないのですが、でも感情が少ないわけではないし、喜怒哀楽があるわけで、そのなかで楽奈ちゃんを演じるのは難しいけどすごくやり甲斐がありました。出番とワード数は少なかったですけど、美味しいキャラクターだったと思います(笑)。アニメ自体は人の心の描写が明確で、それこそ言語化できない感覚や、誰しもが思ったことのある気持ちが描写されていて、アニメとはいえ自分たちの現実世界とかけ離れてはいないからこそ、共感しやすい作品だと思いました。色んな楽しみ方ができるアニメなので、ぜひ何度も観てほしいですし、初めての人にも観てほしいです。
小日向 私はすごく青春だったなと思っていて。高校時代はあまり人と話すタイプではなかったので、高校の校歌ももはや思い出せないような青春時代を送っていたのですが、そよちゃんと一緒にMyGO!!!!!のみんなと過ごすなかで、アニメだけでなくリアルバンドの活動を含めて、第二の青春を送らせてもらっている気持ちになっています。それこそそよちゃんに関しては受け入れられない人もいるかもしれないんじゃないかという不安もあったのですが、アニメの反響を聞いて、そよちゃんを肯定してくださる方が多かったのが、本当に救いでしたし、嬉しい気持ちになりました。本当にこの作品に出会えて良かったです。
林 立希は私があまりやったことのないタイプの役だったんですけど、知っていくうちに、すごく自分と似ているところが多く、昔の自分を見ているような気分になるんです。私はあんなにトゲトゲはしていなかったですけど(笑)、何でも完璧にやりたいし、「あの子はできるのに何で私はできないんだろう?」ともやもやすることがあって。そういう感情は思春期特有の部分があると思っていて、その意味では立希も普通の女の子なんだなって思うんですね。そこが立希の好きなポイントであり、演じて勉強になったところでもあって。私はアニメ的な芝居ではなく、その子をちゃんと表現したいというポリシーがあるのですが、その意味で立希はすごく自然体で演じることができました。
――最後に、今回のアニメを通して改めて感じた、MyGO!!!!!の音楽ならではの魅力、特別だと思うポイントを教えてください。
青木 私はバンド音楽が好きなので、ギターが2本あってがっつりロックサウンドなところがいいなと思いますし、アニメではアップテンポの楽曲が多かったところは個人的に刺さりました。それとこういうメロコア系な楽曲は明るくて前向きな歌詞が多いですけど、メロコア的なサウンドとどこか寄り添うような歌詞の組み合わせは他にあまりないのかなと思っていて。
立石 MyGO!!!!!の音楽はあまりキラキラしていないところも魅力だと思うんです。「頑張ったらできるから!」みたいな明るさよりも、落ち込んでいるときに同じ視点で落ち込んでいる自分を認めてくれるような楽曲のほうが励みになる人もいると思うし、私は性格的にこういった楽曲のほうが励みになるタイプなので、MyGO!!!!!の楽曲はそういった人に刺さりやすいのかなと思っていて。それにアニメのストーリーがわかったうえで聴くと、あの子たちはすごくリアルな出来事を経て楽曲を作っているので、視聴者の皆さんも共感できる部分がたくさん見つけられると思うんです。なのでアニメを観てより親近感を感じてくれたんじゃないかと思います。
小日向 MyGO!!!!!のアニメを観てくださった皆さんは、それぞれのキャラクターに自分を重ねて観てくださっている方が多かった印象で、5人それぞれ抱えているものが違ったので、きっと誰かしら共感できる子がいたと思うんです。その子たちの気持ちにフォーカスを当てた楽曲もあるので、アニメを観た後だとより自分に重ねて楽曲を聴きやすくなると思うし、解釈も変わって聴こえると思います。あとは歌詞だけでなく、単純にメロディが良くて楽曲が強いのも強みだと思うので、それぞれ思うままに楽しんでほしいなと思います。
林 MyGO!!!!!の音楽はJ-ROCKだと思うんです。けど、アニメとの関連性があって、「名無声」や「影色舞」といったアニメには登場しなかった楽曲も、アニメを観ることでより理解が深まるので、アニソンでありJ-ROCKであるのがMyGO!!!!!の魅力だと思います。それとどれも寄り添ってくれる楽曲ですよね。みんなが別に肯定してほしいわけではなくて。だって自分の気持ちは他人にわかってもらえるものではないし、簡単に「わかってる」なんて言ってほしくないんですよ。だから肯定するわけではなく、ただ隣にいてほしい。MyGO!!!!!はそういう音楽だと思います。
羊宮 私は個人的に“隠れ神曲”と呼んでいる歌があって。それが「碧天伴走」なんです。
青木 それ、隠れているかな?(笑)。
羊宮 「壱雫空」や「影色舞」はライブでワーッて盛り上がるじゃない?「碧天伴走」はMyGO!!!!!の中では明るい楽曲ですけど、歌詞の中に“誰かには ちっぽけなものだったとしても 君にとっては なにより大事なこと”というフレーズがあって、これがすべてを象徴していると思うんです。今回のアニメも、誰かにとってはちっぽけなものでも、その人にとっては大切なことだったからこそ、お話の展開に色付けがされていくところがたくさんあったと思っていて。観ている方にも大事なこととちっぽけなことが必ずあると思うし、だからこそ、それを壊さないでほしいし、失わないでほしい。それこそ5th LIVEのMCでも言いましたけど、みんなこぶしの中に握っているものは違ったっていいんです。そのこぶしを掲げて、音を通して心を通じ合える魅力のあるのがMyGO!!!!!だなって思います。
●作品情報
TVアニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』
配信
ABEMA
dアニメストア
U-NEXT
アニメ放題
バンダイチャンネル
Hulu
ニコニコ
ビデオマーケット
music.jp
DMM TV
ふらっと動画
TELASA
J:COMオンデマンド
milplus
スマートパスプレミアム
Amazon Prime Video
FOD
カンテレドーガ
TVアニメ「BanG Dream! It’s MyGO!!!!!」振り返り特番
放送局(※放送時間は編成の都合により変更になる場合がございます。)
TOKYO MX
9月21日(木)・28日(木)23:00〜
ほか
●リリース情報
MyGO!!!!! 1st Album
「迷跡波」
11月1日発売
【Blu-ray付生産限定盤】
価格:¥9,900(税込)
品番:BRMM-10716
【通常盤】
価格:¥3,850(税込)
品番:BRMM-10717
<CD>
1.迷星叫
2.壱雫空
3.碧天伴走
4.影色舞
5.タイトル未定
6.潜在表明
7.音一会
8.春日影(MyGO!!!!! ver.)
9.タイトル未定
10.タイトル未定
11.無路矢
12.名無声
13.栞
<Blu-ray>
・MyGO!!!!! 4th LIVE「前へ進む音の中で」
初回生産分限定封入特典
・2024年開催予定 MyGO!!!!!単独ライブイベント最速先行抽選申込券
・2024年開催予定 MyGO!!!!!出演ライブイベント最速先行抽選申込券
・オリジナルキャラクターカード1枚(10種+シークレット箔押しサイン入り10種)
商品詳細はこちら
●ライブ情報
MyGO!!!!! 6度目の単独ライブが開催決定
BanG Dream! 12th☆LIVE DAY2 : MyGO!!!!!「ちいさな一瞬」
2023年11月4日(土) 開場17:00/開演18:00(予定)
会場:東京ガーデンシアター
チケット:プレミアムシート:22,000円(税込) 一般指定席:9,900円(税込)
最速先行抽選
受付期間:2023年8月9日(水) 10:00 〜 9月18日(月・祝) 23:59
受付URL:https://eplus.jp/mygo_hitoshizuku/
※本公演のチケット最速先行抽選には、8月9日(水)リリース MyGO!!!!! 3rd Single「壱雫空」初回生産分に封入の申込券でご応募いただけます。
詳しくはこちら
Roselia単独ライブ「Farbe」DAY1にMyGO!!!!!のオープニングアクト出演が決定!
Roselia「Farbe」
2023年9月16日(土)、17日(日) 開場17:00/開演18:00(予定)
オープニングアクト DAY1:MyGO!!!!!/DAY2:Ave Mujica
※MyGO!!!!!の出演は16日(土)のみとなります。
会場:有明アリーナ
チケット:プレミアムシート:22,000円(税込) 一般指定席:9,900円(税込)
チケット一般販売 受付中
受付URL:https://eplus.jp/roselia_2023/
※先着順・無くなり次第終了
詳しくはこちら
関連リンク
アニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』公式サイト
https://anime.bang-dream.com/mygo/