IBMと全米テニス協会（USTA）は8月17日、全米オープンのWebサイト「USOpen.org」と全米オープン・アプリに、AIによる音声解説を含むデジタルなファン体験機能を搭載することを発表した。全米オープンのハイライト・ビデオの音声解説と字幕の制作を自動化し、全17コートのシングルスの全試合に対応する。

IBMと全米テニス協会、2023年全米オープンテニスのデジタル・プラットフォームに生成AIによる音声解説とAIドロー分析を追加

IBM watsonx powered AI Commentaryは、IBMのビジネス向けAIおよびデータ・プラットフォームであるwatsonxで構築、学習、展開したモデルを活用し、大会の重要な瞬間を確認する際により洞察に富んだ魅力的なファン体験を提供する機能。

同機能を実装するため、IBM Consultingのエクスペリエンス・デザインを担当するIBM iXの専門家がUSTAと協力し、watsonxが提供する基盤モデルを活用して、テニス特有の専門用語でAIモデルの構築・訓練を実施。これらの基盤モデルで構築された生成AIは、短く編集されたビデオ・クリップを有益で魅力的なものにするため、多様な文章構造と語彙を持つ解説を生成するという。

また、今年の全米オープンで新たに導入された「IBM watsonx powered AI Draw Analysis」は、IBM Power IndexとLikelihood to Winの構造化データと非構造化データの両方を利用して、全米オープンで初めてのテニス統計となる、シングルス・ドロー（組み合わせ）の全選手の有利・不利のレベルを予測。各選手にはトーナメント開始時にIBM AI Draw Analysisの分析結果が割り当てられ、トーナメントの進行や選手の勝敗に応じて毎日更新される。ファンは個々の試合をクリックして、ドローの予想難易度や対戦相手の可能性を見ることができるという。

なお、2023年の全米オープンは、予選トーナメントが開催されるファン・ウィークを含め、8月22日から9月10日まで開催される。生成AIの解説やIBM Draw Analysisなどは、USOpen.orgを閲覧するか、AppStore（iOS／iPadOS）またはGoogle Play（Android）で入手できる「US Open Tennis Championships」アプリにて利用できる。