東京ドキュメンタリー映画祭公式サイトより

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厳選したドキュメンタリーを上映する「東京ドキュメンタリー映画祭」事務局が2023年8月2日、同映画祭のプログラム・ディレクターである映画監督・金子遊氏が性加害を加えていたのではないかとSNSなどで広がったことを受け、公式サイトで謝罪した。「金子は事務局を辞任し、今後、映画祭に関わる一切の業務を辞退いたします」と発表した。

発表によれば、7月28日に遺族から死去を伝えられた俳優・映画監督が、生前「K」という人物から性被害を受けたとツイッター(現X)で告発していたという。その後、加害者とされる人物が金子氏ではないかとSNSで広がったとしている。

「例え過去のことであっても道義的責任を取る必要がある」

金子氏の問題を受け、事務局は「事態を重くみた映画祭スタッフは、直後より金子への聞き取りを含めた事実関係の確認と、今後の対応に関する協議の場を持ちました」と説明し、以下のように経緯を述べた。

「当人の説明によると、告発内容は事実ではないが『K』は自分を指しているのではないかと考えており、違法行為は無いものの『過去の不貞行為やそれにより彼女の心を傷つけたことは事実』として反省と謝罪の意を表明しました」

金子氏は7月31日に自身のブログでも説明しているという。実際、金子氏のブログとみられるサイトで31日、「この『K』は当方を指しているのではないかと思います。ですが、当方は氏の主張するような違法行為は一切しておりません」と弁明している。

金子氏を除いて話し合いを重ねたという事務局は、「当人の行為の結果、被害を受けたと主張する方が亡くなった事実の意味は重く、例え過去のことであっても道義的責任を取る必要がある」という結論に至ったという。

「映画祭実行委員の総意として、金子に対しプログラムディレクターの降板が勧告され、本人もこれを了承しました。金子は事務局を辞任し、今後、映画祭に関わる一切の業務を辞退いたします」

事務局は「性加害は決して容認できるものではありません」とした上で、「要職にある人間のひとりが、性加害という重大な問題を問われたことを、心よりお詫び申し上げます」と謝罪。「映画祭として今後、性加害の問題にどう対応すべきかの具体的な取り組みを、検討していく所存です」と方針を示した。

この問題をめぐっては、俳優・映画監督の水井真希さんが死去したと、水井さんの遺族が7月28日にツイッター(現X)で報告。水井さんは22年12月、「K」という人物から性被害を受けたことを訴えていた。