順天堂大×IBM、メタバース面会アプリをアプリストアで配信開始
順天堂大学と日本IBMは7月25日、オンラインで記者説明会を開き、メタバース面会アプリ「Medical Meetup」を共同で開発し、同31日からアプリストアでの一般配信を開始すると明らかにした。また、8月1日からは順天堂大学医学部附属順天堂医院(順天堂医院)で、面会アプリの運用・臨床研究を開始する。今後、両者は面会アプリを他の医療機関への展開や、講演会・遠隔診療などへユースケースを拡張していくことも検討している。
メタバースで非日常的な空間で会話や外出
両者は、2022年に発足したメディカル・メタバース共同研究講座の複数あるテーマの1つとして医療サービスの向上を挙げていた。
共同研究講座において、短期実施テーマと中長期実施テーマに分けて、各取り組みを並行して検討を進め、短期実施テーマではメタバース空間で順天堂医院を模した「順天堂バーチャルホスピタル」の構築、患者や家族が来院前にバーチャルで病院を体験できる環境を検討してきた。
「順天堂バーチャルホスピタル」で目指す姿
そこで今回、患者と病院外の人がさまざまな制限や制約などを乗り越え、実際に対面で会わなくてもぬくもりのある面会が実現できるメタバース面会アプリを共同で開発し、一般配信を開始する。
同アプリでは、患者と面会者のアバターがリゾート施設など非日常空間での会話や外出、乗り物での移動、ハイタッチなどで擬似的に触れ合えるといった、通常の面会の枠を超えた体験を楽しむことができるという。
「Medical Meetup」の概要
開発の背景について、順天堂医院 副院長/順天堂大学大学院医学研究科膠原病・リウマチ内科学教授の山路健氏は「がんなど高度な治療で家族・友人に会えず、感染症の流行による面会制限、相手への気遣いや見た目の露出、感染リスクを懸念した交流の抵抗感、目の前にいないことから、ぬくもりを感じられない寂しさなどもある。そのため、アプリにより多様なニーズに合わせた面会のあり方の提供、ストレスや不安の軽減、病気に立ち向かう力の向上につなげていきたい」と力を込める。
順天堂医院 副院長/順天堂大学大学院医学研究科膠原病・リウマチ内科学教授の山路健氏
日本IBM パートナー・理事の先崎心智氏は、同アプリの主な機能について「会って話すだけではなく、触れ合いを通じて塗杜を幹事、一緒にお出かけ・探検を通じてワクワクできる。そして、アバターを利用するため、なりたい自分に返信し、表現することを楽しめる」と説明した。
日本IBM パートナー・理事の先崎心智氏
具体的には、点滴を受けているなどで腕の動作に制限がある患者向けに、アバターを操作するコントローラの位置を自身でカスタマイズできる機能があるなど、患者・医療従事者にとっての使いやすさを考慮してデザインしている。そのため、患者がすぐに利用でき、どの施設でも導入しやすくなっているという。
加えて、通常の病院の中での面会ではなく、リゾート施設などの非日常空間でリラックスした面会が可能なほか、気球といった乗り物やビーチで動物と触れ合うなど、一緒に出かけているような面会体験を可能としている。
さらに、音声会話だけでなく、ハイタッチなどの擬似的な触れ合いにより、リモートでもぬくもりのあるコミュニケーションが可能。また、あえて顔が見えないアバターを通して、より気軽に、遠慮なく自分を表現して会話できるようにしている。
「Medical Meetup」の主な機能
小児医療センターで運用・臨床研究
また、2023年8月〜10月の期間で順天堂医院小児医療センターに入院している小児患者と家族がメタバース面会アプリで、触れ合う機会が増えることで元気で心穏やかに過ごせることを目指した運用・臨床研究を開始。
小児医療センターにおける運用・臨床研究の概要
順天堂大学大学院医学研究科小児思春期発達・病態学准教授の藤村純也氏は「小児病棟では両親との面会に限られ、ほかの家族や友達との面会ができなかった。また、外出も思うようにできないこともあり、夕方・夜間に面会を希望する際は医療者の対応が困難な場合があった」と述べつつ「患者さんに有益なメタバースアプリ開発のために、実際に利用してもらうことで使いやすさや運用方法を確認する」と、小児医療センターでの展開を見据えていた。
順天堂大学大学院医学研究科小児思春期発達・病態学准教授の藤村純也氏
運用・臨床研究では、一定期間以上入院している小児患者と家族を対象とし、面会アプリを実際に使用・評価する。また、面会をサポートする医療従事者も面会アプリの評価を行い、ニーズに添えるように改善も検討していく。
今後、面会アプリをさまざまな医療機関へ展開し、国内外の患者の面会体験向上や病気に立ち向かう力を支援する基盤にすることを目指す。さらに、身近な人との面会のみならず、医療講演会や遠隔診療、国内外コミュニティ広場などの各種医療サービスも提供できるよう、患者家族間のみならず医療従事者とのコミュニケーションも含めて活用シーンを広げていくことを検討している。
さらには、プラットフォーム化を構想している。日本IBM 執行役員の金子達哉氏は「われわれを取り巻くデータの30%は健康・医療・介護などヘルスケア関係のデータであり、今後はバーチャルでデータが行き来する世界、パーソナルヘルスレコード(PHR)が普及していくなかで、ライフイベントで自らデザインして創造するメタバースプラットフォームは人生100年時代に必要になってくるため、寄与していく」と強調していた。
日本IBM 執行役員の金子達哉氏
メタバースプラットフォームの概要
アプリの対応OSはiOS、iPad OS(11.0以降)、対応デバイスはiPhone 8以降、iPad第7世代以降となり、価格は無料。なお、面会アプリは、複数の利用者同士のコミュニケーションを支援するための環境を提供するものであり、医学的アドバイス、診断、治療、予防などは目的としていないという。
両者は、2022年に発足したメディカル・メタバース共同研究講座の複数あるテーマの1つとして医療サービスの向上を挙げていた。
共同研究講座において、短期実施テーマと中長期実施テーマに分けて、各取り組みを並行して検討を進め、短期実施テーマではメタバース空間で順天堂医院を模した「順天堂バーチャルホスピタル」の構築、患者や家族が来院前にバーチャルで病院を体験できる環境を検討してきた。
「順天堂バーチャルホスピタル」で目指す姿
そこで今回、患者と病院外の人がさまざまな制限や制約などを乗り越え、実際に対面で会わなくてもぬくもりのある面会が実現できるメタバース面会アプリを共同で開発し、一般配信を開始する。
同アプリでは、患者と面会者のアバターがリゾート施設など非日常空間での会話や外出、乗り物での移動、ハイタッチなどで擬似的に触れ合えるといった、通常の面会の枠を超えた体験を楽しむことができるという。
「Medical Meetup」の概要
開発の背景について、順天堂医院 副院長/順天堂大学大学院医学研究科膠原病・リウマチ内科学教授の山路健氏は「がんなど高度な治療で家族・友人に会えず、感染症の流行による面会制限、相手への気遣いや見た目の露出、感染リスクを懸念した交流の抵抗感、目の前にいないことから、ぬくもりを感じられない寂しさなどもある。そのため、アプリにより多様なニーズに合わせた面会のあり方の提供、ストレスや不安の軽減、病気に立ち向かう力の向上につなげていきたい」と力を込める。
順天堂医院 副院長/順天堂大学大学院医学研究科膠原病・リウマチ内科学教授の山路健氏
日本IBM パートナー・理事の先崎心智氏は、同アプリの主な機能について「会って話すだけではなく、触れ合いを通じて塗杜を幹事、一緒にお出かけ・探検を通じてワクワクできる。そして、アバターを利用するため、なりたい自分に返信し、表現することを楽しめる」と説明した。
日本IBM パートナー・理事の先崎心智氏
具体的には、点滴を受けているなどで腕の動作に制限がある患者向けに、アバターを操作するコントローラの位置を自身でカスタマイズできる機能があるなど、患者・医療従事者にとっての使いやすさを考慮してデザインしている。そのため、患者がすぐに利用でき、どの施設でも導入しやすくなっているという。
加えて、通常の病院の中での面会ではなく、リゾート施設などの非日常空間でリラックスした面会が可能なほか、気球といった乗り物やビーチで動物と触れ合うなど、一緒に出かけているような面会体験を可能としている。
さらに、音声会話だけでなく、ハイタッチなどの擬似的な触れ合いにより、リモートでもぬくもりのあるコミュニケーションが可能。また、あえて顔が見えないアバターを通して、より気軽に、遠慮なく自分を表現して会話できるようにしている。
「Medical Meetup」の主な機能
小児医療センターで運用・臨床研究
また、2023年8月〜10月の期間で順天堂医院小児医療センターに入院している小児患者と家族がメタバース面会アプリで、触れ合う機会が増えることで元気で心穏やかに過ごせることを目指した運用・臨床研究を開始。
小児医療センターにおける運用・臨床研究の概要
順天堂大学大学院医学研究科小児思春期発達・病態学准教授の藤村純也氏は「小児病棟では両親との面会に限られ、ほかの家族や友達との面会ができなかった。また、外出も思うようにできないこともあり、夕方・夜間に面会を希望する際は医療者の対応が困難な場合があった」と述べつつ「患者さんに有益なメタバースアプリ開発のために、実際に利用してもらうことで使いやすさや運用方法を確認する」と、小児医療センターでの展開を見据えていた。
順天堂大学大学院医学研究科小児思春期発達・病態学准教授の藤村純也氏
運用・臨床研究では、一定期間以上入院している小児患者と家族を対象とし、面会アプリを実際に使用・評価する。また、面会をサポートする医療従事者も面会アプリの評価を行い、ニーズに添えるように改善も検討していく。
今後、面会アプリをさまざまな医療機関へ展開し、国内外の患者の面会体験向上や病気に立ち向かう力を支援する基盤にすることを目指す。さらに、身近な人との面会のみならず、医療講演会や遠隔診療、国内外コミュニティ広場などの各種医療サービスも提供できるよう、患者家族間のみならず医療従事者とのコミュニケーションも含めて活用シーンを広げていくことを検討している。
さらには、プラットフォーム化を構想している。日本IBM 執行役員の金子達哉氏は「われわれを取り巻くデータの30%は健康・医療・介護などヘルスケア関係のデータであり、今後はバーチャルでデータが行き来する世界、パーソナルヘルスレコード(PHR)が普及していくなかで、ライフイベントで自らデザインして創造するメタバースプラットフォームは人生100年時代に必要になってくるため、寄与していく」と強調していた。
日本IBM 執行役員の金子達哉氏
メタバースプラットフォームの概要
アプリの対応OSはiOS、iPad OS(11.0以降)、対応デバイスはiPhone 8以降、iPad第7世代以降となり、価格は無料。なお、面会アプリは、複数の利用者同士のコミュニケーションを支援するための環境を提供するものであり、医学的アドバイス、診断、治療、予防などは目的としていないという。