「ごゆっくり」の意味とは? 使い方や敬語の例文、英語、類語に注意点も紹介
旅館やホテル、飲食店などを利用する際によく聞く、「ごゆっくりお過ごしください」や「ごゆっくりどうぞ」の「ごゆっくり」には、細かくはどのような意味があるのでしょうか。
本記事では「ごゆっくり」の詳しい意味や敬語なのか、具体的な使い方と例文を紹介。誤用や英語、「ごゆるりと」などの言い換えもまとめています。
「ごゆっくり」の意味や接客時・ビジネスシーンでの使い方、注意点などを紹介します
「ごゆっくり」の意味とは
「ごゆっくり」とは、相手に「急ぐ必要はない」「時間をかけてもいい」のような思いを伝える丁寧な言葉です。
また、来客に長く滞在してもらいたいケースや、急がない事案を依頼する際にも使うことがあります。
「ゆっくり」は時間や気持ち、動作などにゆとりがある様子や、くつろぐ様子を表す言葉で、「ご」は丁寧な意味を添える接頭語です。
○飲食店・旅館などのサービス業では定着している接客用語
「ごゆっくり」は主に接客用語として、サービス業で一般的に使われ定着している言葉です。
飲食店では料理を提供した後、旅館やホテルなどの宿泊施設では客室への案内後や就寝準備後などに、「ごゆっくりお過ごしください」といった形でよく使われています。
「こちらの都合や周りに遠慮せずに食事や滞在を楽しんでほしい」「急いで食事を済ませる必要はありません」などの思いを込めて「ごゆっくり」が使われています。
○「ごゆっくり」は敬語表現?
「ごゆっくり」は、ゆっくりに「ご」を付けた敬語表現です。ただし「ごゆっくり」と単体で使うと、ややフランクな印象があります。
接客業で用いる場合は「ごゆっくりお過ごしください」や、「ごゆっくりなさってください」などのように、尊敬語や丁寧語などと共に使うのが一般的です。
なおあくまでも「ごゆっくり」する主体は相手であり、自分に対して「ごゆっくり」を使うのは違和感があるので気を付けましょう。
「ごゆっくり」の接客シーンでの使い方とよく使うフレーズ・例文
前述の通り、「ごゆっくり」は接客用語として広く定着している言葉です。
以下のように、飲食店や旅館、ショッピングモールでのアナウンスなど、さまざまな場面で使用されます。プライベートで来客があったときにも使えます。
○「当旅館にお越しいただきありがとうございます。どうぞごゆっくりお過ごしください」
旅館やホテルなどでよく使われるフレーズです。ゆっくり、のんびりと過ごしてくつろぐように勧める気持ちを込めて使用します。
同様の意味で「ごゆっくりおくつろぎください」もよく使われるフレーズです。
○「ごゆっくりお休みください」
旅館などで、布団の準備ができた後などによく使われるフレーズです。
○「どうぞごゆっくりお召し上がりくださいませ」
こちらは、飲食店などでよく使われるフレーズです。
「ませ」は依頼や挨拶の際に、尊敬語の後に付けて、丁寧な気持ちを強調することができる言葉です。「まし」とすることもあります。
○「ごゆっくりどうぞ」
幅広いシーンで使えるフレーズです。
「どうぞ」には、丁寧に頼む、深く願う、相手に物事を勧めるなどの意味があります。
○「当店でのお買い物を、どうぞごゆっくりとお楽しみください」
デパートやショッピングモールなどでよく聞くフレーズです。
このように「ごゆっくり」は「ごゆっくりと」と、「と」を伴って使うことも多いです。
「ごゆっくり」のビジネスシーンでの使い方とよく使うフレーズ・例文
「ごゆっくり」は接客用語としてだけでなく、その他のビジネスシーンにおいても使用できます。例文は以下の通りです。
○「急ぎではありませんので、ごゆっくりご検討いただいて構いません」
このように、取引先などとのやりとりの中で何かを依頼した場合に、「急がなくて大丈夫ですよ」という気持ちを「ごゆっくり」を用いて丁寧に伝えることができます。
○「我々のことは心配ありません。明日からの休暇、どうぞごゆっくりお過ごしください」
この例文のように、上司などに対し、休暇をゆっくりとくつろぐように促す際にも「ごゆっくり」が使用できます。
よくある「ごゆっくり」の間違った使い方
「ごゆっくり」はさまざまな場面で使いやすい言葉ですが、誤用されているケースもあります。それは「ごゆっくりお買い物してください」などのように、相手の行動に対して謙譲語を使ってしまうパターンです。
「お(ご)〜する」は、自分の行動に対してへりくだって言う謙譲語です。そのため「ごゆっくりお買い物してください」だと、相手をへりくだらせていることになり、誤用です。
このような場合は「ごゆっくりお買い物なさってください」などのように、尊敬語を使うのが正しいです。その他、「ごゆっくりお買い物をお楽しみください」「ごゆっくりご覧ください」などの表現も使用できます。
「ごゆっくり」の類語・言い換え表現
ここでは、「ごゆっくり」の類語や言い換え表現を紹介します。
○ゆるゆると
「ゆるゆると」は、緊張している相手に対して、緊張を解いてもらう場合に使用できる言葉です。漢字では「緩々」と書き、急がない様子や、動作や気分がゆったりしている様子を表しています。
「うちでは、ゆるゆると過ごしていってね」「今回の旅行ではゆるゆるとした時間を過ごせた」「ラクダはゆるゆると進んでいる」のように使用することが可能です。
○おもむろに
「おもむろに」はゆっくりとした動作、落ち着いて行動する様子を表現したい場合に使う言葉です。
ただし「今までたばこを毛嫌いしているように見えた彼が、おもむろにたばこに火をつけた」のように、本来の意味ではない「不意に」という意味で誤って捉えてしまう人が多いので、注意が必要です。
○ごゆるりと
「ごゆるりと」は、日本で古くから使われている言葉で、ゆったりとくつろぐ場面で使われる丁寧な表現です。
「ゆるい(緩い)」を副詞にしたもので、「ゆるい」は、締め方がきつくない様子、ゆっくりとした様子などを表す言葉です。
「間もなく上演が開始いたします。ごゆるりとお楽しみください」「当旅館ではごゆるりとお過ごしいただけるように、さまざまなサービスをご用意しております」のように、特にサービス業では頻繁に使われている言葉です。
「ごゆっくり」の英語表現
ここでは、「ごゆっくり」の英語表現をいくつか紹介します。
「No need(必要はない)」を使って「There's no need to rush(慌てる必要はないですよ)」「No need to hurry(急がなくていいですよ)」などと伝えることができます。
また直訳すると「あなたの時間を使ってね」という意味の「take your time」を使って、「Please take your time(ゆっくりしてください)」という表現も可能です。
飲食店では、「enjoy(楽しむ)」を使って「Enjoy your time」「Please enjoy your meal」などと表現することがよくあります。大衆店では「Enjoy!」と単体で使う場合もあります。
飲食店での接客時に「ごゆっくり」を使うときの注意点
前述の通り、「ごゆっくり」は飲食店での接客時にもよく使う表現です。ここでは、その際の注意点について紹介します。
○注文されたものが全てそろってから伝える
「ごゆっくり」は相手を敬う目的の言葉ではあるものの、何度も使うことは不自然です。
そのため、複数名で来店している場合は全員がそろってから、複数の料理を注文した場合はそれらの料理がそろったときに、「ごゆっくり」と伝えるといいでしょう。
ただし誰かが大幅に遅れている、コース料理の場合に、料理の提供が全て完了するときには既に数時間が経過しているなどのケースもあります。時と場合によって、適したタイミングで伝えることをおすすめします。
○空いた食器は早めに下げる
食器を下げることは、お客さまを急かしていることにならないかと心配な方もいるでしょう。
しかし基本的に、食事を終えた皿が長時間お客さまの前に置かれた状態は好ましくないため、空いた食器はお食事の合間に積極的に下げるといいでしょう。
ただし、フォークとナイフがお皿の上にハの字に置かれていたら下げてはいけません。
なお、空いた食器を下げる際には再度「ごゆっくり」という必要はありません。「お済みのお皿をお下げいたします」などとだけ伝えて下げましょう。
○混雑時は時間指定を事前に伝えておく
「ごゆっくり」と伝えたばかりに、飲み物1杯で朝から晩まで居座る人がいないとは限りません。特に混雑時は事前に「お席は◯時まででお願いいたします」と伝えておくと「ごゆっくり」されすぎないでしょう。
時間に制限がある場合でも、「お時間いっぱいお楽しみください」の意味で「ごゆっくり」を使えます。
○「ごゆっくり」の使い方を覚えておこう
「ごゆっくり」は飲食店や宿泊施設などのサービス業で多く使われる言葉です。ただし使い方次第では、ビジネスの場面でも上司や取引先の方へ「ごゆっくり」を使用できます。
「ごゆっくり」を適切に使いこなすことで、相手にとっても気持ちのよい、丁寧な対応ができるでしょう。
本記事では「ごゆっくり」の詳しい意味や敬語なのか、具体的な使い方と例文を紹介。誤用や英語、「ごゆるりと」などの言い換えもまとめています。
「ごゆっくり」の意味や接客時・ビジネスシーンでの使い方、注意点などを紹介します
「ごゆっくり」とは、相手に「急ぐ必要はない」「時間をかけてもいい」のような思いを伝える丁寧な言葉です。
また、来客に長く滞在してもらいたいケースや、急がない事案を依頼する際にも使うことがあります。
「ゆっくり」は時間や気持ち、動作などにゆとりがある様子や、くつろぐ様子を表す言葉で、「ご」は丁寧な意味を添える接頭語です。
○飲食店・旅館などのサービス業では定着している接客用語
「ごゆっくり」は主に接客用語として、サービス業で一般的に使われ定着している言葉です。
飲食店では料理を提供した後、旅館やホテルなどの宿泊施設では客室への案内後や就寝準備後などに、「ごゆっくりお過ごしください」といった形でよく使われています。
「こちらの都合や周りに遠慮せずに食事や滞在を楽しんでほしい」「急いで食事を済ませる必要はありません」などの思いを込めて「ごゆっくり」が使われています。
○「ごゆっくり」は敬語表現?
「ごゆっくり」は、ゆっくりに「ご」を付けた敬語表現です。ただし「ごゆっくり」と単体で使うと、ややフランクな印象があります。
接客業で用いる場合は「ごゆっくりお過ごしください」や、「ごゆっくりなさってください」などのように、尊敬語や丁寧語などと共に使うのが一般的です。
なおあくまでも「ごゆっくり」する主体は相手であり、自分に対して「ごゆっくり」を使うのは違和感があるので気を付けましょう。
「ごゆっくり」の接客シーンでの使い方とよく使うフレーズ・例文
前述の通り、「ごゆっくり」は接客用語として広く定着している言葉です。
以下のように、飲食店や旅館、ショッピングモールでのアナウンスなど、さまざまな場面で使用されます。プライベートで来客があったときにも使えます。
○「当旅館にお越しいただきありがとうございます。どうぞごゆっくりお過ごしください」
旅館やホテルなどでよく使われるフレーズです。ゆっくり、のんびりと過ごしてくつろぐように勧める気持ちを込めて使用します。
同様の意味で「ごゆっくりおくつろぎください」もよく使われるフレーズです。
○「ごゆっくりお休みください」
旅館などで、布団の準備ができた後などによく使われるフレーズです。
○「どうぞごゆっくりお召し上がりくださいませ」
こちらは、飲食店などでよく使われるフレーズです。
「ませ」は依頼や挨拶の際に、尊敬語の後に付けて、丁寧な気持ちを強調することができる言葉です。「まし」とすることもあります。
○「ごゆっくりどうぞ」
幅広いシーンで使えるフレーズです。
「どうぞ」には、丁寧に頼む、深く願う、相手に物事を勧めるなどの意味があります。
○「当店でのお買い物を、どうぞごゆっくりとお楽しみください」
デパートやショッピングモールなどでよく聞くフレーズです。
このように「ごゆっくり」は「ごゆっくりと」と、「と」を伴って使うことも多いです。
「ごゆっくり」のビジネスシーンでの使い方とよく使うフレーズ・例文
「ごゆっくり」は接客用語としてだけでなく、その他のビジネスシーンにおいても使用できます。例文は以下の通りです。
○「急ぎではありませんので、ごゆっくりご検討いただいて構いません」
このように、取引先などとのやりとりの中で何かを依頼した場合に、「急がなくて大丈夫ですよ」という気持ちを「ごゆっくり」を用いて丁寧に伝えることができます。
○「我々のことは心配ありません。明日からの休暇、どうぞごゆっくりお過ごしください」
この例文のように、上司などに対し、休暇をゆっくりとくつろぐように促す際にも「ごゆっくり」が使用できます。
よくある「ごゆっくり」の間違った使い方
「ごゆっくり」はさまざまな場面で使いやすい言葉ですが、誤用されているケースもあります。それは「ごゆっくりお買い物してください」などのように、相手の行動に対して謙譲語を使ってしまうパターンです。
「お(ご)〜する」は、自分の行動に対してへりくだって言う謙譲語です。そのため「ごゆっくりお買い物してください」だと、相手をへりくだらせていることになり、誤用です。
このような場合は「ごゆっくりお買い物なさってください」などのように、尊敬語を使うのが正しいです。その他、「ごゆっくりお買い物をお楽しみください」「ごゆっくりご覧ください」などの表現も使用できます。
「ごゆっくり」の類語・言い換え表現
ここでは、「ごゆっくり」の類語や言い換え表現を紹介します。
○ゆるゆると
「ゆるゆると」は、緊張している相手に対して、緊張を解いてもらう場合に使用できる言葉です。漢字では「緩々」と書き、急がない様子や、動作や気分がゆったりしている様子を表しています。
「うちでは、ゆるゆると過ごしていってね」「今回の旅行ではゆるゆるとした時間を過ごせた」「ラクダはゆるゆると進んでいる」のように使用することが可能です。
○おもむろに
「おもむろに」はゆっくりとした動作、落ち着いて行動する様子を表現したい場合に使う言葉です。
ただし「今までたばこを毛嫌いしているように見えた彼が、おもむろにたばこに火をつけた」のように、本来の意味ではない「不意に」という意味で誤って捉えてしまう人が多いので、注意が必要です。
○ごゆるりと
「ごゆるりと」は、日本で古くから使われている言葉で、ゆったりとくつろぐ場面で使われる丁寧な表現です。
「ゆるい(緩い)」を副詞にしたもので、「ゆるい」は、締め方がきつくない様子、ゆっくりとした様子などを表す言葉です。
「間もなく上演が開始いたします。ごゆるりとお楽しみください」「当旅館ではごゆるりとお過ごしいただけるように、さまざまなサービスをご用意しております」のように、特にサービス業では頻繁に使われている言葉です。
「ごゆっくり」の英語表現
ここでは、「ごゆっくり」の英語表現をいくつか紹介します。
「No need(必要はない)」を使って「There's no need to rush(慌てる必要はないですよ)」「No need to hurry(急がなくていいですよ)」などと伝えることができます。
また直訳すると「あなたの時間を使ってね」という意味の「take your time」を使って、「Please take your time(ゆっくりしてください)」という表現も可能です。
飲食店では、「enjoy(楽しむ)」を使って「Enjoy your time」「Please enjoy your meal」などと表現することがよくあります。大衆店では「Enjoy!」と単体で使う場合もあります。
飲食店での接客時に「ごゆっくり」を使うときの注意点
前述の通り、「ごゆっくり」は飲食店での接客時にもよく使う表現です。ここでは、その際の注意点について紹介します。
○注文されたものが全てそろってから伝える
「ごゆっくり」は相手を敬う目的の言葉ではあるものの、何度も使うことは不自然です。
そのため、複数名で来店している場合は全員がそろってから、複数の料理を注文した場合はそれらの料理がそろったときに、「ごゆっくり」と伝えるといいでしょう。
ただし誰かが大幅に遅れている、コース料理の場合に、料理の提供が全て完了するときには既に数時間が経過しているなどのケースもあります。時と場合によって、適したタイミングで伝えることをおすすめします。
○空いた食器は早めに下げる
食器を下げることは、お客さまを急かしていることにならないかと心配な方もいるでしょう。
しかし基本的に、食事を終えた皿が長時間お客さまの前に置かれた状態は好ましくないため、空いた食器はお食事の合間に積極的に下げるといいでしょう。
ただし、フォークとナイフがお皿の上にハの字に置かれていたら下げてはいけません。
なお、空いた食器を下げる際には再度「ごゆっくり」という必要はありません。「お済みのお皿をお下げいたします」などとだけ伝えて下げましょう。
○混雑時は時間指定を事前に伝えておく
「ごゆっくり」と伝えたばかりに、飲み物1杯で朝から晩まで居座る人がいないとは限りません。特に混雑時は事前に「お席は◯時まででお願いいたします」と伝えておくと「ごゆっくり」されすぎないでしょう。
時間に制限がある場合でも、「お時間いっぱいお楽しみください」の意味で「ごゆっくり」を使えます。
○「ごゆっくり」の使い方を覚えておこう
「ごゆっくり」は飲食店や宿泊施設などのサービス業で多く使われる言葉です。ただし使い方次第では、ビジネスの場面でも上司や取引先の方へ「ごゆっくり」を使用できます。
「ごゆっくり」を適切に使いこなすことで、相手にとっても気持ちのよい、丁寧な対応ができるでしょう。