写真はイメージ

写真拡大

大学入試センターは2023年7月7日、24年1月に実施する大学入学共通テストで配慮が認められた受験生に対し配られる問題冊子の一部に、ユニバーサルデザイン(UD)フォントを採用すると発表した。J-CASTニュースは大学入試センター(東京都目黒区)に対し、UDフォント採用に至った経緯や、今回は一部のみとなったが、今後ほかの問題冊子で採用される可能性について取材した。

文字サイズ22ポイントの問題冊子にUDフォントを採用

一般の問題冊子よりも大きな文字で印刷された「拡大文字問題冊子」は、文字サイズが14ポイントと22ポイントの2種類があり、配慮を希望する受験生はどちらかを選択できる。今回、このうち22ポイントの問題冊子にUDフォントが採用されるという。

UDフォント採用の理由について、大学入試センターは10日、J-CASTニュースの取材に対し「教科書やウェブサイトなどでUDフォントの使用が増えていること、配慮申請をいただく中で学校関係者や受験生本人からの要望が多かったことから、専門家で構成された委員会で検討した。その結果、まずは障がいの程度がより重い受験生に配布することの多い22ポイントの問題冊子で採用することになった」とした。

UDフォントとは、練馬区が定める「印刷物のユニバーサルデザイン(UD)ガイドライン」によると「障害の有無、年齢などにかかわらず、誰もが読みやすい字体を意識してデザインされたフォント」のこと。例えば濁点のつく文字は、濁点部分の幅を広く取ることで読み間違いを防ぎやすくする。

14ポイントの問題冊子や一般の問題冊子に採用される可能性は

配慮が必要な受験生にとってより受験しやすい環境が整う一方、ツイッター上では全ての問題冊子にUDフォントを採用してほしいとの声も見られる。UDフォントは障がいがある人や高齢者だけでなく、誰もが読みやすい字体とされているためだ。

今回14ポイントの問題冊子には採用されなかった理由について、大学入試センターは取材に対し「14ポイントの問題冊子と一般の問題冊子の2冊を併用する需要があったため」とした。配慮の申請が認められた受験生には、一般の問題冊子と「拡大文字問題冊子」の2冊がセットで配布される。14ポイントの問題冊子と一般の問題冊子は同じレイアウトとなっているため、読みづらい部分だけ「拡大文字問題冊子」を使用するなど、2冊を見比べて使う受験生もいるという。

大学入試センターは「UDフォントに変更すると改行位置がずれて同一レイアウトで作ることが難しくなるため、14ポイントの問題冊子は今回見送りとなった」と取材に答え、22ポイントの問題冊子はもともと一般の問題冊子とレイアウトが異なっていたため導入しやすかったという背景も説明した。

一般の問題冊子への採用については現状未定だが、「受験生にとって見やすい問題冊子となるよう今後も検討していく」とした。