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性犯罪の規定を大きく見直す改正刑法が参議院本会議で可決、成立したことを受け、性暴力被害の当事者団体などが6月16日、都内で記者会見を開いた。

改正刑法は「強制性交罪」の罪名を「不同意性交罪」に変更し、「性交同意年齢」を13歳から16歳へ引き上げるなど、大幅な改正となっている。施行5年後に見直しの必要性を検討する附則も設けられた。

各団体は「感無量でまだ実感がわかない」「被害を語った皆さんの声が届いた」と評価し、今後、被害の実態に関する調査や性的同意についての認識を広げることなど、さらなる努力が必要だと話した。

⚫︎「救済の道が開けた」

今回の改正では、不同意性交等罪の構成要件として、8つの行為が具体的に列挙された。

性暴力救援センター「SARC東京」の運営委員をつとめる田辺久子さんは「暴行・脅迫がない、十分に抵抗していないなどの理由で、被害届を受け付けてもらえなかったケースが救済されていく道が開けたのではないか」と評価した。

「SARC東京」では警察への同行支援をしており、一昨年が58件、昨年が81件と増加傾向にある。ただ、被害届が受理され立件されるケースは少なく、裁判になるのは年に数件だったという。田辺さんは「8項目の例示・列挙で具体化されたことで、立件しやすくなったのではないか」と期待した。

「心身の障害」という要件が入ったことについて、NPO法人「しあわせなみだ」の中野宏美理事長は「障害のある性犯罪被害者がいることを認める、極めて画期的な改正となった」と評価した。

これまでは知的障害に乗じて被害を受けても、障がいのない人と同様に立証できなければ立件できなかったとし、「被害にあった人たちの声が届いたからこその改正だと思います」と話した。

⚫︎「グルーミング行為は野放しだった」

わいせつ目的で16歳未満の若年者に面会を要求する行為を処罰する規定も新設された。

デジタル性暴力などの被害相談を受け付けているNPO法人「ぱっぷす」の内田絵梨さんは、「今までグルーミング行為は野放しで、声をかけ放題の状態が続いていた」と振り返る。

「ぱっぷす」がおこなったグルーミングの実態調査で、14歳の女の子の架空のツイッターアカウントを作成したところ、計200人以上からの接触があり、うち9割が性的目的で近づいてきたという。

内田さんは「この行為の悪質性をどのように世の中に伝えていくかが今後のポイントではないか」と話した。