プロゴルファーの丸山茂樹がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ACN presents 丸山茂樹 MOVING SATURDAY」 https://tfm-plus.gsj.mobi/news/index.html?ctg=MOVING%20SATURDAY(毎週土曜 7:00〜7:25)。4月15日(土)の放送は、サッカー元日本代表の城彰二(じょう・しょうじ)さんをゲストに迎え、お届けしました。


城彰二さん(左)とパーソナリティの丸山茂樹



◆サッカー人生でかけがえのない経験となったW杯出場

丸山:自分のサッカー人生のなかで、印象に残っている出来事ってなんですか?

城:やっぱりワールドカップ(1998年FIFAワールドカップ・フランス大会)じゃないですかね。1998年のフランス大会に出場できたことは本当に歴史的な快挙で、今まで日本になかったことでしたから。その4年前には“ドーハの悲劇”があって、あと数秒でワールドカップに行けなかったので(1994年アメリカW杯アジア最終予選の日本-イラク戦)。

丸山:あったね〜。ドーハの悲劇は唖然としたね。あのとき出ていたメンバーの人たちは、知っている人が多かったから。

城:そうですよね。

丸山:ゴンさん(中山雅史さん)とか。

城:ラモス(瑠偉)さんもそうですしね。ドーハの悲劇のとき、僕はまだ高校生で、テレビで観ていたんですよ。「残念だったな……」って僕たちもすごく悔しくて。その4年後に、まさか自分がそこに関わるなんて思ってもいなかったです。だから、サッカー、スポーツって面白いなと思って。

丸山:うん。

城:テレビを観て応援していたのが、今度は実際にプレッシャーを感じながらやる立場に置かれたのはすごく光栄なことですし、逆にみなさんの(熱い応援による)力もあって、やっと初めて日本がワールドカップに出場できたので、これはもう死んでも忘れられないことですね。

丸山:自分が個人的にあげた得点よりも、日本代表になって日の丸を背負って頑張ったことが印象に残っているんだね。

城:そうですね。それがサッカー、スポーツのいいところだと思うんですよね。みんなで勝ち取った。

◆日本と世界の差…城彰二はどう見る?

丸山:それから歴史が続いてワールドカップにも何度か出場して、最近もいいところまでいくけど、世界の厚い壁(初のベスト8進出)を乗り越えられなくて。どうですか、プロの目から見て、何があの壁を越えられないのか。

城:もちろん経験値もそうなんですけど、今はヨーロッパや海外に行く選手が多くなって、日本代表の半分以上が海外でプレーする選手になっていますから、ここで1ランク上がったんですけど、ただやっぱり決定的に違うのは、身体能力ですね。

丸山:まだ違うんだ!?

城:違います。日本サッカー協会(JFA)もいろいろなことを駆使しながら育成をやっているんですけど、そこに勝てないというのは、本当にジャンプ力だったり、瞬発力だったり、もちろん脚の長さもそうですけど、その辺りの差がもっと詰まっていかないと、最終的にはまだ難しいかと。

丸山:体の小さいリオネル・メッシがあそこまですごい選手じゃない?

城:彼は小さいですけど、積んでいるエンジンが違うんですよ。実際に会ったときも小さく見えるし、細そうに見えるんですけど、ものすごく脚が太くて、首も太いですし、筋肉の質が全然違って。

丸山:なるほど。

城:あと、彼らに話を聞いてみたら幼少期からあまり教えられていないと。

丸山:サッカーを?

城:はい、サッカーを。

丸山:感性でやるってこと?

城:そうです。彼らは(幼少期の頃から)大人と一緒にやったりしているんですよ。大きい大人にどう立ち向かっていくか、どうやったらボールを取られないかというのを肌で感じることが、すごく重要らしくて。

丸山:へぇ〜。

城:日本ってどちらかというと、基準を作りたいんですね。

丸山:基礎が大事だよね。日本人ってね。

城:日本のサッカーの教科書みたいなものがあるんですよ.。写真入りでヘディングはここでやるとか、入門編みたいな。それを1度、メッシに持って行ったことがあるんですよ。そしたらメッシは大笑いして「君たちはロボットなのか」と。

丸山:なるほど。

城:「サッカーは、人間の体も一人ひとり違うし、構造も違うし、ヘディングを額の真ん中でやったことなんて、俺はないよ。.だから、基礎を重んじすぎるのは駄目だ」と。

丸山:ヘディングを額の真ん中でするために、そこに行かなきゃいけないと思ってしまうから、そういう余計な邪念みたいなものを(重要視するのではなく)、もっと感性で行けと。

城:もっと感性で、ヘディングも頭の上でもいいし、後ろでもいいんだと。「そこに飛ばせればいいんだからという感覚を、何故、日本人は持たないんだ?」と。(メッシから)そういう話をされたときに、“確かにな”と思って。

丸山:いい話だ。じゃあ、もっと感覚だけでやるように、スキルの高い人たちと小さい頃からぶつかり合うのがいいってこと?

城:そうです。それは絶対です。日本って同じ年代でやるじゃないですか。わりとカテゴリーを作るんですけど、そうではなくて、もっと入れ替わりでいろいろなことをやっていくと、下の子はどんどん吸収して育つと。

丸山:日本ってわりと順序というか、秩序みたいなことをきちんとしているから、ジャンプアップしていく教育ってなかなか難しいんじゃない?

城:難しいです。

丸山:でしょう?

城:順を踏んでいくこともいいんですけど、能力を持っていたり、光るものを持っていたりする選手が物足りなかったり……そこで満足感を与えてしまうと伸びしろがなくなってしまうというのも現実としてありますよね。

丸山:素人目で見ていても、(日本代表の)一人ひとりのパフォーマンスはめちゃくちゃ上がっているんだけど、例えば、三苫薫選手がヨーロッパに行くと、周りもすごいから、彼の力がさらに浮き出ているような。

城:そうです。

丸山:日本代表のときは、(他の代表メンバーと)ちょっと波長が合っていなくて彼のいいところが出ていなかったり、久保建英選手もそうだけど。それぐらい、周りのイレブンの力ってすごいんだなって。

城:三苫選手でいうと、ブライトンは周りもすごくいい選手ばかりなので、より彼の良さが出る。ビッグクラブに行くんじゃないかという声がありますけど、行くとまた違うんですよ。三苫選手よりもレベルが高い選手たちが揃っているので、そうなると、出場機会が失われてしまう。そういうパターンが日本人選手は多いので、三苫選手はブライトンのようなチームで何年かプレーしたほうが、伸びると思います。

次回4月22日(土)のゲストも、城彰二さんです。

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聴取期限 2023年4月23日(日) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:ACN presents 丸山茂樹 MOVING SATURDAY
放送日時:毎週土曜 7:00〜7:25
パーソナリティ:丸山茂樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/moving/