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三菱電機の社員で、過労などを理由とするうつ病のため休職していた男性(37歳)が今年4月、およそ9年ぶりに職場復職する。男性本人が3月28日に都内で記者会見を開いて明らかにした。

9年という長きにわたり、会社と交渉してきた男性は「最初は怒りに満ちた感情や、戻らなきゃという焦りもありました。今は一緒に働こうと言ってくれてうれしいです」と喜びを口にした。

●最初は「敵対関係」だったが「友好」的に

男性と労働組合「よこはまシティユニオン」によると、男性は2013年4月に入社し、関東の事業所で研究職として働いていたが、翌2014年4月に上司からのパワハラや長時間労働を理由としたうつ病を発症したという。

同6月に休職すると、2年後に期間満了として解雇された。しかし、2016年11月に長時間労働を理由とした労災認定を受けて、会社は解雇を取り消した。

その後も復職に向けた交渉を重ね、この4月から別の部署で仕事を再開するという。

「最初は話し合いがうまくいかず、会社側と敵対的な関係になっていましたが、三菱電機では、他にも自死された方も病気になられた方もいます。会社側も風土を変えると考えていくようになり、だんだんと友好関係になり、話が通じるようになりました。会社から『戻ってまた仕事してください』と言われ、私もうれしい。仕事できるように頑張ります」(男性)

長い休職により、体力や集中力の衰えがあることなどから、会社にすすめられたリワーク(精神疾患などを理由とした休職者が受ける職場復帰プログラム)を受けたり、産業医や上司との面談をおこなってきたという。

また、部署や仕事内容の決定にあたっては、男性の意見も取り入れながら調整していったそうだ。

●負担の少ないテレワークになる見込み

「これまで休職した人は、同じ仕事や部署、同じ人間関係のところに戻るしかなかった」。今回の会社側の対応を評価する男性。実際の働き方はまだ未定だが、フルタイムよりも短い時間で、かつ負担の少ないテレワークになる見込みだという。

病気などで休職した社員のため、会社はどうあるべきか。男性は「会社は『社員が勝手に病気になったんでしょ』とするのではなく、その原因をしっかり見つめてほしい。二人三脚で対応してくれたらうれしい」とメッセージを送る。

三菱電機は、弁護士ドットコムニュースの取材に、男性の4月からの復職に向けた手続きを進めていることは事実だと認めた。

「ご本人の復帰に向けて、2022年4月から体調の把握を実施し、産業医とも複数回面談するなどのサポートをしています。また、ここ数年の労務問題の再発防止や組織変革の中で労働環境の充実をはかっております」と回答した。