「良いキャッチャーとは?」「ピッチャーとのコミュニケーションで大事なことは?」 現役捕手たちの質問に谷繁が回答!
球界のレジェンドにして2つのギネス世界記録を持つ谷繁元信氏のYouTube「谷繁ベースボールチャンネル」。今回は、広島東洋カープの石原貴規、横浜DeNAベイスターズの東妻純平を迎え、谷繁氏が両捕手からの質問に答えていく。


この記事はYouTube配信「【質問コーナー】球界の捕手たちが谷繁へ質問攻め!」から、ライブドア社の自動書き起こしツールによって生成されています。

はじまり 0:00 〜 >


谷繁: これ、大分で甲斐(拓也)選手が自主トレをやってるんですけど、そこに今回いろんなチームのキャッチャー陣、これはみんな自分から?甲斐が「どう?」みたいな?

甲斐: 連絡をいただきました。

谷繁: みんなに慕われているんだね。その中のひとりが来ました。




石原: 広島東洋カープの石原貴規です。

谷繁: ほとんど面識ないんだよね。

石原: そうです。

谷繁: 何年目だっけ?

石原: 今年4年目になります。

谷繁: あぁ4年目か、すごい身体してるよね。石原くんはパンチ力もあって、キャッチャーとしてもスキルは高いんで、これは今年レギュラーを目指して頑張って。今年は坂倉(将吾選手)がキャッチャー1本ということでどうですか?

石原: 誰がやるやらないにしてもレギュラーにはなりたいので、そこは変わらないですね。「自分のやること」というのはそんなに変わらないのかなと思います。

谷繁: 監督も新しくなって今年、新井(貴浩)監督になってちょっと賑やかになると思うんですけど、雰囲気は良くなるかもね。

石原: 秋のキャンプとかだったりでも、すごく若手が活発にというか、自分自身も凄くアピールしながら良い雰囲気にできたので、自分にとっても良いきっかけに出来ればと思います。

Q. ピッチャーとのコミュニケーションの取り方 1:49 〜 >





谷繁: 今日は、谷繁に何か質問がないかなと思って。どうですか?

石原: ピッチャーとのコミュニケーションとか大事だと思うんですけど、コミュニケーションを取る中でいちばん気をつけていたことだったり、これだけは曲げなかったことはありますか?

谷繁: まず、ピッチャーのコミュニケーションの中で、ピッチャーによってコミュニケーションを変えていくってこともやっぱりどこかで必要で、あとは「自分はこれだけ相手のバッターを調べ上げていますよ」と。「俺はこれだけあなたのことを把握していますよ」っていうそういうものをキャッチャーってピッチャーに知ってもらわなきゃいけないんですよ。だから、アピールでもいいんですよ。相手のバッターを調べている姿をどこかで見せるとか。そうやってピッチャーって、なんとなく見てるんですよ、そういうことを。「あいつ、こんなやってんだ」って。例えば、その中でピッチャーが「これはこうだからどう思う?」と言われた時に、すぐ答えれる準備をしておくということですね。これがものすごく大事だと思います。そこの相手を調べ上げたことに対して、自分が相当な自信を持っていないとダメです。

石原: 裏付けを全部調べて頭に入れた中でっていうことですね。

谷繁: そうです。そこがものすごく大事だと思いますね。そうなるとピッチャーは、石原のサインに対して「ここ投げとけば大丈夫だ」って思わせたらもう…こっちのもんです。そりゃね、全部が全部「正解」ってないじゃないですか。まぁそれはそれで、その時には「自分はこうこうこうで、こうだったから、これを出した」と。「でも、この時はこういう風に反応されたからこうなった」「次は、こういう風にする」とか「ここは本当に申し訳なかった」と素直にそこは認めるとか、そこでちゃんと理詰めて説明できるとか、そういうものを準備しておくことですね。

Q. 1打席目に入る時、いちばんに考えていたこと 3:58 〜 >





石原: ありがとうございます。あと、もうひとつ良いですか?

谷繁: はい。

石原: バッティングの部分で足りない部分すごく僕の中で感じていて、昨年だったりでもなかなか打つ方でもあんまり結果が出なくて出場機会もだいぶ減ったと思うんですけど。打席に入るにあたって、考え方っていうのは「何をいちばんに考えてたのかな」っていうのが。

谷繁: 1打席で結果を出すというここの難しさは、俺はあんまり経験したことがないから分からないですよね正直。でも、「打席の中でどれだけ冷静になれるか」というところだと思うんですよ。キャッチャーって、1試合でいえば3〜4打席多くて5か。その中で「どの打席で自分が打つか」というところだと思うんですよ、キャッチャーって。俺はそこに集中してたからまぁ下手な話、1打席目で1アウト・ランナーなし。まぁ適当に打っても良いんですよ。でも、次の打席にそれが反映されるような打ち取られ方をするとか、打席をやっぱり1打席ずつ冷静に考えていくことですね。

石原: 1打席ごとになってしまうんで。その中でプラン立てて、例えば1打席目出ました。ビハインド展開とか僅差になったときに、ポンっと代えられて2〜3打席目がないみたいなことが何回かあったので、そこでやっぱり1打席目から力んでしまうこともあって「1打席目の入り方」だったりとか。

谷繁: じゃあ、その立場であれば、その経験をもうしたわけだから、そこは自分で何とか対処して、1打席目に結果が出るように持っていくことがすごく大事になってくると思うんだよね。1打席目の内容が良ければ、2打席目につながっていくというような立場だから、とりあえずはね。

じゃあ、その1打席目にどうやって持っていくかっていうことだからバッティングと守りっていうのは、とにかく別で考えて欲しいんですよ。もう別物です。どうしてもキャッチャーって、ホームだったら前のイニングのどこかで自分が配球ミスとかしたら、それがもう頭の中ものすごく残っているわけですよ。残ってるでしょ?

石原: めちゃくちゃあります(笑)。

谷繁: めちゃくちゃあるでしょ(笑)。それが整理できないまま打席に行くから整理なんてできるわけがないんですよ。もう、それはとにかく切り替えることです。これが鉄則です。とにかく守備のことは守備のことで一旦切る。ネクストに入った瞬間には、もうこのバッター打つことに関しての集中力だけ持って行くっていう…もうこれです。

さっき、ちょっと今日バッティング練習をやっていたんで、ちょっと見させてもらったんですけれども、俺の見る目だよこれは、やはり大きいのは求められていると思うのね、飛ばせるじゃん?

石原: はい。

谷繁: だから、そっちにちょっと行きがちだから、やっぱりもうちょっと確実にヒットになる練習方法というのをやった方が実戦には良いかなと思っていますよね。

石原: そうですね。

谷繁: 良いでしょうか?

石原: はい。

谷繁: 多少はプラスのアドバイス的なことになれば良いんですけど。

石原: ありがとうございます。

谷繁: いえ。広島の石原選手でした。

石原: ありがとうございました。

谷繁: さぁ、続いて悩めるキャッチャー…ははは!(笑)一応、自己紹介してください、自分でね。




東妻: ベイスターズの東妻純平です、よろしくお願いします。

谷繁: どうも、いらっしゃいました。身体だいぶ大きくなったよね。今年何年目?

東妻: 4年目です。

谷繁: 4年目になる?3年間やった? 今日は僕のYoutubeチャンネルなんで。まぁでもそうは言ってもね、ちょっとこう何か聞きたいことがあれば答えるコーナーみたいな(笑)。

スタッフ: 一問一答コーナーです(笑)。

Q. 年上選手とのコミュニケーションの取り方 8:22 〜 >





谷繁: 何かありますか?

東妻: 高卒でプロに入って、やっぱ年上の方が多いじゃないですか? その中でコミュニケーションの取り方。けど、全部「はい、はい」って言ってるわけにはいかない。

谷繁: もちろん。

東妻: 谷繁さんの中で「これだけは自分の中で持っていたもの」っていうのはあるんですか?

谷繁: でも、3年目でしょ?今年4年目でしょ? 4年目かぁ…。4年目の俺はね、まだ試合には出てたんだけども、全然自分の地位って言うか立ち位置も全然なかったし。その頃はもう上の人に「ああだこうだ」って言われて「はい、はい」って聞いてた年代だから、そこについてのアドバイスは俺がもうちょっと上になった時に、多少試合に出るようになった時に、上の人との接し方っていうことを考えると、やはり「自分の意見は意見として、ちゃんと伝えること」と言うのがやっぱり必要じゃないかと思うよね。でも、その自分の意見とか伝えることというのは、やはり自分に落ち度があったら意味がないわけで、やはり「自分に落ち度がないようにして伝える」。これがやはり大事かなと思うね。まぁ、でも今は俺らの時代とは違ってさ、今は先輩優しいんでしょう?

東妻: 結構、話聞いてくれる方は多いですね。

谷繁: だから、その辺は「自分がちゃんとしたものを持って、それを伝える」という形がいちばん上の人も「こいつ、なかなか言ってくるな」みたいなね。そういう風になってくるから。上の人も何だかんだ言いながら見てるから「どういうことをやってるのかな」とか「こいつはどういう奴なのか」とか。そういうところから「こいつ、口だけか?」っていう風に思われるとダメだから。

Q. 谷繁が理想とする「良い・重宝されるキャッチャー」とは? 10:32 〜 >


東妻: 「良いキャッチャー」って谷繁さんの中でなんですか?

谷繁: 理想? 今、143試合? 143試合中120試合以上ちゃんと出れて、チームも優勝できて、3割近く打って、ベストナイン獲れて、ゴールデングラブも獲れるキャッチャーが"良いキャッチャー"で。じゃあ、そのために何が必要かと言うと、身体の強さも必要、ケガをしない身体、キャッチングが上手い、そこそこ肩がある、そこそこ打てるが良いキャッチャーかな。

東妻: これからのキャッチャー、自分もどっちかと言えばこれから「どんどんアピールして1軍に」って言うところで、これから重宝されると言うかキャッチャーとして必要とされる部分ってどこだと思いますか?

谷繁: どこに自分のセールスポイントがあるかだよね。ゲームを組み立てるのに自分は物凄いセールスポイントがあるとか、盗塁スタート切られたらアウト・セーフには関わらずちゃんとしたスローイングを常にできるとか、ベンチが見ててまず安心できるそういう姿があるとか。まぁこれねちょっとその辺は目をつぶってでも、3割打って2桁ホームラン打つ。3割いかずにしても2割5分以上はもう打つだろうなっていう、そういうところ。だから、自分がどこをアピールするかだと思うんだよね、セールスにするかだと思うんだよ。

今、3年間積み重ねてきて、これからアピールしていくところをどこにするかいうところを自分で明確にしなきゃいけないと思う。評価するのは相手だから、自分で評価するわけじゃないから。評価してくれるのは相手だから、自分はもう心の底にそういうところを持って、そこをアピールしていく。伝わらなかったら自分が悪いっていう風になるんだよプロってね。大体でやってるんじゃなくて、自分がここのセールスをとにかく見てもらえるようにするというところを、どんどんアピールを自分でしていかないと思う。

Q. ピッチャーへの伝え方で意識したことは? 12:55 〜 >





東妻: 相手の伝え方?その伝えるっていう、そのさっきも言ってもらいましたけど「自分はこう思った」そういうはありますけど、その中でもう1個。その中身「伝え方」の部分で、ピッチャーと話することもそうですし「コーチにこういうことを言われました」とか、そういう伝え方で何か意識した部分ってあるんですか?

谷繁: 俺は結構気は短い方だったし、どちらかと言うと口調が攻撃的な若い時はそういう形でやってて、ピッチャーもかなり嫌な思いをしたとは思うけど、やっぱり年を取っていくにつれて、さっきも言ったと思うんだけど、ピッチャーによって話し方を変えるとか。コーチにはどちらかというと正直に「隠しごとなく」みたいな。

東妻: 僕も結構強く言っちゃうところは言っちゃう。

谷繁: 関西っぽいね。

東妻: はい。

谷繁: まぁ、そこは言って良いときと…時と場合だよね。必要な時もあるだろうし、それがちょっとマイナスになるという風に感じたら、そこで一歩引くとかさ自分で。「あぁ、言っちゃった。でも、これは抑えが効かない」じゃなくて、どこかで一歩引く自分をつねに置いておく。そういうのもやっぱキャッチャーのコミュニケーション能力としては必要なんじゃない?

俺も結構、失敗したからそういうので。もう強い口調で言いすぎて投げづらくなった若いピッチャーとかもいたし。俺も年を取ってそういう風なのを思い出すと多少、後悔してるところもやっぱあるしねそこは。もっと早くにそういうのも自分で身につけて、そういうのが上手くできていれば、もしかしたらそのピッチャーも「もっと違ったピッチングできたんじゃないかな」とかそういうのも思うことあるから。だから、その辺はやっぱ自分の中で引き出しを作ってやっていくっていうのが大事なんじゃないかな。

俺だって、どちらかと言えばみんなからすればさ、めっちゃ成功しているキャッチャーだとは思うんだけど。でも、俺の中ではそうやってやっぱ段階があって、最初の頃はもう物凄いいっぱい失敗もしたし、レギュラー取って、あとはベテランになってもいっぱい失敗はしてるし、そこで失敗を自分で学ぶことができるかどうかだと思うんだよね。だから、失敗は失敗だけで終わらさないように。まぁ俺の失敗談からするとね。そういうの早く気づいてやってくれた方が良いんじゃないかなと思うよね。

次回予告:谷繁 選手兼監督時代を語る 15:46 〜 >


甲斐: 監督になった時どうなんですか?そういう見方でなる?

谷繁: あぁ、俺はなってた。どう考えてもここでインサイドのストレートは無いだろうというところで、インサイドのストレート行って「甘い」と思って「打たれました」それは怒る。怒ると言うか「それが違う」と。

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