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ママ友会で他人のクレジットカードを持ち出し、デパートで使ってしまったという女性。「深く反省し、後悔しているのですが、私はこれからどうしたらいいのでしょうか」と弁護士ドットコムに相談を寄せました。

女性は子どものこれからのことを考えると自首に踏み切れずにいます。被害者のママ友はすでに警察に被害届を出していて、警察から「デパートの防犯カメラから犯人をすぐに特定できる」と伝えられたそうです。

相談者は使ってしまった分の現金を用意して、自分とはわからないように被害者にお金が届くようにしようかとも考えています。

●一刻も早く警察署に行って自首を

相談者の女性は、防犯カメラから特定されるのを待つべきなのでしょうか。それとも自首をしたり示談を申し込んだりした方が良いのでしょうか。

冨本和男弁護士は「一刻も早く警察署に行って自首し、弁護士を通して示談を申し込んだ方が良い」とアドバイスする。

「自首というのは、犯罪となる事実または犯人が誰であるかが捜査機関に発覚する前に、犯人が自ら進んで捜査機関に犯罪事実を申告し、その処分を求めることです(刑法42条1項)。

防犯カメラから自身が犯人だと特定した後に警察に出頭しても、自首は成立しません。

弁護士を探しているうちに防犯カメラから犯人が特定される可能性もあります。まずは警察署に行って自首した方がいいでしょう」

●自首のメリットは?

自首をするメリットもあるという。

「自首が成立する場合、必ずではないのですが、刑が減刑される可能性があります(刑法42条1項)。また、法律でそこまで求められていませんが、自首の場合、担当検事の求刑自体も軽くなるのではと思います。

自首した場合、逮捕・勾留されずに在宅で捜査を進めてもらえる可能性も高まります。

逮捕されずに帰宅できた場合、示談交渉してもらうために弁護士探しに取り掛かりましょう。自首しても逮捕されてしまった場合、当番弁護士を呼んでもらい、示談交渉をお願いしましょう。

被害者と早期に示談できれば、起訴猶予となる可能性も高くなります」

ただ、自分が犯人だと相手に隠し通すことは難しそうだ。

「自首した場合、ひょっとしたら証拠不十分で起訴猶予となる可能性もあったのに処罰されてしまう可能性がある、時効が成立したかもしれないのに起訴されて時効が成立しなくなるといったデメリットは一応考えられます。しかし、証拠不十分による起訴猶予や時効の成立を期待するのもどうかと考えます。

自首や示談となった場合、相手に自分が犯人であることを秘密にすることはできないと考えてください。捜査機関の方から被害者に、誰が犯人だったのか告げられるはずです。

ただ、防犯カメラで犯人が特定されると考えられる以上、自首や示談でなくても、相手に自分が犯人であることを秘密にすることはできないと考えられます。自分とはわからないように被害者にお金を送ったとしても、罪がなくなるわけでもなければ、警察の捜査がストップするわけでもありません」

【取材協力弁護士】
冨本 和男(とみもと・かずお)弁護士
債務整理・離婚等の一般民事事件の他刑事事件(示談交渉、保釈請求、公判弁護)も多く扱っている。
事務所名:法律事務所あすか
事務所URL:http://www.aska-law.jp