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世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の高額献金問題を受け、2022年末に成立した新法が1月5日に施行された。被害対策に当たってきた全国霊感商法対策弁護士連絡会は同6日、不当な寄付勧誘などを規制する新法が実効的に運用されるよう声明を出し、消費者庁に送付した。

新法では配慮義務や禁止規定に違反した場合、行政処分ができることが明記された。阿部克臣弁護士は「行政に情報が集まる仕組みがあって初めて命が吹き込まれる」と強調し、文書だけでなく、メールや電話でも公益通報に準じる制度をつくり、周知してほしいと訴えた。

●成年後見の社会福祉士が通報した例も

自由な意思を抑圧し、適切な判断が困難な状態にすることや、生活の維持を困難にすることなどが、配慮義務(3条)違反と規定されており、勧告や公表の対象となる。弁護団は、本人やその家族だけでなく、近隣の地域など周囲の人も通報できるような窓口を整えてほしいと訴えている。

木村壮弁護士は「支援に入った人が気づく場合もある。積極的に通報してほしい」と過去の事例を紹介。旧統一教会信者の高齢女性と、精神的な障害のある娘との家庭に、娘の成年後見人となった社会福祉士が入ったことで異変に気づいたのだという。女性は別の信者に自宅を与える遺言をつくっていた。

●裁判官にも理解深めてほしい

さらに、依然として勧告などの行政処分に至る手続きの具体的な判断基準が示されていないことを問題視し、速やかに公表すべきとしている。また、新法は遡及できないため、過去の被害については従来通り不法行為法で救済していくことになると説明。新法によって範囲が狭まることを危惧しており、裁判官には、宗教被害の実態を司法研修や専門家による説明を聞くことによって理解を深めることも求めた。