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大阪地裁であった刑事事件の初公判で、法廷内での録音を求めたのに認められなかったことを問題視して、事件を担当する国選弁護人が12月9日、不服を申し立てた。刑事訴訟規則47条2項や同215条は、法廷での録音について裁判所の許可が必要としている。

申し立てをした中道一政弁護士は、別の刑事事件でも録音の要求を譲らなかったことで、裁判所から国選弁護人を解任され、不服を申し立てている。

いずれの事件でも、裁判所が一部の例外を除いて法廷の録音データを開示しない運用になっている中、裁判所がつくる調書(法廷発言を文字起こししたもの)の正確性を検証するには、弁護士自らが録音するしかないと、その必要性を主張している。

●裁判所「調書に残すかはこちらの裁量」

申し立て書などによると、中道弁護士は当該事件の初公判に先立ち、あらかじめ録音の許可を求める上申書を提出。これに対し、裁判所は12月6日の開廷直後に許可しないことを伝えた。

中道弁護士は異議を唱えたが、裁判所が棄却したため、この棄却決定に対し、不服を申し立てた。

初公判時のやり取りの中では、中道弁護士の発言を調書にとるかどうかをめぐり、裁判長が「記録にとどめるかどうかはこちらの裁量」と答えるシーンもあったという。また、録音の開示をしないのかという問いには回答がなかったそうだ。

中道弁護士は、裁判所がつくる公判調書の恣意性や記録されなかった訴訟活動の有無などを確認するためにも、録音が必要と訴えている。

なお、刑事訴訟法の規定(同法419条、420条)の関係で、抗告できないと判断される可能性があるため、大阪高裁への通常抗告と同時に、裁判を受ける権利を規定した憲法32条や37条などに違反しているとして、最高裁への特別抗告も申し立てたという(特別抗告の提起期間が5日のため)。