孤立出産で死体遺棄罪に問われたベトナム人女性の裁判 最高裁、来年2月に弁論へ
死産した双子の遺体を自宅で放置したとして、死体遺棄の罪に問われて、1審、2審で有罪判決を受けたベトナム人技能実習生の女性の裁判で、最高裁は2023年2月24日、弁論を開くことを決定した。女性の弁護団が12月9日、明らかにした。
弁護団は「孤立出産に追い込まれて死産となった女性に死体遺棄罪を適用していいのかが問われる」として、あらためて女性の無罪を主張する。
●弁護団「最高裁ではしっかりと見直しを」
この事件は、ベトナム人のレー・ティ・トゥイ・リンさんが2020年11月15日、熊本県内の自宅で死産した双子の遺体を段ボール箱に入れて、棚の上に置いたとして、死体遺棄の罪に問われているもの。
リンさんの弁護団によると、技能実習生として来日したリンさんは当時、強制的に帰国させられることをおそれて、雇い主や監理団体に妊娠の事実を相談できないまま、孤立出産で死産に至った。
死産による疲れとショックの中で、双子の遺体をタオルで包んで、名前を付けて、弔いの手紙を添えて、箱をテープで封じて、一晩過ごしたという。
翌日、雇い主らに連れて行かれた病院の医師に死産を告白した。同年11月19日、死体遺棄の疑いで逮捕されて、同年12月10日に起訴された。その後、1審・熊本地裁および、2審・福岡高裁で有罪判決が下っている。
リンさんの弁護団は一貫して無罪を主張、今年4月に上告趣意書と127通の意見書を最高裁に提出していた。
主任弁護人をつとめる石黒大貴弁護士は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して、次のようにコメントした。
「高裁判決では、孤立死産に陥った母親が優しさからとった行為が、死体遺棄罪における隠匿だと判断されてしまっていました。これを最高裁ではしっかりと見直していただきたいと思います」