旧統一教会の手法を知り尽くす郷路弁護士が救済法試案、献金前の「信者教育」に着目
旧統一教会問題をめぐる献金被害について、政府による救済法案の概要が発表された。しかし、被害回復に努めてきた全国霊感商法対策弁護士連絡会は不十分だとしている。11月22日には、伝道・教化手法の違法性を裁判で訴えてきた代表世話人の郷路征記弁護士による試案をホームページ上で発表した。
郷路氏は「献金の意思表示をするその時には、脅さなくても困惑させなくても献金をするように事前に『教育』によって認識を変えてしまうというところを捉えようとした、初めての試み」とコメントしている。
●不安だけでなく「困難状況」に陥る
郷路氏はポイントとして、献金する心理状態は「不安」や「拒否ができない」だけではないと強調する。むしろ無視できないのは「(献金が)真の利益になる、自分の使命や責任である」と思わされる場合だという。
旧統一教会の伝道・教化活動のように違法な方法で確信を持たされてしまい、その結果、その確信に基づいて献金をしてしまう場合には「もはや自由な意思決定とはいえない」とする。
これらは郷路氏が「青春を返せ訴訟」や「信仰の自由侵害回復訴訟」で勝ち取ってきた、巧妙なプロセスを踏んで信者に信仰を植え付ける手法が違法だとされた司法判断をもとにしている。
●司法判断を入れてこそ救済できる
政府案では条文が示されていないため、立憲民主・維新の野党案を参考に、用語例を付け加える形で提案している。
郷路氏は「政府案、野党案ともに真摯に検討されているものであり、熱意を感じる」と感謝した上で「司法の場で認められてきた問題意識、違法行為の内容を加味できれば、被害の救済と防止は図れる」としている。