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「低予算?」「手抜きじゃないか」――。アニメの流行に伴ってファンの目も厳しくなり、特定の作品や放送回がSNS上で「作画崩壊」だと集中砲火を浴びるケースが増えた。だが、劇場版『ONE PIECE』やTVアニメ『プリキュア』シリーズを手掛けた経験を持ち、書籍『アニメができるまで』を上梓した大塚隆史監督によると、批判されている全てのアニメが低品質とはいえないという。ファンの指摘がズレている場合と、作画が本当に「崩壊」している場合の両方について、プロ目線で原因を解説する。(執筆/フリーライター 堀田孝之、取材協力/アニメ監督 大塚隆史)

SNSでたびたび炎上する
アニメの「作画崩壊」とは?

 アニメにおける「作画崩壊」が、SNSでたびたび炎上する時代になった。

 ここでいう作画とは、アニメに登場するキャラクターなどの絵を指す。そのクオリティーが著しく低いことを、視聴者が揶揄(やゆ)して使う言葉が作画崩壊だ。

 視聴者による作画崩壊の指摘は今に始まったことでなく、古くは『鉄腕アトム』や『機動戦士ガンダム』などの一部のカットに違和感を持つファンがいた。

 例えば『機動戦士ガンダム』ならば、妙にスレンダーなザクや、面長で寸胴なガンダムが登場する話(第15話「ククルス・ドアンの島」)は作画崩壊の例として有名である。

 近年はSNSが普及したことで、視聴者が作画崩壊を指摘しやすくなり、その矛先が向くアニメが増えてきたのだ。

 中には、あまりに悲惨な絵だったため映画料金の返金騒動が起こったり、製作側が謝罪してDVD版では絵が修正されたりなど、視聴者の指摘がごもっともな「ざんねんな作画崩壊」があるのは事実だ。

視聴者に揚げ足を取られる
「気の毒な作画崩壊」もある

 しかし、劇場版『ONE PIECE』やTVアニメ『プリキュア』シリーズを手掛けた経験を持つ大塚隆史監督は、ファンによる「作画批判」が過熱する近年の傾向に違和感があるという。

「アニメを作っている側からすると、最近の作画崩壊の指摘は理不尽なものも多いなと感じています。なぜかというと、アニメの絵は本来、単体で見るものではなく、『動くことを前提として描いた絵』だからです」(大塚監督、以下同)

「そのため、絵の中にはあえて造形を崩して描かれたものもあります。そういう絵をコマ送りで探し出して、スクショやキャプチャーを撮れば、どんな作品でも作画崩壊だと指摘できてしまうでしょう」

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