国内製紙5位の北越製紙<3865>は24日、業界首位の王子製紙<3861>が23日に経営統合を目指した同社株式の公開買い付け(TOB)を宣言したことを受け、すでに合意している三菱商事<8058>との業務提携と第3者割当増資について「撤回することはない」との声明を発表した。

 王子は3月、広域化した市場での競争優位性や企業価値の向上などを掲げ、水面下で北越に経営統合を打診。7月3日には100%子会社化よる経営統提案書を提出した。一方、北越は19日に買収防衛策を導入、21日には三菱商事から約24%の出資を受け、三菱グループの傘下入りを目指す方針を発表した。

 王子は、北越・三菱商事間の提携を「北越株主から選択の機会を奪おうとしている」などと主張し、撤回を経営統合の条件としている。今回の声明で、北越は、三菱商事から調達する300億円を新潟工場の塗工紙生産設備の投資に充てる方針を示し、企業、株主双方の利益向上を強調。「国際的な信用力と取引基盤を活用することで、当社の成長につながる」とシナジーを説明している。

 週明け24日の東京株式市場で、北越株は買い注文が膨らみ、午前は値幅制限いっぱいまで上昇(ストップ高)した前週末比100円(15.7%)高の735円で買い気配のまま値が付かなかった。【了】