近年のオンラインマーケティングではInstagramやTikTok、YouTubeなどで大きな影響力を持つインフルエンサーの重要性が大きく、企業や代理店がインフルエンサーに商品やサービスの宣伝を依頼することが一般化しています。大手ECサイトのAmazonも、インフルエンサーが商品を宣伝すると購入代金の一部が収益となる「Amazonインフルエンサープログラム」を展開しています。そんな中、新たに海外メディアのCNBCが、「Amazonはインフルエンサーを豪華リゾートに招待して影響力を増そうとしている」と報じました。

Amazon influencer program is luring social media stars

https://www.cnbc.com/2022/06/11/amazon-influencer-program-is-luring-social-media-stars.html

2022年5月、InstagramやTikTok、YouTubeなどで活躍する12人を超えるインフルエンサーがメキシコの観光地であるトドス・サントスに集まり、3日間にわたりディナーやスパなどを楽しみました。このイベントをホストしたのはソーシャルメディア企業ではなく大手ECサイトのAmazonであり、招待されたインフルエンサーたちは「Amazonインフルエンサープログラム」のメンバーたちだったとのこと。

Amazonが2017年に開始したインフルエンサープログラムでは、プログラムへの登録を申請して認められたインフルエンサーたちは、オンラインストアの非公式マーケティング担当者となります。インフルエンサーたちは自分が活躍するプラットフォームやAmazon Liveなどで商品を宣伝し、特定のリンクを通じて購入された商品代金の10〜20%を収益として受け取るという仕組みです。

Amazonがインフルエンサーマーケティングに費やした金額は、2016年の時点では17億ドル(当時のレートで約2000億円)でしたが、2021年には推定138億ドル(当時のレートで約1兆5000億円)となり、2022年には164億ドル(約1兆8000億円)に達する見込みです。2022年にはトドス・サントスだけでなくニューヨークやロサンゼルスでもインフルエンサープログラムのメンバー向けのイベントを開くなど、Amazonはインフルエンサーマーケティングに力を入れています。



インフルエンサーマーケティングを手がけるスタートアップ・InfluentialのCEOを務めるRyan Detert氏は、「今日のクリエイターはまさに分散型のメディア企業です」「TikTok、Instagram、YouTubeに存在するこれらのチャンネルなどがそうです。インフルエンサーは視聴者を引きつけたい場所にトラフィックを誘導することができます」と述べています。

Amazonインフルエンサープログラムに参加しているGracey Ryback氏は、もともとTikTokで商品の安売り情報やお得な購入方法をレクチャーする「dealcheats」というアカウントで活動していた人物です。インフルエンサープログラムに参加してからは、1週間に5日の頻度でAmazon Liveの配信を行い、さまざまな製品を宣伝しており、1カ月の収益は数百万円に達しているとのこと。「いつも配信が終わった後は汗だくで、周囲に製品が散乱して倉庫みたいになっています」とRyback氏は話しました。

今回トドス・サントスで開かれたイベントでは豪華な食事やスパのほか、インフルエンサープログラムに参加する上で役立つワークショップなどが開催されましたが、特にコンテンツの宣伝が義務づけられていたわけではないとのこと。それでも、多くのクリエイターは自身の活躍するSNSでイベントについて投稿し、無料のカクテルやサーフィンのレッスンなどを楽しんだことを報告したそうです。

Amazonのクリエイティブ・グロース担当ディレクターを務めるMeredith Silver氏はCNBCに対し、「このイベントはクリエイター同士の交流を促進し、教育や刺激を与えると共に、プログラムに参加したクリエイターに感謝を伝えるために開催しています」と述べました。