日本の「伝統芸能」にフォーカスした演目で有名

 (株)わらび座(TDB企業コード:150112204、資本金4900万円、秋田県仙北市田沢湖卒田字早稲田430、代表山川龍巳氏、従業員170名)は、10月25日に秋田地裁へ民事再生法の適用を申請、11月2日に再生手続き開始決定を受けた。
 申請代理人は中村隆弁護士(北海道札幌市中央区北5条西11-17-2、札幌総合法律事務所、電話011-281-8448)ほか2名。

 当社は、1951年(昭和26年)2月創業、71年(昭和46年)3月に法人改組。アートビレッジ(芸術村)をモチーフとして「あきた芸術村」を運営。「温泉ゆぽぽ」などの宿泊施設や、歴史素材や民族伝統を題材としたミュージカル公演と地ビールの製造販売などを手がけていた。

 宿泊部門の「温泉ゆぽぽ」(収容定員250名)では個人客や修学旅行生などを受け入れ、地ビール「田沢湖ビール」は、97年9月に秋田県内初の地ビール施設として開設、施設内レストランなどのほか、全国で販売されていた。ミュージカル公演は、わらび座の原点となる事業で、民話や秋田県ゆかりの偉人、歴史素材などを「わらび劇場」という常設館で定期公演を行っていた。全国公演は国内外で年間約1000ステージ(新型コロナウイルスの感染拡大前の実績)に及び、長年の演劇活動は国内外で高く評価され、全国からあきた芸術村に修学旅行生を受け入れていた。

 しかし、営業力の一時的な低下に加えて、ミュージカル部門の赤字などから経営不振に陥っていた。2016年6月に現代表が就任し、トップセールスや外国人旅行客の獲得など経営改善や営業のテコ入れに乗り出したが、新型コロナウイルスの感染拡大による演劇公演の中止や移動自粛等でさらに経営は悪化、2020年3月には支援金の協力を募ることを公表していた。合わせて地元企業や取引金融機関の支援により事業存続を図ったものの、2021年3月期の年収入高は5億円台にまで落ち込むなか今回の措置となった。
 負債は約14億4600万円。秋田県内での新型コロナウイルス関連倒産は11件目。

 なお、営業は継続中であり、今後は新法人の一般社団法人わらび座へ事業を承継することを前提に、(株)システムソフト(TDB企業コード:800280452、東京都千代田区)のfabbit事業本部が再生支援に入り、わらび座新法人サポート体制をはじめとした支援体制のもと、非営利法人として再生を図るとしている。