そのおいしさは魔術的!? マニアもハマるサックサクのクロワッサン|No.4(東京・麹町)【パン屋さんの推しパン #5】
人気店「ブーランジェリー・ジャンゴ 」川本シェフの推しパンは?
「東京・麹町にある『No.4』のクロワッサンが私の推しパンです。同店の川原シェフはまだ若い職人ですが、パン愛にあふれ、真面目で研究熱心。ちょこちょこレシピを変えているんじゃないかと思うんですが、湯種の扱いに秀でた彼のクロワッサンは、特に良いですね」
店舗情報
店舗名:Boulangerie Django(ブーランジェリー・ジャンゴ)
電話番号:03-5644-8722
最寄駅:水天宮前駅から409m
郵便番号:103-0007
住所:東京都中央区日本橋浜町3-19-4
市区町村:中央区
町域:日本橋浜町3-19-4
営業時間:8:30~18:00
定休日:水曜日、木曜日
東京・麹町の「No.4」へ
市ヶ谷の駅前から麹町へ向かって伸びる、日本テレビ通り沿い。日テレ再開発地「番町の庭」に、目的のお店「No.4」はありました。
天王洲にあるブルワリーレストラン「T.Y.HARBOR(ティー・ワイ・ハーバー)」を手掛けるタイソンズアンドカンパニーが期間限定で出店しているベーカリーカフェ。地価の高い麹町にたたずむ平屋建てのレストランは、外観だけを見てもおしゃれで、眺めていると都会から離れて郊外に来ているような気持ちになります。
「レストランでもカフェでもベーカリーでもない」をコンセプトに、“ハンドクラフト”の食で気取らない空間を提供しているという同店。広々とした店内は明るく、ウッディな内装がほど良い温もり感を演出しています。入口から見て右手側には焼き立てのパンがズラリと並んでいて、おいしそうな香りを漂わせていました。
ちなみに、このお店では、産地にこだわった小麦や自家製天然酵母などの厳選された原料を使い、日々40種類以上のパンを焼き上げているとのこと。
お目当てのクロワッサンを発見! バターの芳ばしい香りを漂わせていて、こんがりとした褐色の焼き色が食欲をそそります。これだけあると、1個1個じっくり見て、好みのものを選び抜くのも楽しいですね。
お店の奥へ進むと、カウンターの向こうには薪窯があり、ピザが焼かれている最中でした。焼きたてのピザも、No.4の人気メニューのひとつで、これを目当てに訪れる近隣の方も多いといいます。
そして、その薪窯の奥に見える作業スペースに、No.4のヘッドベーカー、川原シェフを発見!お忙しそうでしたが、少しだけ時間をいただいて、クロワッサンについてお話を聞かせてもらいました。
おいしさのひみつは、湯種を使う製法にあり
ーーさっそくですが、No.4のクロワッサン、おいしさのひみつはなんでしょうか?
川原シェフ(以降 川原)国産小麦をはじめとする原材料と、湯種を使った製法です。
ーーそういえば、川原シェフは「湯種の魔術師」と呼ばれているんですよね。“湯種”についてご説明をいただけますか?
川原 (照れ笑いしながら)湯種とは、パン生地に使用する小麦粉の一部に熱湯を加えてこね、ひと晩寝かせてお餅のようにした生地のこと。小麦粉を熱湯でこねて作ることで、デンプンをアルファ化させた種です。
※デンプンを水と加熱することでデンプン分子が規則性を失い、糊状(アルファ状)になること
ーー湯種を使ったクロワッサンはどういうパンになるのですか?
川原 もっちりとした、日本人好みといわれるような食感のパンになります。どちらかといえば食パン作りに用いられることの多い製法です。
ーーその湯種をどうしてクロワッサンに使ったのでしょうか。
川原 口溶けと歯切れが良く、時間が経ってもおいしく食べられる……、そんなクロワッサンを作りたいと思ったからです。そのために必要な要素のひとつが湯種でした。現在のうちのクロワッサンは、この湯種とバター種、2種類を合わせて焼いています。
ーー湯種については分かったのですが、バター種とは?
川原 バターと小麦粉を一緒に炊いた生地のことです。湯種だけだと引き(グルテンのつながり)が強くなり過ぎて、歯切れの点でもの足りなかった。そこでバター種を合わせてみると、クロワッサンらしいサクサク感が増し、イメージに近い仕上がりとなりました。バターは油分なので、そのぶん歯切れが良くなったんです。
ーー試行錯誤の結果、生まれたクロワッサンなんですね。おすすめの食べ方はありますか?
川原 当日はそのまま食べて、翌日は軽く焼いてから食べてみてください。クロワッサンはハード系のパンほど日持ちしないので、風味が落ちる前に食べ切っていただけたらと思います。バターの風味が強いので、このクロワッサンでサンドイッチを作るときは、たっぷり具材をはさんで食べるのをおすすめします。
焼きたてクロワッサンを食べてみると……
川原シェフから食べ方を聞いたところで、いよいよ試食。朝8時から10時45分まで提供されているモーニングを注文しました。ミニサラダと彩鮮やかなフルーツが付いて、560円(税込)。クロワッサンはパンドミのトーストに変更することも可能で、セットドリンク(+280円)は珈琲、紅茶、オレンジジュースから選べます。
焼き上がったばかりのクロワッサンは、こんがりとした焼き目もきれいなきつね色。どこから食べるか迷った末に、カリッと焼き上がったエッジの部分にかぶりつきました。小麦の香ばしさと一緒に口に広がる、発酵カルピスバター由来のやさしく甘い香り。パリパリしたクラストとほんのりと甘いクラムのコントラストがたまりません。
川原シェフのコメントにもありましたが、口溶けと歯切れの良さは特徴的。時間が経ってもおいしく食べられるともおっしゃっていたので、いくつか買って帰ることにしました。
サンドイッチ用のパンとしても秀逸!
取材の翌日、No.4のクロワッサンでサンドイッチを作ってみました。
トースターでリベイクしたクロワッサンに切り込みを入れ、レタス、薄切りのローストハム、スライスチーズ、白だしと塩・砂糖で薄く味付けした和風卵焼きをはさんで完成。クロワッサンの小麦やバターの風味がしっかりしているので、風味の強い具材を複数使ってもケンカすることなく、上手く調和してくれました。
パンが具材にまったく負けていないという印象で、これならそれなりに風味の強い具材でもパンのおいしさをしっかり感じられそう。そのまま食べても、サンドイッチに使っても格別においしかった、No.4の湯種を使ったクロワッサン。日々いろいろなお店のパンを食べている私ですが、また近々買いに行きたいと思わせてくれる“推しパン”でした。
店舗情報
店舗名:No.4
電話番号:03-3234-4440
最寄駅:東京メトロ有楽町線 麹町駅 徒歩3分JR総武線 都営新宿線 東京メトロ有楽町線 市ヶ谷駅 徒歩4分麹町駅から352m
郵便番号:102-0081
住所:東京都千代田区四番町5-9
市区町村:千代田区
町域:四番町5-9
営業時間:8:00~22:00(21:00 L.O.)
定休日:無休(正月休み)