初夏を感じる今だけの味わい。フードアドバイザー 神谷よしえさんの「青梅グリーンカレー」【今日のおうちカレー #7月7日】
和の技術が生きた、初夏限定の青梅グリーンカレー
神谷よしえ /フードアドバイザー・調味料ソムリエプロ
大分県宇佐市出身。伝承料理研究家の母が設立した台所だけの建物「生活工房とうがらし」を継承。「ごはんはエール」をテーマに、人と人を繋ぎ産地と料理人を繋ぐ活動や国内外でおにぎりや調味料の講演やセミナーなどをおこなっている。
私が紹介するのは、ちょっと珍しい青梅の果肉を使ったグリーンカレー。夏のはじめのわずかな時期にしか味わえないひと皿です。
このカレーは、日本ではじめて「カレー(コルリ)」を紹介した福澤諭吉先生に想いを馳せて考案したもの。というのも、福澤諭吉先生は大分のご出身なんですよ。
2018年に開催された「食育推進全国大会inおおいた」のテーマが“福澤先生の食への想い”でして、そのときに明治時代の献立を眺めながら、このレシピを生み出しました。
材料には、大分県花の豊後梅にちなんで、青梅の甘露煮を使用。山椒の青い実、青唐辛子と、日本人に好まれるスパイスで味を調えました。和食技術の粋である針打ちや色止めなど、丁寧な手仕事も生かされたカレーです。
〈青梅グリーンカレー〉
調理時間:40分 ※青梅の甘露煮の時間は除く
材料(4人分)
・青梅の甘露煮(ペースト)……200g ※今回は甘露煮用の青梅を使用。
・鶏肉……200g
・玉ねぎ……200g
・水……200cc
・コンソメ……5g
・カルダモン……5g
・ガラムマサラ……少々
・にんにく……1片
・青唐辛子……適宜
・山椒の実……適宜
・塩……適宜
・菜種油……適宜
コツ・ポイント
丁寧な手仕事で生まれた「青梅」の味わいを生かす
「梅の甘露煮」は、手仕事の具合によって仕上がりの色合いや味わい深さが大きく変わります。どんなに丁寧に作業をしても、煮詰めていく過程でどうしても形が崩れてしまうものが出てくるので、その煮崩れた青梅をこのカレーに使います。
また、和食でよく使われる山椒の実や唐辛子をスパイスとして使うことで、青梅の味がさらに活きたひと皿になりますよ。
作り方
下ごしらえ
・青梅の甘露煮を作る
1. 青梅の甘露煮をペースト状にする
密煮のときに煮崩れた梅の種を手で取り、フードプロセッサーにかけます。果肉の粗さが気にならなければ、フォークで潰すのでも大丈夫です。
2. 材料を切り、炒める
鶏肉をひと口大に、玉ねぎをくし形切ります。
菜種油を熱したフライパンに、にんにくと青唐辛子を入れ、弱火で炒めます。香りがあがってきたら、鶏肉と玉ねぎを加えてさらによく炒めます。
3. 青梅とコンソメを加えて煮込む
火がよく通ったら、青梅果肉のペーストを入れ、コンソメをといた水を加えて煮込みます。
4. スパイスで味を調える
カルダモン、ターメリック、つぶした山椒を加えて、最後に塩で味を調えます。
古くて新しい味に出会える。鮮やかな青梅カレー
青梅がベースになったカレーはとても珍しく、味の想像がつかないかもしれません。だからこそはじめて口に入れたとき、青梅の爽やかな酸味や和のスパイスが醸し出す香りと味わいに驚きや感動があるはずです。
今やカレーは私たちにとって当たり前の存在ですが、福澤諭吉先生がアメリカでカレーに出会ったときも同じような衝撃を受けたのではないでしょうか。
和の技術と食材を生かした、古くて新しい味「青梅グリーンカレー」にぜひ出会ってみてください。
文/神谷よしえ
企画・編集/macaroni 編集部