モロッコ料理店の「ハリラスープ」のレシピ。本場の味を手軽に再現!

ハリラスープとはモロッコの“おふくろの味”

世界には料理にふんだんにスパイスを使う国が数多くあります。クスクスやタジン鍋が有名なモロッコもそのひとつ。そんなモロッコで日常的に飲まれているのが、ハリラスープです。

ハリラスープは、スパイスとハーブが香る滋味深い味わい。食欲が落ちてしまいがちな日本の夏にもぴったりなスープなんですよ。

そこで、東京・表参道「スーク ララファティマ」シェフの清水理恵さんに、本場のレシピを教えていただきました。

清水さんの作るハリラスープは、モロッコの食文化に精通されている方も「現地の味そのもの!」と大絶賛するほどのおいしさ。お客様でも食べ残した方はこれまでにひとりもいないそうです。

友人宅やレストランでいただいたり、お手伝いさんが作ってくれたりしたものなど、モロッコでいろいろなタイプのハリラスープを飲んだという清水さん。その経験を生かし、「スーク ララファティマ」では、日本の方にも合う形で現地の味をできるだけ忠実に再現されています。

「ハリラスープは日本のお味噌汁のようなもの。だから、各家庭によって微妙に味が違うんです。でも、スパイスやハーブと一緒に牛肉や豆、野菜、米をやわらかく煮込む点は、どこの家も同じです。

またモロッコでは日常的な食事のほか、断食明けの朝食のときには必ず飲まれています。空腹の状態で食べるので、消化がよいことが大事なんでしょうね」

体にやさしくて栄養満点。まさにモロッコの“おふくろの味”ともいえるハリラスープですが、どんなスパイスが必要なのでしょうか。

「モロッコの市場はスパイス専門店が軒を連ね、扱っている種類もじつに豊富。でも、家庭料理に欠かせないのはジンジャー、ターメリック、クミン、パプリカの4種ですね。

モロッコでは食材本来の味を大事にするため、スパイスは臭み消しや香り付けとして使われるケースが多いんです。辛くないのがモロッコ料理の特徴。意外でしょう?

ハリラスープは、ジンジャーを風味付けに、ターメリックを色付けに使います。滋味深い味わいですが、とてもシンプルなんですよ」

本場の味を手軽に再現!絶品ハリラスープ

調理時間:50分

「香りの強いコリアンダーとイタリアンパセリを細かく刻んで加えることで、ハーブの風味が全体に行き渡ったスープになります。セロリと玉ねぎは、細かくなるまでミキサーにかけるのがおすすめです。煮込み時間が短縮できるうえに、なめらかで食べやすいスープに仕上がりますよ。

今回はご家庭で手軽に本場の味を楽しめるよう、日本のスーパーで手に入る材料で作れるレシピをご紹介しますね」

材料(4人分)

・牛挽肉……100g
・セロリ…1/2本
・玉ねぎ……1/2個
・コリアンダー(みじん切り)……大さじ1杯
・イタリアンパセリ(みじん切り)……大さじ1杯
・ひよこ豆(缶詰)……100g
・トマト水煮(缶詰・ダイスカット)……1缶
・ごはん……40g
・カッペリーニ……30本
・小麦粉……大さじ1杯
・水……600cc
・レモン汁……大さじ1杯
・オリーブオイル……大さじ1杯
・ジンジャーパウダー……小さじ2杯
・ターメリック……小さじ2杯
・塩……適量
・黒こしょう……適量

下準備

・セロリと玉ねぎはごくみじん切り、またはフードプロセッサーにかけて細かくする
・トマトの水煮は、なめらかになるまでミキサーにかける

作り方

1. 牛挽肉を炒める

鍋にオリーブオイルを引いて弱火にかけ、牛挽肉を入れて全体に軽く火が通るまで炒めます。

「モロッコでは、宗教上の理由で豚肉は食べません。羊や鶏肉は食べますが、ハリラスープには必ず牛肉ですね。

本場では牛のかたまり肉を1cm角くらいの大きさに切ったものを使うのが主流ですが、今回紹介するレシピでは、日本のスーパーで入手しやすく手間がかからない牛挽肉を使います」

2. 野菜とハーブを加えて炒める

細かくしたセロリと玉ねぎ、みじん切りしたコリアンダーとイタリアンパセリを加えてさらに炒めます。

「モロッコ料理にはコリアンダーとイタリアンパセリをよく使うので、現地ではひとまとめで売られていることが多いです。なかには2種類の違いがわからずに売っている方も(笑)。イタリアンパセリは、普通のパセリでも代用できますよ」

3. スパイスを加えて炒める

野菜とハーブが透き通ったら、ジンジャーパウダーとターメリックを加えてさらに炒めます。

4. 洗ったごはんを加える

ごはんはほぐすイメージで軽く水で洗い、水気を切って加えます。

「モロッコではお米を炊くという習慣はないので、現地では生米を使います。今回は炊いたお米を使って短時間で仕上げますが、生米を使う場合は1時間以上煮込みます」

5. ひよこ豆、水、トマトを加えて煮込む

ひよこ豆、水400cc、ミキサーにかけておいたトマトを加えて20分、こげつかないように時々混ぜながら、弱火から中火で煮込みます。

6. 小麦粉でとろみをつける

小麦粉に水200ccを合わせ、ホイッパーでダマがなくなるまでよく混ぜ、鍋に加えます。

「小麦粉を入れるとこげつきやすくなるので、鍋底から混ぜるようにして煮込みましょう」

7. カッペリーニを加えて煮込み、味を調える

2cmくらいの長さに折ったカッペリーニを加えて15分煮込み、最後にレモン汁、塩、黒こしょうで味を調えます。

「モロッコでは『ヴェルミセル』という、カッペリーニに似た細いパスタを使いますよ」

日本の夏にぴったりなハリラスープ

スパイスとハーブを使ってさまざまな具材が煮込まれたハリラスープ。野菜のほかに、牛肉やひよこ豆が入り、しっかりとタンパク質の補給ができるのがうれしいポイントです。

ジンジャーのスパイシーな香りがあとを引くので、暑くなると食欲がなくなってしまう方にもおすすめ。セロリやハーブなどの風味の強い食材は、ミキサーにかけたり細かく刻むことで、とても食べやすくなりますよ。

「ハリラスープを飲むと、ジンジャー効果で、体がじんわりと温かくなってくると思います。夏場はエアコンの影響で手足に冷えを感じたり、体調を崩したりする方も多いので、ハリラスープでぜひ体を労ってほしいです」と清水さん。

清水さんは、多くの方にモロッコの魅力を伝えていきたいとの思いでモロッコの食文化を発信されています。より本格的な味を味わいたい方は、オンラインでも購入できますよ。

モロッコの人々が断食明けに飲むという体にやさしいハリラスープで、夏本番に備えましょう。

取材協力

店舗名:スーク ララファティマ
電話番号:03-6896-5555
最寄駅:「表参道駅」A2出口より徒歩5分
郵便番号:150-0001
住所:東京都渋谷区神宮前3-6-12
市区町村:渋谷区
町域:神宮前3-6-12
営業時間:11:00~18:00
定休日:不定休

取材・文/神山彩子
撮影/強田美央