日郄良実シェフの「季節野菜とさば缶のパスタ 」 【絶品!“パン泥棒”レシピ#5】

イタリアンの巨匠が教える、パンにぴったりな家庭料理

東京・銀座の「リストランテ ハナダ」を経て、イタリアの名店で修行した日郄良実シェフ。本場で鍛えた技と日本各地の旬の食材を生かしたイタリア料理、そして飾らない人柄が絶大な人気を呼び、多方面で活躍しています。

梅雨の時期にぴったりな、身近にある食材を使って作る日郄シェフ直伝のレシピを5週にわたってご紹介しています。最終回に登場するのは、たっぷりの季節の野菜と手軽に利用できるさば缶を使ったパスタ料理。暑さが厳しくなるこれからの季節に向け、しっかり栄養もとれるレシピです。

食べ応えたっぷり!季節野菜とさば缶のパスタ

「今回紹介するレシピは、缶詰を使ったレシピとして雑誌の企画で考えたものです。野菜がたっぷりとれますが、ボリュームもあるので男性の方にも好評です。

この料理の主役はパスタ。パスタの歯応えを感じてほしいので、野菜はやわらかくゆでるのがポイントです。日本人は野菜に歯応えを求めるので、野菜もかためにゆでがちですが、“パスタと和えるときに崩れてしまうくらい”を目安にしてください。野菜は旨味たっぷりのさば缶と混ぜて、パスタソースがわりに使います。

片付けが簡単なのもこのレシピの特徴です。使うのはパスタ鍋、ステンレス製のボウルだけ。野菜とパスタはひとつの鍋でゆでて、パスタソースはボウルをパスタ鍋で湯煎しながら仕上げていきます」

材料(2人前)

・パスタ……120g
・さば水煮缶……1缶(160g入り)
・じゃがいも……中1個
・フルーツトマト……1個
・ズッキーニ……1/2本
・ブロッコリー……1/4~1/3個
・ズッキーニ……1/2本
・塩……適量
・こしょう……お好みで適量
・エキストラバージンオリーブオイル……適量

作り方

1. 野菜をひと口大にカットする

材料の野菜をすべて切っておきます。じゃがいもは幅8mmほどのいちょう切り、ブロッコリーは小房に分け、ズッキーニは幅5mmほどの半月切りにします。フルーツトマトは8等分のくし切りにします。

「野菜はお好みのものに変えてもOKです。トマトは味の濃いフルーツトマトをぜひ使ってください」

2. パスタ鍋でじゃがいもをゆでる

ゆであがりのタイミングが合うように、まずは野菜ごとのゆでる時間を確認しましょう。今回の場合、じゃがいも10分、パスタ7分(表示より2分ほど短くします)、ブロッコリーとズッキーニは5分なので、じゃがいもからスタート。そのままパスタもゆでるのでお湯は塩分1%にします。

「パスタのゆで時間を基準に鍋に入れるタイミングを決めます。タイマーをかけておくと時間の確認ができて安心ですよ」

3. ボウルにさばの水煮缶とトマト、オリーブオイルを入れる

パスタをゆで始めるまでの3分間で、パスタソースの材料をボウルに入れます。さばの水煮、水煮缶のゆで汁を半量ほど、トマト、エキストラバージンオリーブオイル大さじ1杯を入れて、塩ひとつまみを加えます。

「残った水煮のゆで汁も捨てないで! 仕上げのときに調整で使うこともあります。塩ひとつまみはトマトにふりかけてください」

4. じゃがいもからゆではじめ、同じ鍋でパスタをゆでる

じゃがいものゆではじめてから3分後に、パスタを鍋に投入します。パスタのゆで時間はソースと和える時間を考えて、表示より2分ほど短めにしましょう。

「パスタはロングパスタ以外でも何でもOKです。パスタの存在感を楽しむレシピなので、ゆですぎには注意してくださいね」

5. ブロッコリー、ズッキーニを投入する

パスタを入れた2分後に、ブロッコリー、ズッキーニを加えます。野菜のゆで時間は5分。崩れるぐらいまでやわらかくゆでていきましょう。

野菜を入れるとお湯の温度が下がるので、日郄シェフは再び沸騰するまで火力を強火にしていました。

「野菜はつぶしてソースがわりにしたいので、触ると崩れるくらいまでゆでてください。このレシピのメインはパスタなので、野菜に歯応えはないほうがいいんです」

6. ボウルを湯煎しながらさばの水煮、トマトを温める

野菜とパスタをゆでている鍋でボウルを湯煎にかけて、さばの身、ゆで汁、そしてトマトを温めながら、和えていきます。さばの身はヘラで潰していきましょう。徐々にソースの乳化が進みます。

「ステンレスのボウルは熱伝導が早く、あっという間に熱くなってしまいます。ふきんやタオルなどを使ってやけどなどしないようにして!鍋が沸騰してボウルが浮きあがってきたら、吹きこぼれないようにボウルを持ち上げてください」

7. パスタと野菜をざるにあげ、ボウルに加える

じゃがいもをゆではじめから10分たったら、パスタ、野菜をざるに上げてよくお湯を切り、ボウルに加えます。

「ボウルの中に十分な量の水分があるので、パスタのゆで汁は捨ててしまって大丈夫です。しっかりとお湯をきって、さば缶のゆで汁をパスタに吸わせます」

8. パスタにソースを絡ませ、盛り付ける

ゆでた野菜をヘラでつぶしながらパスタと和え、仕上げにエキストラバージンオリーブオイルを加えて、軽くまぜます。

「パスタを入れるまでは、ボウルに水分が多いと思われるかもしれませんが、和えるうちにパスタがぐんぐんソースを吸収していきます。水分が足りず、パサパサした感じになってしまったら、残しておいたさば缶のゆで汁を少し足してください」

完成したら、皿に美しく盛り付けていきます。まずはパスタ。トングで適量のパスタをつかんで皿の中央に置き、トングを持ち上げながら回転させて、立体的に盛り付けます。さばや野菜はパスタの上に彩りよくのせ、最後にボウルの底に残ったソースをかけましょう。

色あざやかな、パスタのおいしさを味わうひと皿

やわらかくゆでた季節の野菜は、白い皿に盛り付けられると一層目をひくビジュアルに。実食すると、ほろほろの口あたりの野菜は口の中でやさしくとけます。さばと野菜のうまみをたっぷり吸い込んだ味わい深いパスタが存在感を放ち、日郄シェフが“パスタを味わうひと皿”というのも納得です!

「鍋ひとつでゆでていくので、とにかく手軽に調理できます。ぜひ季節ごとの旬の野菜で作ってみてください。アスパラガスなんかもおすすめですよ。ボリュームがあって食べ応えもあるので、これだけで満足できます」と日郄シェフ。

温野菜サラダとパスタ、2種類の料理が楽しめる一石二鳥のレシピです。野菜とさばもたっぷりなので、バゲットにのせていただく充分な量があります。

日郄シェフにご紹介いただいた“パン泥棒”レシピ、いかがでしたか?

今回ご紹介した5つのレシピすべてにトマトが入り、イタリアンに不可欠なイメージのあるにんにくの登場機会はありませんでした。ふと気になって日郄シェフに聞いたところ、「僕はトマトが大好きなんです。だから、トマトの酸味、風味をそれぞれのレシピで味わってもらいたいですね。

“イタリアン=にんにく”というイメージがあるかもしれませんが、必ずしもそうではないんです。もちろん、お好みで入れていただいてもかまいません」とのこと。

日郄シェフのレシピ通りに調理すると、むずかしいテクニックや特別な材料を使わずに、感動的な料理ができあがり、食卓が華やぎます。ご紹介したレシピを好みに合わせてアレンジしてみると、一流レストランの味がもっと身近に、そしてよりおいしく感じられるかもしれません。

7月は中華料理の井桁良樹シェフに、「暑さも吹き飛ぶ旨辛レシピ」を紹介していただきます!楽しみにお待ちくださいね。

取材協力

店舗名:リストランテ アクアパッツア
電話番号:03-6434-7506
最寄駅:東京メトロ銀座線 外苑前駅 1a出口 徒歩2分
郵便番号:107-0062
住所:東京都港区南青山2-27-18青山エムズタワーパサージュ青山2F
市区町村:港区
町域:南青山2-27-18青山エムズタワーパサージュ青山2F
営業時間:平日ランチ 11:30~15:00(L.O.14:00)ディナー 17:00~23:00(L.O.20:30)土日祝11:30~22:30(L.O.20:00、ランチはL.O.15:00)
定休日:無休

取材・文/古川あや
撮影/木下 誠